197 獣ノ國
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全
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カタタン ゴトトン カタタン ゴトトン
[どのくらい歩いただろう。 群青色の空だけが続き、身体も心もそれに染まったように思えた頃。
汽車のような音が聞こえ、じくじくと痛み始めた足を止めれば
暗闇の苦手な鳥。その瞳にも列車の姿ははっきりと捉えられて。
橙の灯りの灯る窓の中、ぼやりと深い色の髪が視え]
(333) 2014/10/09(Thu) 00時半頃
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やっと、逢えた―――
[飛べないはずの翼を懸命にはためかせれば、ふわりと目眩にもにた感覚。
夢の中で飛ぶのより、もっと心許ないその感覚。 堕ちてしまわないうちに。と、何度も羽ばたきを繰り返し、列車へと――――
コン コン コン コン コン コン
窓を叩くノックの音が、彼には聞こえただろうか]*
(334) 2014/10/09(Thu) 00時半頃
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行き先、知りたいか?
[番地のみを運転手に告げたことで、 彼女が察せるは、隣町であるだろう事くらい。 夕暮れの町を進む車に揺られつつ、目を細めて笑った。]
ご明察。 君に、鎖をつけようと思って―――、
[告げてから、ミラー越しに運転手と視線が合った。 うわっこいつ何言ってやがるって感じの目だ。]
……ネックレスはどんなのが好き?
[慌てて繕い、苦笑を浮かべる。 ネックレスを買いに行く訳では無いが、 遠からずなので良しとしよう。]
(335) 2014/10/09(Thu) 00時半頃
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―夜・雑貨屋―
[天使と別れて、"外"へと向かう道すがら、ジャニスは雑貨屋に立ち寄った。様々な物が立ち並ぶ店内に、一歩足を踏み入れて、きょろりと視線を動かせば、目当ての物を探しだす。 そうして、ずらりと並ぶ時計を見て、ジャニスは微かに眉を寄せた。
――"彼"が、時計を集めるのが趣味だと言っていたから、土産に一つ買って行こうかと思ったのだけれど。 そもそも、趣味で集めている様な相手に、陳家な雑貨屋などで求めた物が喜んで貰えるかどうか。ふと、そんな事を考えが浮かんで。 だが、何にせよ時間が無い。本格的な店は、とうに閉じてしまっていた。それでも、此処に足を運んだ時点で、買わないという選択肢は潰えていたから。
腕時計、懐中時計、置き時計、水晶時計……幾つもの種類の時計を横目で見やり、その前を過ぎていく。そもそも、"彼"の趣味も何も知らないのだ。どれにすれば良いかなんて、皆目検討もつかない]
(336) 2014/10/09(Thu) 00時半頃
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…………、
[――と。 アンティークの棚に置かれたそれに、ジャニスの視線は縫い止められた。
蜘蛛の巣の様に広がる文字盤に、白い蝶がぽつりとあしらわれている。どうやら長針に飾り付けられたゴールドの小さな蜘蛛が、時を刻む度に蝶に近付いていく様だ。長針が12を指す、その時に。まるで蝶に襲いかかる様に、二つが重なる。 決して、趣味の良い物だとは思えなかった。作りもチープだし、本当であれば、贈り物に相応しいとは口が裂けても言えない。
……けれど、気付いた時にはそれを手に取っていた。鎖がじゃらりとてのひらから零れ落ちる。 ネックレスになっているらしいそれは、幾ら小さいといっても"彼"には到底似合わないだろう]
……ま、我慢してもらいましょ。
[ぽつりと小さく呟けば、代金を払って店を出る。 新しい手袋に、綺麗なピンブローチ。そうして、"蜘蛛"のあしらわれた時計。それらを大事そうに身に付ければ、ジャニスはゆっくりゆっくり歩き出した。
――最後に一通だけ。彼へと宛てた便りを電子の波に乗せながら]
(337) 2014/10/09(Thu) 00時半頃
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―――――――――――――― 差出人:ヨハン 宛先:ルーカス ―――――――――――――― 無題 20xx年 10月3日 ――――――――――――――
ねえ、時計を集めてるんだったわよね? お土産に一つ買って行ってあげる。 アナタが気に入るかどうか、分からないけど。
――――――――――――――
(338) 2014/10/09(Thu) 00時半頃
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測量士 ティソは、メモを貼った。
2014/10/09(Thu) 00時半頃
測量士 ティソは、メモを貼った。
2014/10/09(Thu) 00時半頃
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―回想・家を出る直前―
[忘れ物はないか。と辺りを見回した時、目に止まったのは黒い傘。 道すがら返しに行こうかと悩んだけれど、 暗くなった今、明確な『目的地』に辿り着くのは不可能な気がして 代わりに一つ、通信を送る]
(339) 2014/10/09(Thu) 01時頃
