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小僧 カルヴィン! 今日がお前の命日だ!
―― 舞台袖の個室 ――
こちらが恒例の、鍵になります。
商品が枷なしで暴れそうでしたら、
お客様の方で何なりご用意くださいネ。
勿論ご入用でしたら、こちらでも準備は致します。
[今回の主人は二名。面差しと色素のよく似た姉弟だ。
道化二人に別々の鍵を手渡す。
品評会の終わりは、近い。]
[椅子を立つと、絡めていた指を離した]
あの子をどうするかは、考えさせて。
あの子の枷を、はずしに行って来るわ。ここで待ってて頂戴な。
[イアンを見上げて、そして離れる]
― 客席 ―
最初、規制以上の規制を課してしまった気が…――
嗚呼、気にされていないなら良いのです。
――たしかに、今の貴方は、そうですね。
[くしゃりと笑みにも似た女の揺れる黒髪を、優しい人のよう。ヴェスパタインがツィーにするのとは対照的に柔らかく梳きながら、頷いた。
その背後で、姉はイアンと呼んでいたか、男と姉の会話を可笑しげに聴いて、舞台を見遣る。そこには金目の青年は既に無かった。]
『さて、彼を迎えに行きましょうか。
嗚呼、しのも共に来なさい。』
[姉とは異なり、弟は志乃も共に連れて行く。
それは優しさに見えて、実のところ彼女を盾に青年に別の枷をつける為であったのだが。
――…声音は常と変わらず、柔らかかった。]
[先に歩いていくルーカスの背を追い、けれども心はここにあらずか。
鍵をネイサンから預かり、個室へ姿を見せる。
そこには、男装の少女の姿があって]
やっぱり、その服なの。女の子の格好を期待したのだけど。
枷を、はずすわ。
逃げてもいいけど、でられないし、捕まるのはわかるわよね?
― 舞台袖/個室 ―
[後ろから姉が付いてきているのを知っていたので、志乃の件がなくとも、ルーカスの歩む速度はそこまで早くはない。
しかしながら、陰部に悪戯をされている女には、それでも早く感じられたのだろう。
まるで仔猫の首につけたと同じく、チリチリと女の動きに合わせて鈴が鳴る。]
やあ。気分はいかがかな?
[道化から鍵を受け、志乃を伴って入った先は姉とは別の個室。
相手に敬意を払っている訳でなく、癖か、または敬意を払った振りをして相手の神経を逆なでる為か、ノックをし、開けた先かち合った手負いの獣の眸のような金に、灰青は相変わらず涼しげに、気分を問うた。]
別に、どちらでも構わないわ。
……。
[枷をはずし、視線が落ちる。その足首に見える傷。腫れた様子に眉を寄せた]
誰か、彼女に手当てをしてくださる?
傷が残らないように、お願いね。
ビジネスパートナーなんて、期待するはずもないでしょう? だって、私はそもビジネスに手を出してないもの。
貴女を買ったのは、ちゃんと目的があったのだけど……。
[ほう、と息を吐いた]
手当てのあとは身体を休めなさいな。ずいぶんと疲労しているようだから、ちゃんと食事も取ってね?
私は貴女を壊すために買ったのではないの。
[使用人へ自分の部屋で休ませるように言付ける]
貴女の扱いを変えるかもしれないから。
期待はしないでもらえるとありがたいけど。
[頷いたイアンへは、首を横とも立てとも振らず。
零れた言葉にどこかを抉られたような心地。
カルヴィナの治療を任せて、自身はイアンの元へ戻ろうと立ち上がる。
男一人でどうしてこうも変わってしまったのか、わからない。
それでも、その傍に行かずにはいられなかった]
【人】 良家の息子 ルーカス― 至る舞台袖/個室 ― (3) 2010/04/12(Mon) 01時頃 |
[カルヴィナから掛けられた言葉に、浮かぶ笑みはどこか弱く見えたか]
勘違いしても、いいわ。
貴女は、私が買った事に変わりはないのですもの。
別に、働いていないわけではないけど。
それに、人の手はいらないというだけ。
[お腹は減っていない、という彼女へ]
じゃあ。
興味があるのなら客席にいらっしゃいな。冷静に、舞台を見ていられたらだけど。
でも、私が怪我の手当てや食事を勧めるのは、貴女の為ではなく私のためよ。
[後からカルヴィナがついてくるのがわかった。
小部屋を出て、客席の方へ歩いていく。
イアンの姿を認めると胸にこみ上げるものがあって、足を止める]
でも、どうすればいいの。
[小さく零した呟き]
イアン…。
貴方の言葉は、わかるの。
わかるわ。
買った奴隷をどうするのかは、私の自由。
でも、外には出せない。それは、わかって。
[席に戻り、立つイアンへと言葉を掛ける。その腕に、手を伸ばした]
― 舞台袖/個室 ―
[殴りかかろうとする青年に、志乃を連れて来て良かったと、男は内心思う。ヴェスパタインに傷を負わせたのは、彼であると判っていたからこそだ。
逸らされた視線は、灰青ではなく漆黒にであろうと手に取るように判り、また合わせて、青年の申し出にルーカスは唇の端を持ち上げた。]
『確認させても良いが、その前に代償を払ってもらおうかな。
君が逃げ出さない為の処置でもあるけれどね?』
[滑らかな独逸語で告げる。
外に控えている使用人に持ってこさせるのは、T字ではないカミソリとシェービングクリーム、メスに消毒液、針に糸―――そして3つの白く輝く上等な真珠とペニス用の遠隔用バイブ。]
『しのにだけ代償を払わせておくのは忍びなくないか。
嗚呼、暴れたり拒否すれば、彼女が酷いことになるだけだよ?』
[成されようとすることは、青年の陰毛の除去と、ペニスの上の皮に3つの真珠を埋め込む手術めいたもの。もちろんそれは志乃の目の前で、である。終われば、その上にペニス用(陰茎を包み込み、バンドで止める形状だ)を装着させる。
上手く出来れば褒美のようにルーカスの目の前でなら、青年は父親に電話を許されるだろう。
その後は、客席に2人を連れて戻る心算**]
[杖を借りる様子を見れば、少しだけ眺めて]
そんなに意地を張るのなら、休めばいいのよ。
身体をそれだけ酷使したのだから。
椅子は、ないのよ。床に座るか、立っているしかないの。
疲れても、知らないわ。
[呆れたように口にする。
椅子に座ると、人の少なくなった舞台へ目を向けた。
もう買わないで欲しいといわれたこと。
それに頷くことは出来る。
もう目的は達成されたのだしと思うけれども。
きっとそういうことではない。
それもわかっているのに]
[椅子を示すカルヴィナの言葉に、そちらへ目を向けた。確かに空いてはいる]
それに座ったら、他の奴隷と差がついてしまうでしょう?
