73 ─深夜、薔薇の木の下で。
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……薔薇は無粋な子ばかり、選んだねぇ……
[モリスの騒がしい声に、僅か眉をしかめるよう]
君でもいいよ、暖めてくれるなら。
薔薇の、木の下で……抱きしめて……くれる?*
ちょ、あんた誰だか知らねーけど何わかんねー事言ってんだよ!
[モリスが顔を赤らめたのは風邪を引いたせいなのか、それとも思い当たるふしがあったのか。]
し、知らねーよ、抱きしめるとかそんなの、バカじゃねーの……
[思い浮かべるのは、寮に帰る前に薔薇園で起こった出来事**]
[緩く首を傾げて、響く声にくすり、笑う]
薔薇は咲いてしまったからね。
君も、きっと気に入ってくれるよ。
[つ、と彼らのくちびるに指を這わせるような感覚を、薔薇の香とともに。
むせ返るような甘い香は人を酔わせるためのもの]
もう、君達は出れないんだよ。
すぐにわかるから。
少しだけ、夢を見るといいよ
薔薇は…随分と強く咲いてしまったみたいだね。
そんなに匂う?良い香りだと想うのだけど。
[エリアスの脳裏にはわからない声で彼らに声をかける。強い香りはエリアスの体には少々きつかった様子]
ねぇ、どうだろう。
君達にお願いでもして良いかしらん。
んー……とりあえず、エリアスに会ってみようかなぁ。
会って、吹っ飛ばされなかったら、中身違うんだろうし。
[助けて欲しいという言葉も気になるし。
好奇心は猫を……。
騒がしいには騒がしいけれど、モリスとは対照的か。
案外、割とあっさり頭に響く声には慣れた様子で返すのは、
人懐っこい性格故だろうか。]
んー……結構匂うよー。
香水の瓶ひっくり返したみたいにさ。
[すんすんっと犬のように鼻を鳴らして、
聴こえる声に答えていれば、返した相手らしきが眼の前に。]
お願いって何?
もしかして、動けないから運んでーとか?
[この状況で、エリアスが自分を頼ったら、
確かに異常事態だろうなぁと、思いながらのほほんっと。]
あぁ、君が、ノックスだね。
[見た目と反して、緩やかな声音でといかける]
うん、そうそう、俺、ノックス。
[うわー、本当にエリアスじゃないのかなー。
とは、流石に薔薇の声にも乗せないけれど。]
……何、言ってるの……
[エリアスの意識と混ざり合って。
まだエリアス自身は、この声に気付かない。
知らずにこの声を乗せていることにも]
苦しいんだ。のどが、痛くて。
何って?
[何のことに対して言っているのか判らず、首を傾ぐ。]
喉が痛い……喉飴食べる?
[手を差し伸ばしながら、提案一つ。
喉飴は、部屋にかえらないとないのだけれど。]
[支えられてかくりと一度、意識を飛ばしたようになったけれど、も]
……。飴より…こっちがいい。
[するりと見えぬように触れる彼のくちもと]
ねぇ…聞きたかったんでしょう?
こっち?
[唇に触れられれば、少し驚いた顔をするけれど。
こっちが何を指すのか判ってないない少年は、
その後、見開いた眼を瞬かせる。]
んー……こんな風になっちゃった理由は知りたいけど
話せる状況だったりする?
[体調的にとは、暗に。
触れられた唇が、何故か熱くて。
ふっと、いつか、似たような感覚を夢で覚えたと思いだす。
あれは……いつ、だったろう。]
体調が悪いのは僕じゃないもの。
大丈夫だよ、今エリアスには眠ってもらったから。
マネするのも、簡単。
[青白い顔とは裏腹に、色を込めた声]
教えてあげる。その代り、あっためて。
君、抱きつくの好きでしょう?
[もう一度、ふわりと口元にふれて]
ここから少しだけ、君の精気をくれるかな?
眠って貰ったって、エリアス大丈夫なの?
[艶やかな声に、ぞわりと背を走るもの。
触れられた唇が、熱くて……―――。]
そりゃ、ぎゅってするのはスキンシップだから。
でも……―――
[ようやっと彼が言いたいことが、なんとなく判る。
精気って?とか、色々思うことはあるが、
戦慄く唇は音を紡げない。
ぎゅっとするのと、キスは違う。
それでも、抗いがたい衝動は……オスカーの存在に
今はようやっと止められている。]
…ジャマ、入ったね。
しょうがない。じゃ、僕は今は眠ることにするよ。
キスもスキンシップでしょう?
僕とは…嫌?
だったら他の人にお願いするから。
でも、枯れそうなのは本当。
それに、僕は君のこと、嫌いじゃないよ。
[キスは後でね。そう、とてもとても甘く囁いて]
[ソファの上で目覚めたのはエリアスその人。
けれど、瞳の艶のある色は変わらない。
誘うように、ノックスにむけてる瞳は胸裏の薔薇の精]
…ここの本、探してみたら?
