54 CERが降り続く戦場
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皆殺しにしたくなるじゃないかぁ。
[内で気紛れに眠っていた凶悪な感情。だがそれはあくまで内に秘めたまま、表では笑みを絶やさない]
[はたまた気が付いていて、あえてその手を触れさせたのか。]
(今の私には、誰も守る事が出来ない。)
[彼女は今は"まだ"ただの一匹の狼。
天災を操り、混沌を呼ぶ力に覚醒めるのは、まだまだ先の話。]
なるほど、アックアッツォーネか。
…アック、だな。
[長いな、と内心思った次の瞬間には勝手にはしょり、呼称を決めてしまう。
そして、アリスにも通じる言葉を教えてくれないかと頼まれ]
…語りかけるのではなく、自身の思考を対象に流し込む、という方法もなくはないが…自分のモノではない考えが浮かぶのだから、気分の良いモノではないだろうな。
他には……私が協力して、『言葉の記憶』をキミに纏わせる、という方法もなくはない。
そうすれば一時的にではあるが、人間と同じように喋れるはずだが…。
[そう言ってはいるものの、案を述べるヤニクの声は明らかに面倒くさそうだ]
……――勿論です。
解放《リーベラティオー》された貴殿でなければ、超上位種《エルダーロード》に対抗できませんからね。
[ 笑う声に、返すのは普段の通り淡々した口調。]
俺が楽しんでいるかどうかは、わかりませんがね。
”アック”…(アック)
ポ ”アック”(アックか)
ウン エエリ
(うん、いいね)
ハウ バ バッヴィ!
(そう呼んでよ!)
ヘパウ ウァ ゴエヘバウ レ ロトヘパオゥ
(思考を対象に流し込む)
ハ ハイーグギ ヴァウボイージョ エエッヴォエ…?
(そ それってどうやればいいんだい…?)
ハイーレヘギオァ…
(それにしても…)
ペバウ ソ ヴォロ ガッヴォセ
(今日はとんだ日だな)
グテポイォ レ グテ
(次から次に)
エボ ヴィオァ
(いや でも)
ポットイバウ レ ソ バグギ
(考えようによっては)
パウウン ロラポオァ
(幸運なのかも)
なに、思考を流し込むといっても、やること自体は難しくない。
キミは恐らく今、彼女に『聞いて』もらおうと語りかけているはずだ。
聞くのは耳…心…しかし、言語があわなければソレはただのノイズでしかない。
ならば、『音』となる前の純粋な情報…思考を直接読み取らせればいい。
…つまりは、語りかける対象を耳や心ではなく、頭にすればいい。脳に、な。
しかし…さっきも言ったが、自分の考えていないはずのことが頭に浮かぶんだ。
『うわ、なにこれ、きも!』とか思われても、恨むなよ?
[…今の世の中、理解できないことがあると、若者はそういうのだろう?
などと付け加えながらも、ざっくりと説明する]
− 回想 −
[真面目に答える若者の言葉には苦笑しつつ]
超上位種《エルダーロード》とかまた面白い連中が降りて来たもんだな。
平和を願うなら相討ちでも狙ってるかね。
超上位種《エルダーロード》を喰い殺したら…。
全力で俺を討たないと…終わるぞ?
[昂揚してくるのは内から湧き出る破壊と殺戮の衝動]
平和…?
本当に平和を望むならば、このような根回しはしませんよ。
[ 彼の"声"から伝わる衝動を感じて、溜息とも微笑ともつかない吐息が漏れた。]
俺が望むのは、このセカイの、反転《Rebirth》――
その結末が、混沌でも、破壊でも、終焉でも一向に構わない。
ロオイゥサヴァ
(なあるほど)
… ”アリス”!
(…アリス!)
…… ソッラウ ト ロエ
(……反応がない)
ヴォオィポオ
(ダメみたい)
オゥアゥポヘエ!
(むずかしい!)
オァウフパヘ パグ ウァ バ アヘイギ!
(もう少しコツを教えてよ!)
コツ…コツねぇ…。
…思いというのは、空気を媒体に伝わるものじゃない。
だから話しかける要領でやってもダメだ。
キミと彼女をつないでいるモノ…ソレを伝って、キミの「言葉」は初めて彼女に届く。
糸のない糸電話など、相手に声が届くはずもないだろう?
[そんな抽象的なアドバイスをする]
オオ オァウ ボボグパヘエ!
(あーもうややっこしい!)
イェプグ ソ ホ ウォポイゥッヴォピヴァ
(理屈はわかるんだけどさ)
ジャプ ソ パウエウ パウォアォ レソ ボ オゥエギロエ!
(僕はこういう小技には向いてないや!)
ヒグポプ アヘイギプイーゴ ラレ リ タオィン…
(せっかく教えてくれたのにごめんね…)
なに、気にすることはない。
…今まで言ったことは、大体適当だ。
[しれっとそんな事を呟く。
嘘ではないが、それで本当にそんなことが可能になるかは定かではない]
…まぁ、何かの縁だ。
本当に困ったら言うといい、気が向けば力になろう。
イイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイ
(ええええええええええええええええええええええええ)
ゲバグガ!(ちょっと!)
