25 花祭 ― 夢と現の狭間で ―
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本郷様。 いえ、月に――何か、 何か思い出せそうなことがあるような、気がして……
[見上げたものの色硝子越しの月の色は伺えず、 鉄色がこちらに戻れば、あらためて一つ頭を下げる]
宴の前は、ご心配をおかけして申し訳ありませんでした。 ――舞える程度には、落ち着きましたので。
[認識の齟齬は解決してはいないのだけれど、 その事実には蓋をして微笑う]
(@25) 2010/08/03(Tue) 22時半頃
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―大広間―
[即興で吹くのは難しい。経験少なければ尚の事。 そのまま顔を俯け去りたい気分だが、どうにか上げて一礼した]
華月殿。
[頷き、自分は舞台から降りた。 これ以上は乱すだけで済むまいと。悔しさに唇を軽く噛む]
(362) 2010/08/03(Tue) 22時半頃
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…月に?
[そう告げられて、またもう一度月を仰ぐ。 月齢15まであと一日と言ったところか。 頭を下げる様子に首を軽く横に振り]
ああ、私は別に。お前の体調が戻ったならそれで御破算だ。 先程の舞、見せてもらった。
────好い舞だ。
[視界の記憶の中で舞う白い袂を思い出せば鉄はするりと細くなる]
(363) 2010/08/03(Tue) 22時半頃
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…………はい。
[眼前の仕事仲間の口にする言葉に
青年は何度も返事を窮し]
……例え、あの人が望まなくても
それでも私の咲き方です。
私が選んだ以上、私が悪くないとは申し上げられません
……が、おっしゃるとおり幸せだとは、思います。
[それでも、外を眺める刷衛を紅で見据えながら
静かにそうと告げて
例え己が目を塞ぐ様子が
他者の気を塞いでも……己に積はないとは言わないが
曲げることはない]
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恋すれば、芸は色香と艶を増す…
[幾人かが競い奏でる笛の音は、それを纏っているや否や。 確実に分かるのは、あの時の雛鳥の声が、幼いながらに艷めいて聞こえたことなれど。]
されども、それに溺れては…焦がれた炎は身を焦がす…か。
(364) 2010/08/03(Tue) 22時半頃
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>>360
[イアンが丁寧に刀を選び、振り向いてひざまずくのを見てため息をついた。]
よりによって、それを選ぶか。 まぁ、構わん。
価値ある一本だが、俺が使いこなせるわけではない。 気に入ればそのまま共にいるといい。 思い強ければ、力強い相棒となろう。
[そのまま、持っていけ、とやはり呟く。]
(365) 2010/08/03(Tue) 22時半頃
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―B棟・廊下― [部屋から羽織だけを取り、大広間へ引き返す。その途中窓の外、欠けた月が――未だすこしだけ、天に満ちる月に足りない月を見上げ]
欠けた月、か。――どこか俺みたいだよな。 ……俺は兄上や父上のように満月とはなれない。
[苦笑いを浮かべ]
(366) 2010/08/03(Tue) 22時半頃
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[ふと、こちらを見ているのに気がつくと]
おまえ、見ないといっただろう。
見たのなら、笑え。
見たのなら、貸した代償は払ってもらうぞ?
[今度はふざけた声になる。]
門下生 一平太は、メモを貼った。
2010/08/03(Tue) 22時半頃
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[何か因縁がある業なのだろうか? その言葉にゆるく首を傾けるも]
はい。誠にありがとうございます この借りは必ずや。 ……私に出来ることならば何なりとお申し付けください 主と共にある心以外ならば、何なりと致します。
[そう告げてから呟く声に立ち上がり 左手に太刀持ち……一歩刷衛に近づけば右手を伸ばす ゆるりと指先を相手の頬に触れようと]
(367) 2010/08/03(Tue) 23時頃
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―大広間・舞台―
高嶺様に、酌の手妻以外にも出来んか?いわれたさかい。
[唇を噛む夜光の裡はしれぬ。 けれど、行くと去るで交わった地点で、叶うなら励ますようにその肩を叩いた。 鵠はどうしたか、叶うならば、苔色を紫苑色に交わらせて微笑んでみせる。]
ほな不肖ながら吹かせてもらいますわ。
[舞台の中央で手を天に翳す。 ふわり――1羽の白き和紙の蝶が手妻師の指から離れ、空を舞う。手の内から、はらりはらり――和紙で出来た蓮の花がいくつもいくつも産まれ床に落ちる。そして気がつけば、手妻師の手には黒塗りの横笛が1つ握られている。
唇にゆっくりと噴き口が宛がわれれば
―――次に聴こえる一音は悲鳴のような。]
(368) 2010/08/03(Tue) 23時頃
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―広間・舞台― [夜光が合わせてくれていたのは 舞に集中する中でも気づいていた。 笛の音、鈴の音。 けれど白鳥が事切れるこの音だけは ――譲れずあったから。
りん。
鈴の音鳴らして向いた先、 華月が居る。]
…――
[少し上気した顔で小さく頷き 彼に場所を譲る態]
(369) 2010/08/03(Tue) 23時頃
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― 表座敷 ―
[静寂に押し潰される 走馬灯にも似た
とりとめも無い出来事が思い出されては消える。 翌朝には、身を侵す熱も引いているだろう 眼鏡さえ届けば、視界も晴れる
冷たい瞳は明日も 冬の空を映すのだろう*けれど*]
(370) 2010/08/03(Tue) 23時頃
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はい、あの絵画も―― 紅月、今宵の幾望と同じく一欠片足らず。 ……月が満ちるのが、少しばかり恐ろしく。
[月を畏れるなどと、気が触れたに近しいと 己自身も想うのだけれど、溢れるそれに腕を抱く。
けれど舞について触れられれば、 途端、満面に喜色が溢れて]
―――あ、ありがとうございます。 夏の宵には、もう少し涼しげなほうがよいかとも思ったのですけれど、ふとあの詩を舞ってみたくなってしまって……。 観ていただく方のこと、もう少し考えねばと思うのですが。
[溢れるものがとめられぬのです、と恥じ入るように付け加えた]
(@26) 2010/08/03(Tue) 23時頃
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……見なくとも触らずとも良いと仰られましたが
見るなとは、触るなとは仰っておりますまい?
