162 絶望と後悔と懺悔と
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[認めた瞬間、体は走っていた。
明之進が抜けた穴を一時、他の吸血鬼が埋める。
普通なら絶対に通らない、切り結ぶ兵と兵の隙間を 容易く掻い潜って駆け抜ける、飛ぶように。
吸血鬼を突き刺す長槍の間合いの大外の外から、懐への最接近。 寸前で両の短剣を手放して腕を伸ばし、 全ての速度を乗せて押し倒す勢いで突撃した]
(198) 2014/02/11(Tue) 00時頃
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[ジャニスから歩法を授けられたのは周だけではない。
周の機動力の目覚ましい向上に気づいた絢矢も、 後を追うようにジャニスに指導を求め、 周に及ばずともそれに近い瞬発力を身に付けた。]
させな──い、
[当然、ホリーの眼に 絢矢の動きは捉えられていただろう。
実力差は刃を交わさずともわかる。
それでも絢矢は退けない。 機動隊は必要な戦力だ。 ここで失うわけにはいかない。]
(199) 2014/02/11(Tue) 00時頃
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へえ、小太刀で受け止めるなんてやるじゃない。
[受け止められた事で、むしろ面白がるように。連続で日本刀を振るう、上段から斬りつけたかと思えば下段から斬りつける。
無論、これで斬り殺す気はないが手傷を負わせることに躊躇は無い。]
(200) 2014/02/11(Tue) 00時頃
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だぁれをぉ?任せるってぇ?
[ホリーの力を受けとめた絢矢の背後に回り込んだ。 ホリーと同等とは言わないが、直円もまた速い。 瞬発力と敏捷性はこの直円も長けている。]
都合よく僕たちが分散するとでもぉ?
はい……獲りましたよぉ!!
[躊躇うことなく、絢矢の背後から首筋を狙って 鉤爪を振るう。努めて「狂って」見せている。]
(201) 2014/02/11(Tue) 00時頃
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落胤 明之進は、メモを貼った。
2014/02/11(Tue) 00時頃
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[白色が舞う。この防衛線は崩させないと銀色が煌めく。 周りに散らばるのは物言わぬ屍、襲いかかってくる様々な鬼。
心臓を貫けば崩れ落ちる前に踏み台にしながら長槍を引き抜き、飛び上がった勢いを乗せて肩へと。 動かない障害物を蹴り散らしながら少し遠目に周の様子を伺った。 丁度刀と刀が押しあっている所で違和感と変な胸騒ぎを感じる。 どうも周と鬼の様子が可笑しい。>>188>>195
鬼が周に手を伸ばした所で]
何やってんだよ周っ……
[悪態をつきながら駆け出そうとした瞬間、衝撃>>198。 油断していたせいか受身もまともに取れずに転がった。]
(202) 2014/02/11(Tue) 00時頃
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− 過去 −
[同じ雛鳥とは言え、成熟すればそれぞれ違う翼や爪を持つ。
武術は最低限のラインは越え、後は各自の伸び代。
智に目立ったのは直円だった。
家族らしい雛達の中で異質に見えたからこそ
余計に目立った様に思えたのかもしれないが]
ホリー…随分毛色が変わったようだな。
[祝福を受けた時から転がる様に変わっていった様に思う。
ただ滑稽な程這い蹲る様な常の姿勢は、
太鼓持ちと呼ぶ以上に滑稽に見えた]
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[>>194自信なんてない。
そうするべきと判断したからそうしているまで。 無謀の代償は心得ている。]
キミは有名人──だから。
[視線だけは一歩も引かない。
押し切られる前に小太刀を弾き、 押し返そうとするのでなく、 己の躰を後方へ押し出すように距離を取った。]
(203) 2014/02/11(Tue) 00時頃
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[あま……、ね。
今にも泣きそうな程、秀麗な顔を歪ませ、 擦れた声で名を呼ぶ鬼は>>188 間違いなく零瑠だった]
お前、本当に――零瑠なんだな。 何だよ、泣くんじゃねえよ。
お前、本当に……
[周もまた、言葉に詰まり 戦場だというのに得物を構える手から力が抜けてしまう]
(204) 2014/02/11(Tue) 00時頃
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[何の為に生きているのか。
何の為に生かされているのか。
そんなもの、決まりきっている。
鬱金の祝福が囁き思考を塞ぐ。]
……ぁ
[零瑠にとっての最上の褒美に、周に伸びた指先が微かに震えた]
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[諸共に倒れ込み、相手の両肩を地へと掴み留める。>>202
上から勢い込んで、その顔を覗き見た。
静止、瞬き。
暗赤色の双眸が見開いて、明瞭に驚きを示していた。 微かに開いた口が、す、と息をする]
(205) 2014/02/11(Tue) 00時半頃
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だが雑草こそ根深く広く……生き意地が張っているからな。
[見向きもされぬ雑草。
だが気付けば蔓延り、本来の花々と逆転してしまう]
手入れを怠るなよ。
[油断出来ぬ雑草を見つめながら、ホリーに忠告する。
もっとも、血の絆が逆転する事は有り得ない。
あるとすれば雑草がホリーを担ぎ上げようとする可能性。
それこそ『有り得ない』話であり、
ホリーも判り切っているだろうからこその念押しでもあった*]
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当たり前だ、……俺が死ぬわけねえだろう。 サミュエルも絢矢も、皆、元気だよ。
[頬に触れようと伸ばされる手。
不自然なまでに白い膚の色は、零瑠が既に人ではなくなってしまったことの証だ。
けれど――鬼の手を拒むことはしない。 その手は、変わり果ててしまっても、五年の間、無事であれかしと願っていた仲間の手だったから]
(206) 2014/02/11(Tue) 00時半頃
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――涼平君…………!!
