162 絶望と後悔と懺悔と
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[血を拭ったシャツの袖が赤く染まる。 物陰、壁に背を預けて息を整えてからまた飛び出し、走る。
聞こえた怒鳴り声>>6:241。 聞き覚えのあるその声に、自然足は其方に向かう。
そこで見えたもの>>6:243。]
やめ、
[声を上げて駆け出す。 足が縺れて早く走れない。 お願いだ、やめてくれ。 手を伸ばす。届かない。
落ちた、斧>>6:247。
手は、届かないまま。**]
(6) 2014/02/19(Wed) 00時半頃
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……リッキィ、円には……
[空気を伝って、違和が流れてくる]
リッキィ?
それでこそ、私の傍に仕えるに相応しい。
[その心に痛みが走るのか、空虚が広がるのか。
それともそれ以外の想いが埋めるのか。
周を贄とし、安吾の命も奪った零瑠に。
向けるのは何処までも冷酷な笑み]
……はい。
あなたが示す道もまた、正しい…。
[一歩、また一歩、鬼に成る。
『冀望』の通り。]
全く…家畜の分際で手に負えんな。
人であった事を捨てさせても、人のままでも。
[未だ鬼の血に抗い、鬼からも異端となった周の聲が響く。
あれを飼い慣らせれば面白いだろうが、
孤独のうちに完全に狂い鬼になってしまうのも面白いだろう。
零瑠がどんな想いで彼を連れ、彼を同じ鬼へと望んだのか。
零瑠の予想と周の姿が願った通りなのかは知らないが。
あれを見る零瑠の顔を覗き込むのも愉しいだろう。
その為に少々鬼が犠牲になっても構いはしない]
己が身位、己で護れ。
[幾らか助けを求める聲も聴こえるが、
そんなもので心揺さぶられる筈も無い。
むしろ、弱者の悲鳴を嘲笑する]
私にも感じるぞ。
抗い続ける力、実に惜しいな。
人の心手放せば楽になると言うのに。
[誘いの声を掛けてはみたが、
この強固な意志の鬼は決して見失わないだろう。
純粋な迄のその想いは、例え全ての記憶を失っても
手放さないだろう、そんな確信めいた想いがあった]
私に手が届いた時は、お前が死ぬ時かもしれんな。
[周と言う鬼が死ぬのか、人が死ぬのか。
どちらにせよ、会うのを楽しみにしていると]
[その為には、安吾の死が必要。
何も迷うことはない。
安吾も『おまえを殺す』と、言うのだから。
それでも零れる涙は胸の内に。]
[鬼と人との残酷な現実。
それは実体験に基付くものか、それとも単に事例を見続けただけか。]
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[手を伸ばして伸ばして伸ばして。 届かない。
口から声が、叫び声が漏れているのに自分の耳に届いていない。 全て切り取られた現象のように、現実感はない。
円の身体から赤い物が飛び散った。
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ。
斧を持ったあいつは、同じ部隊の奴だ。 味方だったはずだ。 なのにどうして。]
(43) 2014/02/19(Wed) 21時半頃
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[目の前が真っ赤だ。 怒りで。絶望で。
嗚呼。そうか。 僕から家族を奪う、「敵」だったのか。 もう一人の家族にも、武器を振り下ろしている>>19。
赦さない。
「敵」は殺す。其処に躊躇はない。今までそうしてきたのだから。]
(44) 2014/02/19(Wed) 21時半頃
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[普段は脳が押さえているという身体能力の箍が外れたように、一気に駆け寄る。 叫びながら、リカルダが倒した「敵」>>28に止めを刺そうと武器を掴む。
気絶した「敵」の喉元を狙い、苦無を振り下ろす。 動かない的、外すはずはない。 リカルダが止めるなら手元は狂って、「敵」の肩口に下ろされたかもしれないが。]
(46) 2014/02/19(Wed) 21時半頃
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……大丈夫か?