何故……?何故笑いを求めますか?
眼が二つあり、鼻が一つあり、口が一つある
皮膚があり、眉がある…けれど笑う要素が何処にありますか?
……それでも、笑えと言うならば笑います
代償をと言うのならなんなりと。
[ふざけた声にはそう、紅を細めながらも
座る刷衛を真摯に見詰た]
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>>367
ふふ、花はみんなそう言うな。 なんなりと申し付けろ、とな。
本当に、よくできた奴らだ。
[そして、顔を触ってくる手には、物好きめ、とそのまま触らせている。]
どうだ?よく見えたか?
(371) 2010/08/03(Tue) 23時頃
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さすらい人 ヤニクは、本邸から聞こえた悲鳴じみた音に、一体何事だろうとびくりとする
2010/08/03(Tue) 23時頃
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[苔色と紫苑色交わし、 その笛の音を耳にする。
――悲鳴のような。
じっと、舞台を見つめた。]
(372) 2010/08/03(Tue) 23時頃
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― 稽古場 ―
[倒れこむように中へ入ると、床へと。 稽古場には月明かりが差して、慣れれば灯りは要らぬ程。 虎鉄はころりと寝返りを打ち、仰向けに寝転ぶ。 窓から見える月を捉えれば、じわりと、目尻に涙が滲んで。 瞳を覆うように腕を当てた。 そして嗚咽を殺すように、ぎっと歯を噛む。]
ち、くしょ…何だってんだよ……。
[胸の苦しさは癒えないまま。 涙は溢れ続ける。 その理由は、やはりわからない。 主を想う時とは違った、苦しさ。 何か、大事な事を忘れてしまっているような気がしたが、思考を巡らせようとすれば、遮るように頭がツキと痛んだ。]
(@27) 2010/08/03(Tue) 23時頃
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―大広間・舞台下―
[華月に肩を叩かれれば口元に入っていた力を抜いて。 酌の手妻以外にも、と言ったという高嶺を窺い見た。 この姿で舞わぬ、舞えぬ自分はどう映るのだろう。
悲鳴のごとき一音が鳴り響く。
身を強張らせて壇上を振り仰いだ]
(373) 2010/08/03(Tue) 23時頃
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[優雅に舞っていた蝶は、羽を震わせ弛緩したように、地に落ちた。それは演出のように見えて、実際の所、ただ操るのを忘れただけのこと。
凡才でも、稀に才あるものに近しい音を吹かせることもある。 常には手妻の添え程度にしか笛を吹かぬ男が、それを忘れて吹いたことが、その稀を引き起こしたか。 それとも、地獄の焔に煽られたか。
悲鳴のような笛の音は ――嗚呼、それは狂人の調べ。]
[地獄の焔に焼かれ自ら傷むのを願うかのような。 他者に、ここに堕ちてみろと艶めいて誘うかのような。 それでいて惑い、いつくしむような。
混沌。]
(374) 2010/08/03(Tue) 23時頃
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満ちるのが恐ろしい? ……完全なものは人には違和感になるとは聞くが。
[昔あった国の国旗は衷心より少しずらして円を描き 描かれた竜に睛を入れたところ天へと去っていったという話もあるが それを月に見出すと言うのだからどういうことなのかは男には解らない]
涼しげで気の乗らぬ舞よりは気の乗る舞のほうが見ていて気分はいいものだ。 他の主達は知らんが…私は、少なくとも。
舞を見る目は、それなりよりも多少はあると自負がある。 その私の目が好いと言った。ならば私はそれを信じる。
[むしろ好過ぎて少し身の裡で持て余すように感じたのもまた然り。 けれどこれに関しては口にはしなかった。
不意に響く笛の音にちらりと大広間のほうへと視線を向ける]
(375) 2010/08/03(Tue) 23時頃
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お前、結構屁理屈な花だな?
