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―城内―
[――夢はなにもみなかった、
見たような気もするけど忘れてしまった。
柔らかなものに包まれて、泥のように溶けていた意識は、
小さく交わされる声にくすぐられる]
……、
[覚醒までは届かない、
ただ柔らかなものが寝具だと気づいて、
――昔の家に戻ってきたのかと一瞬錯覚する。]
――………、、ん、
[まどろむ意識は、もういない人を呼ぶ音を紡がせた]
[
自分の名前を呼ばれたからだ、重い目蓋を開く。
見慣れぬ、場所。目の前にいたのは理衣、一瞬であの惨劇が目蓋の裏に蘇った]
っ、……、ここは、
[吸血鬼の居城、なのだろう。
あの漆黒の少女は、黄金の死神はどこにいったのか、
見渡せば、他にも数人の姿が室内にある]
なんで……、
なんで、理衣くん来ちゃった、の。
[待ってて、という言葉に首を横にふった]
[掛けられた声で、直円と真弓がいると解り、そちらを見た。
気絶して運ばれた少年には、理依と真弓が理解している事、
ここが吸血鬼の根城だとは認識できていないものの、
ここは一人ではない。全員には程遠いけれど。
やがて彷徨った視線は、理依が出て行くという扉へ]
……涼平君。絢矢。 ――リッキィ。――――
……帰る?
[一緒に逃げようとしていた子供たちの名を呟いて、
理依の言葉を茫洋と繰り返す。
背中の怪我は手当がされている。
痛みにベッドの上で膝を抱えて俯いた。]
[柔らかすぎる寝台から、身を起こす。
血で汚れたままで着てた服もぼろぼろで、
悪い夢じゃないことは、はっきりとわかる。
腕を捲くれば――サミュエルが布を巻いて、
円が手当てしてくれた包帯も、痛みもそのまま残っていた。]
……明君、
[
ごめんね……、
あの女の子、言ってたの、
何人か連れて行きましょう、って、
愉しそうに言ってたの……。
でも、わたし、止められなくて、
……何もいえなくて……、そのまま、
[明乃進は、ここにいるみんなは、
その連れてこられた子たちなんだろう。
【人】 FSM団 ミナカタ―むかしばなし― (127) 2014/02/08(Sat) 16時頃 |
【人】 FSM団 ミナカタ[孤児院に入ってしばらくは、問題を起こさず大人しくしていた。 (128) 2014/02/08(Sat) 16時頃 |
【人】 FSM団 ミナカタ[その日は孤児院の大人たちの殆どが外出しており、二人を襲撃する絶好の機会だ。 (129) 2014/02/08(Sat) 16時頃 |
【人】 FSM団 ミナカタ[男の背は自分より随分高いが、軽薄そうな面をしていた。 (130) 2014/02/08(Sat) 16時頃 |
【人】 FSM団 ミナカタ ……津久居、安吾。俺と勝負しろ! (131) 2014/02/08(Sat) 16時頃 |
【人】 FSM団 ミナカタ―帝都・守護部隊養成所内、病室― (132) 2014/02/08(Sat) 16時頃 |
[真弓の話をおとなしく聞いている。
直円や他の皆はそれを知ってどう思っただろう。
少年は緩慢な動作で寝台を抜け出ると、傍に寄った。
袖をまくった手を見て、そこに自分の手を乗せて、
熱の出た顔で曖昧に微笑む。
「ごめんね」と彼女が謝ったからだ。
あ……あぁ、気にしないでくれたまえよ。
今は、「生きている」ことをいったん喜びましょう。
[ちくり、と心に響くものがあったのか、
少し目が泳ぎ気味である。何せ、直近の記憶が土下座なのだ。
今のマユミの様子を見ると、バツが悪いものがある。]
【人】 FSM団 ミナカタ―むかしばなし― (143) 2014/02/08(Sat) 17時頃 |
【人】 FSM団 ミナカタ[そんなことを考えながら外をふらついていると、 (144) 2014/02/08(Sat) 17時頃 |
【人】 FSM団 ミナカタ[子供達を庇うように、少年達の前に割って入る] (145) 2014/02/08(Sat) 17時頃 |
【人】 FSM団 ミナカタ ……やっぱり、俺は弱くねえよな。 (146) 2014/02/08(Sat) 17時頃 |
[そろりと扉の外に出る。外は空気が冷えていてとても寒い。
道を頭に叩き込むように歩いてみた。
周りからはどこか物騒な気配がする]
…どうなってんだろ…ここ……
[材料を選ぶ、犬猫を飼う。
そんな基準で殺したり捕まえたりする。
吸血鬼にとって、人間は違うことなく家畜なのだろう。
あの時にわかってしまった、
彼らは人間を捕食する存在で。
みんなを殺さないで――命乞いの結果がこれだ]
[漆黒の少女の、酷く冷たかったあの手、
――感情まで凍りついていくようだった。
触れてくれた明乃進の手はとても暖かくて、
添えられた微笑みに心が脆くなるような気がした]
……明君、ありがとう……
[感謝の言葉を口にする、
どうしてかあまり目はあわせてくれなかったけど]
直君も、ごめんね。
あんまり、……喜べないけど、みんな無事でいてほしい……
[もちろん、彼の様子は知らなかったから、その善意を疑うことは無い。祈るような言葉と共に、重なる明乃進の手をきゅっと軽く握った]
− 現在・始祖の城 −
[盃を口元に運ぶ手を止めて、笑うホリー
背後で青い顔をした家畜両方に視線を向けた]
城にいるのは約束の2羽。
後の2羽は殺してはいないが、他は死体が多過ぎて
把握していないと問われたら伝えておけ。
[目覚めた雛達が声を掛けるとすれば、同じ家畜の方だろう。
歯の根も合わぬまま何度も頷く様子に満足そうに、
血酒を舌の上で転がした]
[その温度には、少し覚えがあった]
明君、……熱ある?
