47 Gambit on board
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[響く音が耳につく。毀れる小声も。
感度いい耳は、人の拾わぬ音も、拾う。]
[だから、最初に視線を投げたのは
……シェルべり第3師団長。]
[彼は事を急ぎ進めることに
賛同しかねた人物……だったか。]
……………
[では、彼自身は、どう、思うのか。]
[滲む感情を静かに見つめながらも
ただ、鳶色は思いながら……視線を円卓に戻す。]
[視線を感じる。]
[周囲を見渡すマイコフの視線は
特には注意するもの……ではなかったが]
[もう一つ……
視線の色は己には薄灰にしか、見えない。
そこに赤がなければ、あるのは青。と、知らなければ
赤以外の色は、よく、わからない……。
ただ、そこにある感情がわからぬほど
”人”に疎いわけでは、ない。]
[けれど、その視線を受けても
鳶色の奥、燻るものは、ない。
定まらぬ鳶色は
静かに、その視線を受けるのみ、であった。]
[それは、己が人間兵器でありながら、一兵ではなく
前線を護る立場を任じられてる故の……]
―――…。
[ぴこり、と動物の耳であるかのように制御装置が周囲の磁場の変動に反応し動く。
強力な磁場の妨害を受けず。
むしろ磁場変動を利用しての通信。
ゆらりと議論に沸く円卓のメンバーを眺めていた蒼灰がその元を探す。]
………だ ……れ………。
…こ …此処に …居る、師団長の誰か……?
[組み込まれた特殊回路。
その存在は知らないが、通信にあわせノイズ混じりに問い返す。]
僅かに、黒を見開く。
誰かへ向けて発した心算はなかったのだが、
独り言のような呟きに返ってきたのは、確かな応答。
イスカ……?
キリシマ師団長?
[再びの通信にノイズがだいぶ消える。
伏せた蒼灰を瞬いてそちらに視線をやる。]
祖父から聞いた覚えはある。
同一の回路同士にしか発生しえぬ周波数
共振現象(feed-back)
それが起こる相手が、一人だけ居ると
≪ エンライ ――――……、 ナユタ ≫
≪ きみが。
そう、なのか。 ≫
[視線が絡む。]
なにがそうなのか、は分かりませんが。
今、そちらにあわせ通信を送ったのはボクです。
新しい通信機か何かのテストで?
こんな時に。
[通信妨害の存在である自分が何故通信が可能なのか。
素直な疑問を発しつつも、見詰め合うのが不自然にならぬよう目を伏せ視線を外した。**]
≪ おじいちゃんの技巧を身に付けているね。
それはイスカと同じ。
だからこんな、在りえない通信が出来る。 ≫
キリシマの発するそれは、声というよりも言葉、
音というよりも信号、そのもののような。
受信するナユタにとっては奇妙な感覚かもしれない。
おじいちゃん……?
ボクの制御装置。
此れは第9師団の技術により作られたと聞いている。
その時にこの機能も?
このボクでも通信が可能であるのならば有用だけれど。
[脳内に直接響いてくるような奇妙な通信に不思議な感覚になる。]
[人間兵器が、人間兵器としてのみ
見られているのならば、
選帝権をも持つ、師団長に
人間兵器が配置されるのは何故か?]
[過去、ドナルド前師団長が
口にした言葉を、イアンは思い出して、いた]
≪ それを創ったのは先代だから、
意図的にそうしたのかどうかは、わからないけど。
直接通信ができる相手がいるのは、イスカも助かる。 ≫
≪ ……ほとんど、接点、ないけど。 ≫
ふうん。
ボクは帝都に戻る事すら数年ぶりだし。
知り合いも少ない方ですから、偶然かな。
筆談だけでは不便でしょうし。
話すのはボクも苦手ですが、通訳しましょうか。
[流石に謎の文字を書いていたとまでは知らないが、イアンとのやり取りを思い出して、申し出てみる。]
≪ ん。そうだね。
必要なときは、お願いするよ。 ≫
しかしそんな機会は少ないだろう、などと、
見当違いな方向へ思考を巡らせつつ。
[そして、ディーンごしにまだ席は立っていないだろうサイラスの姿も見る。
さて、この情報士の考えは如何だろうか…と。]
バーンフィールド師団長へ書いた紙。
『ほりゅう』と書いたんですか?
通じてないようですけど。
[常に通訳必要なのでは、と思い浮かびつつ確認してみる。]
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―回想・城内会議室―
――…、俺?