ずっと昔にも…トゲはきっと、悪戯をしているよ。
[ずっと学校を見守ってきた薔薇の木。
トゲにつかまった生徒の記録が、きっとどこかにあるだろう
御伽噺のような物語は、きっと、甘やかで、ひそやかな蜜色のそれ]
本当は、ここで君と一緒にいたかったんだけど、ね。
[くすり]
|
──医務室──
[誰もいない医務室はしん、と冷えて。消毒薬の匂いが沁みる。 押し付けられた医務室係だが、この空間に入れるのなら良いな、と思った。 息を大きく吸い込む。このまま自分も消毒されて、透明になってしまえばいいのに。そんな夢想。
ぽふ、と冷たいベッドに横たわり、ぼんやりと天井を見てどれくらい経っただろう。]
あれ……フィリップ。
[扉の開く音に身を起こす。]
どうしたの。
[鍵は空いて居たとは言え、もう一人委員が居るとは聞いていなかったし不意打ちだったので、多少挙動不審になった。]
(137) 2011/12/23(Fri) 22時頃
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誰でも、いいんだ……?
[かけられる甘い声に、咎めるでなく零す音。
誘うような色に、そのまま囚われるように
ヒントを貰っても尚、オスカーに伸ばされる
指先の動きを見詰め続ける。
その続きを、本でなく知りたいというように。]
|
別に寝にきたわけじゃないよ。
[指先に鍵を引っ掛けてくるりと回す。]
マラソン大会の日の優雅な昼寝の代償が、休み中の医務室係ってだけさ。一応夜間は施錠するけど……。
[言葉が途切れたのは、不意に今が夜間かどうかわからなくなったから。パタパタと綺麗な羽根を見せる極彩色に視界は奪われて。]
……あれ? やっぱり、いいのかな?
[首を傾げ、フィリップのほうを見る。なんだかくらりとした。]
その棚、なんだっけ。
[独り言のように。何か先生に言われていたような気もするけれど、何だっただろう。]
(144) 2011/12/23(Fri) 22時半頃
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…僕が思いを遂げても、眠ってしまうんだろうか…
[今は、エリアスとは別の意識の中で、
彼に投げかける]
なら、薔薇のトゲを受け入れた、君達とがいい、な。
[眠ってしまうこと。それはきっと開花という、想い遂げた花が散華する、決まりきった運命のこと]
あんまりこの子、からかっちゃだめだよ?
血圧あがっちゃうから。
[くすくす。お邪魔虫はいなくなったけど]
君はまだ、耐えられる方?
それとも、この子に触るのは、好きじゃない?
[揶揄っちゃ駄目と言われても、止まらないのがこの男。
しっかり揶揄って、顔を寄せるのは、耐えてる訳でなく、その逆。
エリアスはノックスのことを嫌っているが、
その逆はそうではなくて。
それでも、キスをしたいかと言われれば、
否というのは通常時では即答なのだけれど。
――……身に穿たれた棘は、
確実に欲望という名の根を張っていた。
それは、抗えないほど。]
|
そりゃあ医務室なんだから薬棚に決まってるサ。
[言葉遊びのようなことを言って、ひょいっとベッドを下り、フィリップの手の中を覗き込もうかと、したときだったろうか。]
オスカー? どうしたの。
[駆け込んできた後輩に怪訝そうな顔をする。同室者の窮状を知ればその顔はどんどん険しくなっただろう。]
(168) 2011/12/23(Fri) 23時頃
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そうだね、迎えにいってくるよ。 オスカー、ありがとう。
[フィリップの視線にはため息をつき、追及は中断された。視線を外された極彩色はどんな反応をしたのやら。
もとより人の名前を覚えるのは得意なほうで、寮生の名前と顔はほぼ一致している。後輩に礼を言い、ぱたぱたと医務室を走り出た。]
(174) 2011/12/23(Fri) 23時頃
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[合わさる唇と唇。
そこからじわりと毒が染みいるように、広がる熱の感覚。
初めての筈なのに
嗚呼、この感覚を知っていると思った。]
|
──廊下──
……薔薇?
[消毒薬に麻痺した鼻腔に、むせ返るような匂いが触れる。困惑に思わず足を止めた。 普段ならばいい香りと思えただろうそれは、けれど今夜は何処か悪いものの気配を孕み。季節的な異常さもあいまって、背筋が震えるような何かを呼ぶ。]
……ねェ。巻き込まないで。
[この香りに、"連れていかれる"ような気がしたのは、暗い廊下が見せた錯覚だろうか、それとも。 連れて行ってくれるなら、自分だけでいい。そんなことを、思った。]
(180) 2011/12/23(Fri) 23時半頃
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つーか、さっきから、何してん、スかぁ……
[廊下を歩いている時にも聞こえる、秘密の密会の様子が聞こえて。
ベッドの上で独り、呟く。]
…ゴチソーサマ。
君、なかなか下手だね。
[からかい半分に。
エリアスだってうまいわけないのだけども。
それでも薔薇は、少しその精気を吸い取ったよう]
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──ちょっと前・医務室──
いいよ、歩いてくれればどうにかなる。
[今までも体調を崩したエリアスを運ぶことはあった。きっとどうにかなるだろうと判断。気が急く。]
怪我人はおとなしくしてなよ。
[大袈裟な包帯の下の具合は知らない。見た目だけで判断して断りすてた。]
(185) 2011/12/23(Fri) 23時半頃
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