[看病に付き添ったりすることはよくあった、
彼の平熱はこんなに高くなかったはず、寝込んでた時に額に触れたことを思い出して、
その時と同じように額へ手を伸ばす]
……ちゃんと寝てて、お水貰ってくるから。
[足は震えない、きちんと立てる。
大丈夫、人間だって家畜の面倒くらい見る。
だから、水を貰うくらい平気だろう]
やはり女は処女の血が一番だな。
雛達にも女がいたな。
女には手を付けるな。
男達は好きに捌け口にするがいい。
女は純潔が、男は穢れた方が血は美味い。
[葡萄酒よりも粘度の高い紅い酒を盃で遊びながら
連れて来た雛達を思い出した]
[すとん、と寝台から降りて、
結果、理衣を追いかけるように扉に向かった]
……理衣くん?
[そうっと覗いて、その姿を探してから、
しんと冷えた気配のする廊下へ足を踏み出した]
[過去が頭に去来する。ぶんぶんと頭を振ってそれを消した。
あの時離してしまった手。ちいさくて震えていた手。
そしてサミィをおいて逃げたこと。
後悔と悔しさと僅かに残っている、死ななかったことへの安堵と。
時々、すれ違う人影に驚き、怯えながら探索を続ける。
周りからは殺意に近い視線を感じる。
けれど実際襲われるような気配はまだなかった。
どこを見ても同じような扉と廊下。
遠近感が乱れてゲシュタルト崩壊を起こしそうだった]
ですって。
良かったわね、貴方達にも遊び相手が出来たでしょう?
[家畜達を見て笑う。
家畜は家畜同士交わればよいと、そんな事を考えながら。]
ねえ、お父様。
このお酒せっかくだし、連れて来た雛たちにもあげましょうか?
[そう言ってくすくすと笑う。
それが何を意味しているのか、周囲の家畜達は察しただろうけれど。]
[直円の声に、視線を返してしばし後。
ゆっくりと首を傾げた。
彼が話す事は時折少年には難しすぎるのだが、
今はそれが理由でなく、泳ぐ視線に。
感情の表れない顔には、しばしば行動の意図も表れず
お互いがお互いに不思議がるという事もままあった]
……うん。
[感謝の言葉に頷いて、再び真弓の手に視線を戻す。
みんな……か。
[直近の記憶、彼は何と叫んでいただろうか。
「『僕は』助けてくれ」などと叫んではいなかったか。
覚えていない覚えていない、と振り切ろうとしても、
マユミを目の前にして、恥と罪の意識が拭えない。]
そそ、そうですね。是非無事でいてもらえれば。
何らの陰謀もなければ、きっと無事ですよ、ええそうです。
[マユミの顔を直視できない。]
正直言って、僕は読書会に行くになって、
諸君とあまり交流を深める機会が減ってしまっていたな。
はぁ……。
[そしてまた何か思い付いた様に笑みが浮かんだ]
そう言えばあの意識を無くした雛。
あれは血だか死体だかが余程苦手なようだな。
あれを早々に家畜から部下へと昇格してやるのはどうだ?
最も嫌うものを永遠に渇望し続けなければいけない
楽しさを与えてやろうではないか?
[我を喪うほどの餓えとの葛藤は始祖にとって
娯楽以外何者でもなかった]
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