あれもさぞかし扱いにくかったろう。
[またおどけたように、かつての旧知にそう同情するようにわざと言う。]
ああ、目と鼻と口がついている。
歯はむき出しで、毛穴はでかい。
目は落ち窪んでて、鼻はつぶれているさ。
[そして、くくくっと笑う。]
[様々な考えの合間に思うことは多々あれど]
…何の騒ぎだ?
[鼓膜に強く響く音に、誰か理由ひとつ知らぬものかと。
笛の音であるということは、よく解るのだけど]
まぁ、代償も冗談だ。
心持たぬものを抱いても虚しいだけだしな。
まぁ、安心してあれを思って剣を振るうといい。
ちゃんと見守ってやろう。
[喋っている間も、きっと顔を触る手には、少しだけ心地よさげ。]
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[――鵠は混沌を 見る]
―― … かげつ
[小さく呟く。 ――微かな鈴の音が、 笛の叫びに掻き消されそうになりながら在った。 紫苑は瞬き忘れたかのように、ただ一心に]
(376) 2010/08/03(Tue) 23時頃
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…ほぅ?
[今までの吹き手のものとは違う。 有り体に言えば「なってない」と言っても良い。
されど、その音は…誰のものよりもより強く、滲み出る何かを帯びている。
吹き手をこの目で確かめたいと思うも… さすがに今は夢のあと。母屋まで行くには身が怠い。]
(377) 2010/08/03(Tue) 23時頃
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[そう長い曲ではなかったはずだ。 しかし、あまりの混沌さに、それを永遠のように思う者も、泡沫のように思う者もあっただろう。
最後の一音。 そこだけは昏迷を避けるように、白鳥の最期と重ねる。 悲鳴の後の絶命。]
……お耳汚し、すまへん。
[始まりと同じく、余韻の後、ゆっくりと降ろされる笛。 そこにあるのは、常と変わらぬ微笑。 弧を描く唇が聴衆に礼を述べ、飄々と舞台を後にする。]
あかんわ、真面目に笛吹いたら、喉乾いたわ。
[笛の音とは正反対にカラリとした態で、舞台下で水を求めた。 笛の音で昇華されたか、苔色に焔は今は燈ってはいない。]
(378) 2010/08/03(Tue) 23時頃
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ええ。それが花であり 花であるゆえの誇りです。
[指先に触れる肌の肌理は粗く、骨は太く けれど、主とは違う、ただそれだけのこと。]
それはもう、良く拝見させていただきました ……おや……何方かの音が、鳴いている……
[ひたりと触れながらも、遠く響く笛の音に 香なき花である青年はするりと戸口へ]
(379) 2010/08/03(Tue) 23時半頃
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[白鳥が事切れる笛の音。 演舞が始まり、そして終わるまで。 終わって三度拍手を送る間も煽るような瞳は変わらない。 多く賛辞の言葉を向けるわけでもなく、 3名の花を見る目付きは高嶺の花主のもの。]
―――…吹け、
[次をと華月が言うのならば、そう言って舞台へと送った。 窺い見る夜光と眼が合う、薄く笑った花主は 自ら舞おうとしない花を責めることなく、ただ見つめ。]
[聴こえた悲鳴には再び舞台へと。 華やかな手妻を見せて笑む花が見せる新たな一面に、 黒檀はゆっくりと細まる―――…面白いものを見るように。]
(380) 2010/08/03(Tue) 23時半頃
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御存知ありませんか?
チャールズも普段は温厚なれど
神学と言うなの論争の場では名うての論客
……床では伽話の変わりに艶もない論戦に遊んだものです
[そう言って少し紅が遠くを見て
それから現在へと焦点を合わせる]
刷衛殿はそれで刷衛殿です。
そしてその眼は刃脈を真摯に見つめ、
その歯は熱される釜の前でも怯まず結ばれ
熱から守るため身体は汗を毛穴から流し
その花は上質な鉄を香りからも見極める。
右に倣えのモノばかりが良きもの等馬鹿げている
形なぞ様々だからこそこの世は面白いのです
[己が欠点をあげるような刷衛の笑いに
そう返してから、心地よさげな刷衛から
指を離し戸口に向かう]
手妻師 華月斎は、記者 イアンに話の続きを促した。
2010/08/03(Tue) 23時半頃
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[知らぬうちに己の肩を抱いていた。 友の舞を見た時に感じたそれと似て否なるもの。 そればかりではない世界の中、甘い水を啜って生きてきてしまったものには毒にも近いほど。
それでも身体は狂の音色を追いかける。 混沌に翻弄されるのも構わずに意識を向けて。
命尽きる最後の一音。 余韻が消えると、頭がくらりとした]
お疲れ様、です。
[意識して肩の力を抜き、水を求める華月に声を掛ける。 今あの音を鳴らした当人とは思えぬ態に、また別の意味で惑いそう]
(381) 2010/08/03(Tue) 23時半頃
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