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……、あ
[聞こえたハルカの声
その言葉を聞いてふと、口元に笑みが浮かんだ。]
私、シーシャ先輩のことって……
言いませんでしたよ?
当たり、ですけれどね。
[告げるのは10年前のマユミは言えなかった、そんな言葉。]
ハルカ先輩はシーシャ先輩のこと、よくわかっていらっしゃいますよね。
ああいう関係、いいなと思っていました。
[彼と彼女の間に、独特の空気感があった。
腐れ縁、そんな関係を男性と築くことができなかった自らには、とてもまぶしかったことを記憶している。]
マユミのことが苦手なんて人間は、シーシャくらいしか思いつかなかっただけだ。
[口調がやや言い訳がましくなってしまったのは、マユミの声が笑みを含んでいたからだ
いい……?
いや、別に羨んでもらうようなことは何もない。
[続く言葉には、苦いものが混じる]
この世界が夢だと知っているマユミなら、知っているだろう?
10年後のシーシャがどんな風だったか、覚えているだろう?
結局僕は、シーシャになにもしてやれなかったのだよ。
[近しいと思っていた。
母のように、姉のように、友達のように。
しかし腐れ縁という名の鎖は、やがて途切れる日が来て。
爪を噛む癖も、女性に、そして人間に脅える様子も。
10年という時を越えて、シーシャは何も変わっていなかった。いやむしろ、悪化していたと言ってもいい。
ハルカには何もできなかった]
[だから、後悔している。
胸の痛みに気づかない振りをしたこと。
その感情に名前をつけることを恐れたこと。
女性という警戒対象であると認識されることを恐れたこと。
ハルカは逃げて、結局己を守ることを選んだのだ。
想いが通じるなんて思っていない。
けれど、あの時伝えていたなら、シーシャの中で何かが変わっていたかもしれない。
己が彼に、自信を与えることができたかもしれない。
そうしたら、もしかしたら10年後のシーシャの未来は、もっと違っていたかもしれないのに]
……なんてな。そう思うことも、うぬぼれだろうか。
[けれどもう、「やればよかった」という後悔はしたくない]
[やや渋く聞こえた声音
それ以上言及することはせず。
シーシャの印象については、少しばかり考え込み]
……ええ、確かに印象はあまり、変わっていませんでした。
変わらずいらっしゃったんだなと、私は思っておりましたが……
[何もしてやれなかった。
その言葉の意味を、汲み取る。
何しろそれが、今の自らの職業でもあるのだから。]
変えて、さしあげたかったのですね。
――あなたの、手で。
[その意味が、どんな感情からくるものなのか。
生徒に問題を出すときに、「あなたがたなら、どう考えますか」まずはそう問いかける。
自らもどう考えるか、既に答えは導けたけれど、それが正解かどうかはハルカに採点を求むことでしかわからない。
その採点を求むことを、自らは実行できない。]
いいえ。
ハルカ先輩は、お優しい方です。
[彼女の声
自らが導き出した、ハルカの中にあるだろう感情の名が正解でも不正解でも、それが後悔していることなのなら、こんなに優しい人はいない。そう思う。]
……成せますよ、必ず。
そうですよね、先輩。
[それはまた自らに向けても。
声は彼女と、自らのものしか響かない。だから
せめて明るく、エールを**]
変えたかった……?
[マユミの言葉を反芻し、考える]
変えられたかもしれない。だが、僕はそうしなかった。
だから、後悔しているのだよ。
僕が行動しても、未来は同じかもしれない。
だが、僕はベストを尽くさなかった。
[母のような、姉のような、友達のような、ひとつではない感情。
その中で、己をさいなむ後悔の理由を探す]
変えたかった、というより。
僕にできることを、してやりたかっただけなのかもしれない。
[ベストを尽くして、それでも未来が変わらないなら、仕方ないと諦めることもできる]
結局、僕の原動力は、シーシャのためというより自分のためなのかもしれないな。
[けれどマユミは、きっぱりと優しいと言ってくれる。
こんなハルカのことを、優しいと]
……ありがとう。
[噛み締めるように、その言葉に感謝して]
ああ。
せっかく、こんな機会を得たんだ。
夢の中なんだ、きっとなんだってできる。
僕も、マユミも。
――――……未来を、変えよう。
[成功するかなんてわからない。
けれどせっかく得た奇跡のようなこの機会に。
ベストを、尽くそう**]
【人】 蟻塚崩し エルゴット-裏庭- (194) 2014/03/04(Tue) 20時半頃 |
【人】 蟻塚崩し エルゴット―食堂― (195) 2014/03/04(Tue) 20時半頃 |
【人】 蟻塚崩し エルゴット[そうして暫くは時間が切り取られでもしたかのように動けずに居たエルゴットだったが、ハルカからの声掛けに漸く我に返れば>>170、瞬く彼女の様子に。] (198) 2014/03/04(Tue) 20時半頃 |
【人】 蟻塚崩し エルゴットう、うん…、ごめんなさい… (203) 2014/03/04(Tue) 21時半頃 |
ゴロウ先輩……やはり、眼鏡じゃなかったですよね。
[思わずまじまじと見つめてしまったのは、そのせい。]
―― 廊下で一人佇む間に ――
[未来を変えよう
そう言ったハルカの声に、とても励まされる。]
私は、自分で行ったことをやり直したいだけなのです。
本当に、我侭なことですし……
ああ、でも、先輩にも、関係あることなのですよ?
[正確には、この寮に残っている生徒全てに関してだ。
ほんの些細のことだけれど、ずっと引っかかっていたこと。
忘れられていればいい、そう考えたけれどやはり、自らが忘れられないかぎり永久に何も解決しないこと。]
ええ、変えてみましょう。
それが夢に消えても、きっと……
[そこにもう後悔はないだろう。そう、思うのだ*]
【人】 蟻塚崩し エルゴット[食べるのを別の所にしようと決めて、先程注文の代わりを申し出てくれたフィリップに視線を送れば、ジリヤと二人戯れているところが目に入り。193>>196] (214) 2014/03/04(Tue) 22時半頃 |
【人】 蟻塚崩し エルゴット[誰かに優しくされることがどれだけ嬉しいか知っていて。 (215) 2014/03/04(Tue) 22時半頃 |
【人】 蟻塚崩し エルゴット親子丼… (223) 2014/03/04(Tue) 23時頃 |
【人】 蟻塚崩し エルゴット[食堂を出る時、フィリップと目があっただろうか。>>217 (225) 2014/03/04(Tue) 23時頃 |
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