[一瞬身構えたようにも見えたが>>31、気にせずに傍へと歩み寄った。 その左腕>>23を見て顔を歪めたが、リカルダに向かって安心したように微笑む。]
それ、手当てするから。 手、出して。
[絢矢へと持っていた治療用具を取り出す。 リカルダが何か言っても手を掴んで手当てしようとした。
円の名前を聞いて、初めて円の方を見る。]
(47) 2014/02/19(Wed) 21時半頃
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あ、りが たき、幸せ……
[分かっていたこと。この亀裂も、望んだこと。
拡がる空を新たに埋めるだけ。
それは、主の言葉。笑み。
満ちる幸せをそのままに、微笑む。
誓約。
願わくば言葉で。伝われば涙で。]
――あなたの一番の傍で共に歩み、
あなたを置いて死に逝く事もなく、
……『永久不変』で在りましょう。
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[そっと円の隣に座る。
どうしてだろう。円の服が赤いんだ。]
円。 大丈夫だからな。 僕が傍にいるから。
[いつも少し赤くて柔らかかった円の頬に手を伸ばす。]
円、まだ僕の布団に入ってくるんだ。 もう大きくなったんだからって思うんだけどさ。 でもあったかくて、ちょっとだけ安心してたんだ。
[なのにどうしてだろう。冷たいんだ。]
(51) 2014/02/19(Wed) 22時頃
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[認めたくない。 これは死だ。 認めたくない。
家族の死。 目の前で見た、家族の死。 5年前と何も変わってない。]
リッキィ? どこ、行くんだ?
[ふらりと立ち上がるリカルダを見上げる。 見上げるだけ、引き止めることはせずに。]
(58) 2014/02/19(Wed) 22時半頃
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やはりお前達は面白い。
[ジャニスには聴こえぬだろう、闇の嗤いが漏れた]
……リッキィ、僕が解る?
[血を通じて呼び掛ける。
解るなら、おおよその方角さえ掴めれば、
いずれは相手の場所に行き着く事が出来る。]
[恨みも憎しみも誇りも悲しみも。
此処で終わりにしようと、語る。
城の中で、まともに会話が出来たのは自分達『お気に入り』と、主とホリーぐらい。他の吸血鬼は表面だけ。
話を聞けば、皆が一笑するだろう。]
………、明にーさん、
[僕は霧みたいにかすれた声でにーさんの名前を呼ぶ。]
僕、……だめ、だった。やりたいように、できなかった。
[目蓋を閉じた緋の世界、
己の心は悲鳴を上げたわけではない。
ただ揺らがぬ水面は千々に乱れて、
焦がれるような切望と行き場の無い諦念と、
暖かな底なし沼に沈むよう。
絶望を覚えるほどの希望は初めから無かった、
後悔を覚えるには幸福を感じすぎた。]
[父の居場所を問われた、
その黄金を手探りで探るように、
緋い闇の中にある]
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[聞こえた、微かな感謝の言葉>>74。 気のせいだったかもしれないけれどに、首を振る。 礼を言われることはしていない。 家族なのだから、するのは当たり前だ。]
これから? 何も変わらないよ。 家族と、一緒にまた住む為に動く。
[その思いは、更に強くなる。もう二度と奪われたくない。 円の頬を撫でながら呟く。]
裏切り者?どうして? 僕は、僕の敵を殺しただけだ。 僕から家族を奪った、敵を殺しただけ。 何も裏切ってない。
[何を言っているんだろうと、首を傾げた。]
(80) 2014/02/20(Thu) 00時頃
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[恐怖で縛ることのない『管理』であればどうだろう。
思い思いに自由に過ごせば良い。
気紛れに戯れ死んだとしても、それは鬼だけのせいではない。
人と人とでも感情のまま、或は衝動的に、殺し合うではないか。
全ての人間ではなく、人から堕ちた身なら?
主の命ひとつで、呆気なく崩れるとしても。
夢物語。絵空事。
それでも。請わずには居られない。]
……え――
[呼吸の音ですら、掻き消してしまいそうな位の小ささで、
届いた声は泣いているのか、と思う]
どういう……こと?
[円の名前を言っていたから、彼女には会ったのだと。
円と何かあったのか。あるいは]
円に、何かあったの?
[ただ横に在るだけでは駄目だ。
ただ従い仕えるだけでは駄目だ――とも、思う。
時にはぐっと『負けない』で。
……居られたら。]
……お気に召すままに。
[何を願っても。
思考の行き着く所は全て、主の為に。]
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