64 色取月の神隠し
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この日を逃しますとなぁ
…なかなか難儀やかね
せやなぁ…けど大禍時やなんて…
ヒトの都合で付けた言葉は
うち好きではありませんよぅ?
うちらはうちらの理の世界
忌まわれる道理もありませんやろ?
うちらにとっては禍でも
ましてや大禍でもありませんやん。
まぁ、瞬きが如きはヒトの命
うちらの理がヒトにとっては
どうかは知りませんけれど?
皆さん何かされますのん?
ん……。
[擦れたような、鳥の声。黒烟を纏う気配は、今までに感じたことのない――けれど、知っているもの]
ああ、あんた、
[声を掛けようとしたところへ、高い箏の音]
……知り合い、かい?
|
―前日/名月の夜―
[月が地上を照らす、静かな夜。 そこに、静寂を破るように笛の音がまた、響き始める。
昼に鳴らしたそれとは違う、しっとりとした荘厳な調べ。眠気を誘う子守唄のような、低い音色が奏でられていた。]
(56) 2011/09/13(Tue) 22時半頃
|
確かに己は、鵺なるあやかしだけれども……。
えと、そちらさんは。
……もしかして、前に都ででもお会いしたことが、ありましたっけか。
[奴延鳥――男を鵺と喝破した、喜色の滲む声音に首を傾ぐ]
九尾さんには会ぅたことありませんけど、
六尾さんやったら、伏見におりましたかなぁ…
ええ、遠い言うても、ヒトの足でやろか?
せやなぁ、龍の笛の方と同じやな。
琴古主とも呼ばれますけど、
九十九でおぅてますよ?
大勢の胞と介すのは久しぶりやからねぇ
どうぞよろしく
人にとっては禍に思えること。
…俺にとっちゃ、ちょっとした悪戯に過ぎんさ。
悪ガキってのは、悪戯ができる機会があれば実行に移すもんだ。
[樹の上で笛を吹きながらも、聞こえぬ声は飛ばす。
悪童のようなものだからこそ、雷門は己にとって「近所の雷親父」の如き厄介な存在である。]
ろくび……。
[六尾、ということだろう。
思わず自分の尻尾を振り向いた。ふさふさとした尾は、一本]
世の中ってのは、広いねえ。
あやかしの世も、さ。
ああ、よろしく頼むよ。
[箏の音は弾む]
清涼殿で、大立ち回りしてましたやろ?
うち、その時おりましたんよ。
いぅても、その頃はこうやって爪弾くことも叶いませんでしたからなぁ。
お話するんははじめてですよぅ?
あの日の寂しげで憂いの声が綺麗でなぁ。
うちずっと覚えてましたんよ?
ヒトは不吉や言うて、騒いでましたけどなぁ
あらぁ……その気は確か…
うちが村に来たときに
お兄さんもあやかしやったんやね。
えらく可愛らしい気やったからなぁ。
[音亡き箏の音は愉快気を纏う]
ぴ、
[明之進の「つくね神」に、笛の音が少々乱れた]
祭りの決まりごとなんて…
“無粋な真似をしなきゃいい”以外には何もないさ。
[気ままなあやかしの言葉。
それは、余所からやってきた者にも向けられていたようだ。
やがて、演奏へと集中し始め、夜の間は、聞こえぬ声にもなかなか返事をしなくなっていただろう*]
[箏の音が聞こえると]
うん、けしゃらんぱしゃらん、だから。
[己の正体を伝える。
眠そうな囁きは上手く言葉を紡げていないがそれはさておき]
いっぱい集まって、あやかしも おまつり?
火を食べたり できるかな
|
―祭りの初日・屋台広場―
くぁ……
あー……朝から元気だなぁ、人って奴は……
[夜の方が圧倒的に元気な青年は、あくびを噛み殺しながら、本格的に始まった祭りの屋台の通りを歩いている。
一応、腰に下げた小袋の中に銭も入れているが、それは仲間の狸から貰ったものであり…葉っぱにしては出来がよかった。]
(70) 2011/09/13(Tue) 23時頃
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龍の笛……んー龍っつぁんでええやろか?
元気があってええなぁ。
うちは、できひんのよねぇ……この身体(箏)やと
折角の逢魔時やから、愉しんで
愉しませたらええ思うんよ。
雷門さんも、なんや忙しのうみたいやし
あまりうちらを気にした風でもなかったからなぁ。
せやけど、ここは霊峰の麓やから
気ぃつけてな?
ヒトもヒトならざる力持ってるやもしれへんし
おう、好きに呼んでくれて構わないぞ。
ああ、そういや…むかーしも、遊びを邪魔されたことあったっけな…気をつけんと。ありがとう。
[志乃の忠告に、何かを思い出したようで。]
あぁ、それと…鵺の?