[満面の笑みが、灯った。]
(207) 2014/02/11(Tue) 00時半頃
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[首筋に殺気。
しかし接近は察知している。 察知する──というより、 直円自身が喋りながら近付いて来るので その行動は予測出来る。
首を狙って揮われた鉤爪>>201は 片手を地に突き、 その手を軸に直円の手首を蹴り上げることで逸らした。]
(208) 2014/02/11(Tue) 00時半頃
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見つけた――――!
[悲願を。
やっと一人。全てかけがえのないうちの一人だ。
知らず心の内から歓喜が溢れた。]
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っが……っ!!て、め…………
[勢い良く転がったせいか己の武器は手から離れてしまっていた。 抵抗しようともがいても自身の体は地面へと縫いつけられたまま。 それでも何とかしようと足を動かそうとした、そう、確かに。それが止まった原因は。]
う、そだ…………何で、なんで
[暗赤色の瞳、さらりと揺れる短く切りそろえられた髪。 あの日、目の前で失ったはずの人の声。 よく知っている。大切な、大切な人と同じ顔が笑顔へと変わる。 明之進、そう確りとしかし小さく発した音は、自分でも分かるくらいに震えていた。]
(209) 2014/02/11(Tue) 00時半頃
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[白い軍服に敵の血が飛び、染みを作る。
白い色。 包み紙で真弓と>>1:430折り紙遊びをしていた子らが、百合の花の折り方をおしえてくれと言ってきた。 マユミに聞けば良いのにと思ったが、その真弓にあげたいからだったらしい。 皆で作って驚かせたいから、と。
幼い子らと作った百合の花の花束。 一緒に作ったあの折り紙の白を、ふと思い出したのは何故だろう。]
(210) 2014/02/11(Tue) 00時半頃
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[涼平に名を呼ばれても>>202、その声は耳を擦り抜けてしまう。
元気だったか、などと言えるはずがない。 零瑠が金色の鬼の元でどれだけ非道な仕打ちを受けたのか、想像すら出来ないのだから]
他の連中は、理依やリッキィ、 ……真弓に明之進に直円。
みんな、そっちにいるのか? [零瑠の鬼の眸に視線を向け、尋ねた]
(211) 2014/02/11(Tue) 00時半頃
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[嘘ではないと首を振る。>>195]
れいる、だよ……。 本当に本当だ、よ。
怒りん坊の周。だいすきな家族の、あまね…
泣くなって、だって、こんなにも嬉しいこと、なんて……
[淡い期待を抱いては居たが、サミュエルも、絢矢も生きてるとの報せに瞬き何度も頷いた。>>206 幼子が目の前で死んだから、『皆』といっても限られているのだろうが。
ぺたり。周の頬に手が乗る。米神に到るまでを撫で、何度も周だと繰り返す。]
(212) 2014/02/11(Tue) 00時半頃
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げっ……!?
[手首を蹴りあげられ、くるりと宙返り。 膝をつき、這い寄るような姿勢に戻る。]
あまり抵抗されると、少々面倒なんですよねぇ。 いろんな意味で。そーぅ、いろんな意味で。
[敢えて「狂気」を宿した赤い瞳。 それが一瞬、揺らぐように悲しみを湛えた。そう一瞬だけ。]
(213) 2014/02/11(Tue) 00時半頃
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やるじゃない。
正直こちら側に欲しいぐらいだわ。
[こちらの剣閃を凌ぎ、直円の攻撃を回避するどころかカウンターまで繰り出した彼女の動きを感心した目で見ながら。]
こちらも頑張らないと、ねえ。 “直お兄ちゃん”?