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―――――――――――――― 差出人:カリュクス 宛先:シメオンさん ―――――――――――――― 昨日はありがとうございました。 20xx年 10月3日 ―――――――――――――― 昨日は傘を交換してくださって ありがとうございました。 しばらく急な用事で出かけないといけないので 返しに行くのが遅くなってしまいそうです。
シメオンさんがもしよければ、うちの玄関に 扉を開けてすぐのところにありますので
(340) 2014/10/09(Thu) 01時頃
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扉の鍵はあいているので、 ご自由にはいっていただければ助かります。
家の場所は地図を送りますね。
勝手なお願いで本当にごめんなさい
[添付ファイル.地図jpg] ――――――――――――――――――
[手短にメールを打ち終えると 傘立てに傘を置き、住宅街を歩き出した]
―回想・了―
(341) 2014/10/09(Thu) 01時頃
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[仕事の邪魔をしていないという言葉には、安心したように笑って。勉強熱心と言われたら、嬉しそうに無邪気な笑顔を見せるだろう]
できがよかったら褒めてくれるんじゃ無いかと思って 褒められると頑張れるから
[犬は褒められるのが好きなのよ?と運転手には聞こえないように彼の耳へと囁いて。 休息を取れていないことを心配しながらそっと腹に添えられる手に、ふと腹の中の子供を心配しているようだと空想の翼を広げて、一人クスクスと笑う]
大丈夫、体調に問題は無いわ。何かあったら言うって言ったでしょう?
[だから大丈夫、と安心させるために腹の上の手に自らの手を重ねて]
『ネックレスはどんなのが好き?』
[苦笑した顔に、運転手に誤魔化してるのと判断しながら、ふと彼の名前を思い出し、名案だと柔らかく笑う]
錠前の形のものがいいな チェーンの、銀色のもの
[名前で繋ぎとめられるのはとても素敵だと、彼に繋がれている気がするからと、少し甘くなった声でねだって]
(342) 2014/10/09(Thu) 01時頃
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抜荷 錠は、メモを貼った。
2014/10/09(Thu) 01時頃
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―――――――――――――― 差出人:カリュクス 宛先:ヤニクさん ―――――――――――――― ありがとう。 20xx年 10月3日 ―――――――――――――― 少しだけですが 私、飛ぶことができましたよ。
この分ならいつかは 囀れなくても唄えるかもしれません。
そのときには、約束の 私の好きな曲を――――
たくさん練習しておきます。
またいつか、お話できる時まで。
(343) 2014/10/09(Thu) 01時頃
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[引き結ばれた口元。視線の先>>330を辿っても逃げる白い後ろ姿があるだけだ。]
そんなに怖い顔しないでちょうだい。せっかく被ったおばあさんの皮が剥がれるわよ、狼失格ね。
誰かれ構わず手紙を振りまく程尻軽ではないので……これで充分です。
[悪戯そうな笑みを浮かべて、端末の後ろに付いているレンズを相手に向ける。
パシャ。水溜りに態と踏み込んだ時と似た音が響く。…から見える液晶画面には、相手の顔が映り込んでいるだろうか。 映り込んでいたのなら、端末をそそくさとポケットに隠してしまって。……後でこの写真をカナリアさんに送ろう。 下手な文章よりも、何倍もいい筈だ。
恐らく、相手の顔は嘘ではないだろうから。]
[写真が撮れようが撮れまいが、端末は仕舞う。 言い訳が欲しいのか>>332という問いに、浅く息を吐き出した。 目の前では、噴水が落ちてはけたたましい音を立てている。]
言い訳が欲しいのは貴方なんじゃないの? もう耳を隠さないのは、誰かに自分の事を糾弾して貰いたいから?
(344) 2014/10/09(Thu) 01時頃
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目に見える呪いを貴方は手に入れたのよ。誰にも解けない呪い。 たぶん貴方だけでは、貴方の望む物では、もしかしたら他の誰にもどうすることも出来ない………
[言い過ぎた、と。 視線を伏せて隣を見る。]
………代わりたいわ、貴方の全てと。 貴方は、今、その姿で幸せ?
(345) 2014/10/09(Thu) 01時頃
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―――あゝ、夜が更けて行く… 彼の姿も見えぬまま。
(346) 2014/10/09(Thu) 01時頃
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□集え獣人
20xx年 10月3日 k:l
飛べた白カナリア
巣をかける枝を探しに
しばらく出かけます。
愛人 スージーは、メモを貼った。
2014/10/09(Thu) 01時頃
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