雉、少し貰った。うまかった。礼を言う。
[自分への贈り物ではなかったが、分けてもらった以上は告げておいた*]
清涼殿、ね。……あれはなぁ。
[女の口から零れる言葉に、
男の面に何とも言えない表情が浮かんだ。
寄って集って討伐され、残った欠片が人の態を為しているのが今の男だ。
落魄し、かつての大妖とは別の存在に成り果てていたから
箏の女の言葉には苦笑するばかり]
……あぁ、姉さんか。さっきはどうも。
[狐の女の声が聞こえれば振り向いて、
知り合いか、と言う問いには]
どうにも、己の昔のやんちゃを見られていたらしいなぁ。
[ばつが悪そうに、小さく肩を竦めた]
喧嘩屋 辰次は、メモを貼った。
2011/09/13(Tue) 23時半頃
……なぁに、あれは狐の姉さんにあげたモンだ。
己が礼を言われる筋でもないが――、
まぁ、九十九の旦那も喜んでくれたんなら、何よりさ。
[思わぬところから出てきた雉の礼に、答える]
まだまだ非力な子供。
こんな時間に独りでは危ないやもしれぬな。
[肩を叩くと同時に一平太の周りを本人には見えない霧が包む。
それはならず者達を惑わす幻覚の霧。
父親から受け継いだ僅かな能力。
故に"人間"相手にしか通用しないであろうが。]
――――気をつけてな。
[届かない声をもう一度押し掛け弟子に掛けて。
とぼとぼと帰っていく後姿を見守った**]
……そうかい。
[都の様子も、清涼殿とやらが何なのかもわからないから、
想像するのはただ暴れているあやかしの姿。
それでも、己が目にした傷跡を思えば、茶化すのは憚られた]
都で会ったのがこんなところでまた会うなんて、
世の中ってのは、狭いねえ。
[さっきと逆のことを言い]
ああそうそう、雉、ありがと。
人間に料理してもらってみたけど、旨かったよ。
[辰次に重ねて、礼を言う]
ん?
[何となく違和感を覚えて、その正体に思い当たる]
ああ、あたしはね、芙蓉ってんだ。
あんた……名はあるのかい。
[狐の姉さん、と己を呼ぶ男へ、問うた]
|
―屋台通りの一角―
お。的あて…?
[遊戯用の弓矢を発見し、目が輝いた。]
当てた所に応じて、景品がもらえるのか…やるやる!
[小袋から銭を取り出すと、屋台の主人へと渡し、弓矢を番える。
五重の円の真ん中が六点、外の円に行くに従って五点から一点ずつ減っていくようだ。ちなみに、一点は円の外。
慣れていない手つきで、矢を放つ。1]
(90) 2011/09/13(Tue) 23時半頃
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辰次は、円にすら当たらず、地面を思い切り踏んだ。
2011/09/13(Tue) 23時半頃
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ちっくしょぉ……ん? 一度につき、三本? よし、任せろ!
[もう一回、もう一回。 二本目は1点、三本目は3点。]
(93) 2011/09/13(Tue) 23時半頃
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やんちゃやなんて、とても凛々しい立ち振る舞いに、うち心が震えましたんよ?
[離れ姿は見せずとも、鵺の方が複雑な思いを滲ませているのは、音色を聞けば理解も出来て]
え……えぇと……
お声を聞けてはしゃいでしまいましたわぁ。
[ごめんなさいをするように、しゅんとした音が届いたか]
広くて狭いんは、ヒトの世もあやかしの世も変わりませんよん。
芙蓉さんも、上方来たらええんよ。
稲荷山の宇迦之御魂様は、
気さくな方でねぇ…
嗚呼うちも雉戴きましたよぅ。
おおきに。
|
…これおかしいんじゃねぇの。
[二本目もまた、円の外にはずれ、何とか三本目は円の内側に刺さったが…芳しくない結果に、文句を垂れながら弓矢を主人へと返した]
5点は飴玉一つ…ね…どぉも。
[もう一度挑戦しようか考えながら、大きな飴玉をしばらく見つめ、口に放り込んだ。実はインチキだったんじゃないかと、他の客の的当てを観察している。]
(95) 2011/09/14(Wed) 00時頃
|
|
お、ゆりさん、おはよう。
コツがあんのかな、どうもうまくいかなかった。
[口の中で飴玉を転がす。ぷくっと頬に丸が浮かぶ。
1〜5点の景品、つまり成績が最下位に近いのは、屋台の張り紙でわかっただろうか。]
(108) 2011/09/14(Wed) 00時頃
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稲荷山の……ああ。
お名前だけは。
[親戚の友の親戚の、そんな狐付き合いを通じて、遠い主とも言える神の御名は、伝わっていた]
へええ。会ったことがあるんだ、ねえ。
[感心したような、羨ましそうな声が漏れた]
……あぁ、名前かい?
己は、今は藤之助って名乗ってんだ。
芙蓉ね、なかなか佳い名じゃないか。
藤に芙蓉に……夕顔。何とも雅な名が揃ったもんだ。
[狐の女――芙蓉に答え、ふと、夕顔のことを思い出した]
……清涼殿でのことは、何て言うのかなぁ。
絵巻物でも見るような感じなんだよなぁ。
[大妖の欠片でしかない今の男にとって
かつての立ち回りなど、どこか他人事のような記憶でしかない]
まぁ、昔の俺のしくじりだ。
あんたが気に病む必要はないさ。
[しゅんとする筝の女を慰めるように、軽い調子で]
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