[あえて、彼女達が呼んでいたその呼び方を使って見せて。]
(214) 2014/02/11(Tue) 00時半頃
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「援軍を要請する、繰り返す、援軍を――、……っ!?」 「どうした!?」 「通信が……」 「――――、まさか指令所が」
[どうやら今はまだ二人しかいないみたいだけど、じきに増えそう。 最初の「援軍を要請する」って声、どこかに届いててもおかしくないし。
なら援軍が来る前に片付けよう。
僕はナイフを投げた方に狙いを絞る。さっきかすった分のお返し。 飛び掛かり今度こそ刃が血を浴びるかと思った刹那、今度は地を這うような低さで僕の足を狙って刃が伸びる。 まさか、最初に出てきた方が]
……ぅ。
[僕は切り裂かれた足の傷もそのままに、敵二人の間を難なくすり抜け走り去る。 一人を狙ってももう一人に阻まれる。こんなやり方僕は知ってたっけ。 だとしてもあんなに怖くなかったのに、今はとにかく、怖い]
(215) 2014/02/11(Tue) 00時半頃
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[ホリーと直円の 二人共を視界に収められる距離を取り、 また、低く腰を落とす。
一瞬の攻防の間にも 絢矢の目線は周囲へ間断なく巡らされていた。
逃げに徹した機動隊の動きは早い。
東端の広い傾斜地から、 一台を残し駆動音は遠ざかる。
次に彼らが何処へ向かうかまではわからなかったが ここでの全滅は免れ得たと思っていいだろう。]
(216) 2014/02/11(Tue) 00時半頃
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[焼けた孤児院から見つけることができた、蒼い色ガラスの欠片>1:339。 元は綺麗だったステンドグラス。 壊れてしまった絵は、過去の思い出のようで。
怪我をしてしまった時に、天使様の衣なら、きっと綺麗だろうなと笑った。 真弓なら、そんな衣が似合うだろうと続けたんだった。
神様の家らしい教会を飾っていたガラスなら、きっと神様が傍にいてくれるだろう。 そんな思いと共に、お礼として作ったのは髪飾り。 真弓の黒い髪にきっと似合うだろう。
いつか渡せたら良いと思っていて。 だからあの試練も乗り越えた。 皆とまた、一緒に。暮らす為に。]
(217) 2014/02/11(Tue) 00時半頃
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戯れはやめてください、ホリー様!
[一瞬だけ、これも本当に一瞬だけだ。 その揺らぎは、動揺?憤怒?何だろうか。 よくわからぬ赤き揺らぎとなっていた。]
僕はぁ、何も迷っていませんから。 本当にぃ!何の……迷いもありませんから。 僕はぁ、貴女様のぉ「犬」…いや、「虫」ですから。 素晴らしき貴女様のぉ、「虫」ですから。
[土下座を思わせる這うような姿勢。爪を舐めた。]
(218) 2014/02/11(Tue) 00時半頃
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― 過去 ―
そうですわね、お父様。
[ある意味、一番順応しているとも言えたのかも知れない。
ただ、ホリーにとっては狂気だけに頼るのではなく。
そのさらに先へと歩んで欲しいと思うばかり。
それは、いずれ戦場で共闘する時に――]
ええ、もちろん。
雑草でも開花すればきっとお父様の力になる。
そう信じてますわ。
[尚、以前にもホリーを担いで叛逆をと考えた者がいない訳では無い。
しかし、企ては悉く失敗に終わっていた。
その相談を受けたホリーによって、首謀者は殺されたが故に。]
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―駐屯地・通信施設付近― [通信機器を壊してしまえば用は無い。 ここに来た目的は、単純なる破壊だけ。
赤く染まった白いフードは、既に施設の外にある、 小さな足跡は、そのまま多数の軍靴の跡に紛れて行く。
カメラには残っているだろう、 ――緋色のフードの小柄な影]
(219) 2014/02/11(Tue) 00時半頃
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うん。
[小さく呼ぶ声に確と頷いた。>>209 霧のように感情を表せないでいた面は明晰さを備え、 しかし、静けさはそのまま――]
[なのに、かつて黒檀だった双眸は色を染め変えられ、 上質の衣を惜しげもなく自他の血で濡らし、
そして笑う。]
涼平君、背が、伸びたね。……大人になった。
[だから、涼平が動きを止めたとしても。
――他の隊員は、ちゃんと解っている]
[無防備な鬼の背に、刃を突き立てれば良いという事を。]
(220) 2014/02/11(Tue) 00時半頃
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[周の名を呼ぶ声は零瑠だけではなかったが、 紅の眸はただ周だけを映す。
指先は耳の後ろに、そして首の後ろへと回される。]
ひ……明は、近くに居るよ。 でも………
[明之進以外の『皆』には言葉を詰まらせた。]
(221) 2014/02/11(Tue) 00時半頃
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