52 薔薇恋獄
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『選ぶのはわたしじゃない』
『わたしが選べるのだったら、もっと早く楓馬と蛍紫を逃がしたわ』
[ こちらも言葉を迷う様子 ]
『……もし、あなたがいなくなったら』
『残っている人たちはわたシの声を聞くことができるようになるでシょうね』
『でもそれハ、ワたしと彼ラが近くナる証』
[ 女の顔に、無かったはずの痣がうっすらと浮かび始める ]
[ 今話しているのは、どちらの"日向"なのか ]
どうにか、彼らと喋れるようにはならないか?
[日向の言葉に、苦しそうに眉間に皺を寄せる。]
喋れないと、伝えれない。
なぁ、お前の望みは、唯、恋獄に魂を引きずり共に苦しむことなのか?
――……違うだろう。
[どちらの日向にしても、見方を変えれば救いに繋がりはするから。
それを信じてる。楓馬が信じていた彼女を。]
俺は口が上手くないから、お前の言葉を上手く伝えられない。
お前が誤解されたままであるのが、俺は哀しい。
ディーンは、浜那須に織部の場所を伝え忘れたことに気がついていない。
2011/05/23(Mon) 23時半頃
『誤解だなんて』
『彼らの解釈はそう間違ってないわ』
『寧ろあなたたちが、わたしたちに好意的過ぎるだけよ』
『死んだ他人より、生きている大事な人を優先させて』
『皆救おうだなんて欲張ると』
『あなたが死ぬことニなるわ』
『わたしの目的』
『………………』
『なんだったかしら』
『モウ、思い出セないわ』
『たブン、たぶんね』
『一緒に泣いテくれる仲間がほシかったの』
『そうイう意味では』
『共に苦しむとイうのも間違いじゃナい』
『だッテ、苦しむ時でスらひとりぼっちなノは、さみしいモノ』
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[願う言の葉は、彼女に届いた。 けれど、それは難しいことなのか、是という言葉は帰らない。]
嗚呼、俺は欲張りなんだと思う。 ……恋とは、苦しいものだな。 そして、1人は寂しいから、恋をするのかもしれないな。
[死さずとも、同調し共に涙は零すことはできると。 それが、彼女の求めるものならば
はらり――紫の眼から雫が零れた。]
(185) 2011/05/23(Mon) 23時半頃
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難しいことかもしれないけれど、 さっきのこと考えてみてくれないか。
浜那須先輩も、きっと話せば判ってくれる。
[先程のビールの缶の件を、代わりにわびるように呟いて、踵を返す。向かう先は……自室であったけれど。その途中で蘭香とすれ違うのだろうか。]
(190) 2011/05/24(Tue) 00時頃
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『つらかったのね』
『あなたはよく耐えたわ』
『あなたは、もう、休んでもいいのよ』
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[栖津井が鳴瀬を好きだと聴いた時に、 浮かんだ想いがあったから。 出来るなら伝えたいと思うけれど。 伝えない方が良いのかもしれない。
――……本当に鳴瀬先生自身を好きかどうかは、 楓馬への想いに形がつかないと自信が持てないと。
もしかしたら、恋の部分は重ねているだけなのかもしれない。 栖津井になら、彼を……と、思った時点で。
けれど、なんとなく経済学部を目指していた自分が、 教育学部を目指そうかと思い始めたのは、彼の影響なのは間違いない。 それは荷物の中の、大学一覧が乗っている本の付箋が物語る。
そこだけは、間違いなく彼だけに向ける想いだと。
だから、多分、彼が栖津井と行くのなら。 願えるだろう――どうか、幸せに、と。]
(208) 2011/05/24(Tue) 00時半頃
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――……蘭香?
[部屋に戻る途中、紅子さんを従えた蘭香と出会う。]
何を莫迦なこと言っている。
[ぐぃっと差し出されて、ぐぇっとなっている紅子さんを、さらにぐぃっと押し返した。]
お前も帰れる。 だから、その願いは受け入れられん。
大体、紅子さんは多分、蘭香の為に在るのだと、思う。 楓馬に直接尋ねたことはないが……。 だから、返すなら、自分で返せ。
[極貧の彼が紅子さんを伴っている理由は、それしか思い至らないから。眉尻を下げて、推測を伝えた。]
(214) 2011/05/24(Tue) 00時半頃
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大体、俺が行くかどうかは、判らんよ。
[人が生きるということは、想いが動くということだから。]
(215) 2011/05/24(Tue) 00時半頃
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根拠は、特にないが。 言葉には言霊が宿るから……出来ると言った方がいい。多分。
紅子さんについては、後で楓馬自身に聴けばいいさ。 俺の話が飛ぶのはいつものことだろう。
[小さく肩を竦めて見せるも、次に怒涛の勢いで詰め寄られれば紫の眼を丸くする。 そして、くすっと笑む。]
……前の、蘭香に戻ったな。 嗚呼、お前の気持ちを信じてないわけではないよ。
恋愛でなくとも、繋がる絆があるなら、それを認めてもらえるなら 共に帰れればいいと思うよ楓馬の元に……―――。
[鳴瀬の姿がなくなれば、想いは今は蘭香に傾くから。]
(224) 2011/05/24(Tue) 01時頃
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