オァウ! パイーヴォポイォ ソ ”ドリーマー”!!
(もう! これだからドリーマーは!!)
ヘッバウヘゴ ジャプ ト ヴォグゴ ジョポ!!!
(信用した僕が馬鹿だった!)
オァウ ヘッバウ ロッギ ポイォ ヘロエッヴォ!
(もう信用なんてしないんだから!)
サッガウ レ サッガウ レ パオーグゴイォ
(本当に、本当に、困ったら)
エウポオァ
(言うかも)
”ドリーマー”(ドリーマー)
オァヘ ペオェ レオァ パオーグゴパガ ト オイージョ
(もし君にも困った事があれば)
エウ ガ バ エエ
(言うと良いよ)
ジャプ オァ ヴィペイゥポテイェ ソ ゲポイォ レ ポイォ ロイゥ!
(僕も出来る限りはチカラになるから!)
(それにしても…)
(魔女に)
(裏世界《Rebirth》の住人)
(…… 栄光の影 か …)
ポオェタイァヘ…!?(神殺し…?!)
ロレオァラ バ ロッヴォ(何者なんだよ)
リイ ”ドリーマー”?
(ねえ ドリーマー?)
ウッオィエ グギ リ ロッヴォイァウ…
(運命って、なんだろうね…)
いきなりクライマックスが近付いているじゃないか。
[その場にいれない不服さを滲み出させたまま、呼び掛けた。
別に返事を期待している訳でも無理を言うつもりもない]
案外俺より先にお前さん達だけで倒せるんじゃないか?
そん時はお前さん達を殺して楽しむだけだがな。
[笑みのまま紡ぐのは物騒な台詞。
だが少しずつ満ちて来る破滅の気に呼応し始める己を止める事はしなかった]
[そして水鏡には映っていないが、確かに感じる天狼の気配には優しく気遣う様に]
カミと呼ばれた生き残りよ…。
満ちて来た俺の声なら離れていても届くはずだ。
[獣《ベースティア》は相手の恐怖の対象へと姿を変える時がある。その中に狼の姿があったせいか、それとも天狼と呼ばれるカミとも拘わりがあったせいか。
少なくとも天狼に呼び掛けるだけの縁は持っていたようだった]
気配から察すると完全に目覚めていないんだろ?
そこにいると巻き込まれるぞ?
それともわざと巻き込まれて、戦いの中で力を取り戻す算段か?
その方が手っ取り早いかもしれんが、危険だぞ。
俺はあまり無理を勧めんがな。
[力の無い天狼の気配を読み取ったのか、超上位種《エルダーロード》との戦いが始まれば巻き込まれる事を予想して気遣う。
力さえ取り戻せば、そう簡単には負けはしないと思っているが]
数少ない獣《ベースティア》と近しい存在だ。
あまり無茶するな。
[何の感情を起因とする気遣いなのか判らないが、天狼には他のものとは違う思いがあるようだった。
だがそれも気紛れで、明日には牙を奮うのかもしれないが、それは目覚めなければ判らなかった**]
[そうして、どこからか聞こえてきた声に、不思議そうな顔をする。]
うん、聞こえる。私には何の力もなくなっているのに…。
なぜ?どうして聞こえるの?
[聞こえてきた声に対してそう答えるしかなくて]
目覚めるって、何のことなの?
戦いって、巻き込まれるって…私はただの狼だもの。
無茶なんか……。
[覚えているのは父の言葉。
自然を操る一族でも、すべての自然現象を操る自分は特別だと。
父は絶望し、悲しみを隠せなかった。]
『やはり、人間はその悪意を広げるか。
すべての生きとし生ける者のためには、人間は増えすぎて、進化しすぎたのだろうな。
わが娘よ、いずれお前はすべてを失い、力を持つだろう。
人類の文明に混沌と乱世を呼び、自然界のバランスを保つのだ。』
[今も昔も変わらずその意味は分からない。]
あなたは私が…私の父が言っていた言葉、伝えていた言葉がわかる?
私が何をすべきなのか…。
[困った声は変わらぬまま、続けて、静かにアリスを見つめた。]
だめよ…私はあーちゃんを置いて、逃げたりできない。
……うん、できないもの…。
(噛み殺し…?)
[何をだ?などとどうでも良いことを考えながらも]
運命か…強いて言うならばシナリオ…過ぎてしまえばただの夢<記憶>だ。
しかし、シナリオの中にはアドリブというものは描かれていない…結局のところ、運命と言うのはただの都合の良い言葉さ。
良いことがあれば、ソレを祭り上げるために運命だと言い、悪いことがあれば、それから逃げる言い訳に運命だからと片付ける。
…絶対的な『運命』など、ありはしないさ。
私はソレを何度も見てきた。
…まぁ、人々はソレを『奇跡』と呼ぶようだがね。
ああ、まったくだ。
せっかちな奴が多くて困る。
[ 応じる声は平坦に。]
相手は超上位種《エルダーロード》です。
未知数の共闘相手がいた所で
問答無用で惑星を破壊されれば我々に生き延びる術はありますまい。
…すぐにでも貴殿を解放したいが、今はまだ、まずい。
他人に――とくに、《Rebirth》の魔女と、あいつに見られると面倒だ。
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