[隣席からさらりと告げられる言葉>>50に、翠を僅か見張る。 確かに通信ないし、情報の扱いは常の事だ。 他師団に比べれば慣れても居る、通達を任される事も少ない訳ではない。 勿論、実に任された日には務める気概は持っている、が。
ただ、一介の師団長に一任して良い事柄か―― 僅かに眉を寄せる。信を置かれている点では、悪い気分にはならない。 …然し問題は、その限りで無く。]
(158) 2011/03/21(Mon) 22時半頃
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[ぴくと、感じる視線。
今一度机上を叩こうとした指が止まる。
反射的に顔を上げる事まではしないが、ゆると、一度瞬いた。
…気配の先は、然程離れていない。]
―――…、
[背凭れへと身体を預け、伏せていた顔をゆると上げる。
出来る限り自然に、周囲への違和感を与えぬ様。
それが、事実叶ったかは知れないが。
存外に、気配の先は直ぐに知れた。
無表情に向けられていた翠。一つ席を挟んだ――第5の座。
カツン。 視線を其方へ向けたまま、再び、指先が響く。]
|
[どう言葉を返すべきか、逡巡している僅か後。 イワノフから挟まれた言葉>>57に、は、と一つ吐息を零す。 安堵か、冷静を装うためかは、判らねど。]
…確かに、この祝祭の日に急ぎ通達を出す事も無いでしょう。
――ただ、伏せる時間が長ければ長い程―― 民との信用問題にも関わります。改めて、でしょうね。
[カップを運んだ給仕に軽く手を上げ礼を告げる。 暫くもすれば、ミケの言葉を切っ掛けに討論は終わりを見せ始めた事に 最早何度目かと知れない吐息を、今度は大きく吐き出した。
目の前に残るカップは、琥珀色を半分満たしたまま。 此処まで、何故か疲労する会議というのも、随分久しかった。]
(159) 2011/03/21(Mon) 22時半頃
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薬屋 サイラスは、メモを貼った。
2011/03/21(Mon) 22時半頃
薬屋 サイラスは、メモを貼った。
2011/03/21(Mon) 22時半頃
≪ ――え、なに? ≫
痛烈に考え事をしていたので、肝心な一言を聞き逃した。
イアンがこちらへ向かってきたのは、そのときだったか。
[微かな声も、各会話も、耳に届く。
ただ、届く、だけ。
敵兵や他の危機状況ではないと判断がつけば
耳は、音を追うのをとめる。
だから、グレイシアのカップの中身
その状況を知ることはなかった。]
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―城内会議室― [疎らになってきた円卓の席を見やって、 漸く、詰襟の一番上だけを僅かに緩める。勿論見苦しく無い程度に。
何かを考えるように。暫し沈黙を残して、しかし漸く席を立とうと椅子を引く。 カップにはまだ残っているが、空ける気はどうにも起きない。 第1の座を挟んだ反対側に、座る人影を見て一度視線を起こした。 その声の持ち主も、顔も直ぐに知れる。
尤も其れを知って声を掛ける心算は無いが―― 先に、崩御の報せをまだ国民に伝えずにおくべきと言ったのは彼だったか。 そこまで思い返して、僅かに眉を寄せた。
そうもしていれば、ディーンから託を受けた書記官が 所在を控えた書類を持ち込んできたか。 丁寧に揃えられ、数枚に渡る其れを指先で捲る。 抜けがない事を確認して、掌を上げると書記官は一礼をしてその場を去った。]
(177) 2011/03/21(Mon) 23時頃
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――、…?
[向けられた視線に、僅か眼を顰めて瞬いた。
不快の色、という訳ではないが、言うなれば怪訝。
元より師団の関係上、定期通信等でも会話する事は多い。
全く知らないと言う訳では勿論ないが、
隣の人物に比べれば、親しいという間柄では決してなかったし
況してや、視線を向けられる理由に思い当たりなどなく。]
あなたの文字は読めません。
[イアンが近づいていくのを見守りながら、率直に告げる。
オブラートに包むという気遣いは存在しない。]
…よほど伝えたい事があれば、言って下さい。
[ふぅ、と小さく溜息をついて視線を外す。]
[通信士の顔は、警戒を描いていた。
まぁ、無理もない。
まだ7日ある選定の儀。
動向をまだ見据える時期だと感じ、話はディーンにのみ。]
|
[渡された数枚の資料を腕へと納めて、席を立つ。
己は会議と言え、己の師団の仕事も相変わらず続いている。 息が詰まりそうな閉塞感が続いていたから、休息を取りたいのも山々だが 長い間部屋を空ける訳にも行くまい、軽く伸びをして。
僅かに肌を掠める冷気――とも言えぬ程の変化。 翠をぱちりと瞬いて、しかしそこが第5の座の背面とも気付けば そこの主たる青年が持ちうる力は、確か氷だったか、と 何となしにその元を理解する。
…尤も、其れが僅かな冷ややかさを滲ませる理由には至らないが。]
――グレイシア師団長殿?
[どうされたかと、一つ問いを向ける。]
(192) 2011/03/21(Mon) 23時半頃
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