どうしてもというなら、床にお座りなさいな。
[ルーカスが二人を伴って帰ってくるのもわかったから、自分の奴隷を特別扱いすることもしない。
とはいえ、他の変われた三人に比べれば、その待遇は破格なのかもしれなかった]
[伸ばした手が触れると、いくらか安心する。
背に回される腕も避けずに、耳許で呼ばれた名前にじわりと肌が震える。
それを咎めることは、できずにいた。
椅子に座ると漸く落ち着いて。
イアンの手は、握られたまま]
[カルヴィナから掛けられる声に、向ける表情はどこか冷ややかだ]
貴女に、貴族の意志を持たせたまま、その身体を躾けたいのよ。
調教とも言うかしら。
そのために買ったのだけど。
這い上がるの? 這い上がれるのかしら? どうやって?
外に出ることはもう出来ないのに。
貴女の処女を惜しんだのは、貴女のためではないし、足元を掬われる気もないわ。
どうやってそんなことをするの?
掬われるというのはね、私がその地位に価値を見出してなければならないのよ。
[カルヴィナの言葉には微笑みを返し]
ちやほや、ねぇ?
そんなもの、嬉しくもなんともないのに。
そんなものをありがたがる人生の方がどうかしているわ。
言わなかったかしら。
心持だけは、どんな地位にしても誰にも壊されないと。
それは、奴隷だって同じ。
ねえ、奴隷は何が辛いのかしら。
「主人」に従わなくてはならないところ? 自由のない生活? 衣食住すらまともに与えられないこと?
「個」を失くさなければならないから?
「買われる」事が最大の恥辱だとは思うけど。貴女のような矜持を持つ子にはね。
私は、貴女を少し羨ましく思うわ。
[少女の視線には、怯むことはない。
未だ自分の状況をわかっていない少女へと、グロリアは常の笑みを取り戻す]
そうね。偽善だわ。貴女に情をかけることは。
貴女を買った額は、消して少ない物ではないもの。
それに見合った動きはしてもらわなければならないわ。
イアンは別荘に連れて行くけど、貴女は本宅に行ってもらおうかしら。
女の子の、格好でね?
[くすくす、と笑う様子。腕は、イアンの腕にかけたまま]
何故、貴女と同じことを私がしなくてはならないのかしら?
貴女の気持ちをわかるつもりはないけど。
貴女に私の気持ちもわからないわ。
このまま貴女を、どなたかに払い下げてもいいのよ?
それをするかしないかは、私の言葉一つ。
どちらが主人なのか、わからせて上げましょうか?
貴女が、私の奴隷のままなら、ね。
ルカやヴェスパタイン様がそれぞれの奴隷に何をするかは自由よ。その奴隷の扱いに私は口を挟まないし、私の扱いにも口を挟ませる気もないわ。
[彼女を買った理由はただ一つ。けれども、それを失ってしまったら彼女を手元に置く理由などない。
貴族としての矜持を保ったまま、娼婦に育てようかとも思ったのだけれど]
ヴェスパタイン様、貴方にお譲りしようかしら?
舞台にいる間にずいぶんと擦れてしまったみたい。
私の欲しい奴隷ではなくなってしまったの。
ジェレミー様にお詫びも篭めて差し上げようかしら?
興味を示されていたようだったから。
別に損をしたとは思っていないわ。
勉強代というべきかしら?
そうね、少しは、勿体無かったとはおもってるのよ。貴女を早くに落とさなかったこと。
でも、そこまで落ちてしまうとは思わなかったから。
[息を付く。カルヴィナがイアンへと掛ける言葉は意に介さずに。
ヴェスパタインのところにやれば、彼女がどうなるかは知れない。
けれども、奴隷としておく理由が薄くなったことも事実で、さらにはイアンから掛けられた言葉もあり。
そして、失ったポイントも問題ではない]
私が変わった? そうね、変わったように見えるのかしら。
貴女からは。
[ツィーがカルヴィナへ向ける視線の思いはわからない。
わかったとしても、彼女はそれに首を振るだろう。
かわいそうだから、ではなく。
そこに自分を見たのだから。
だからこそ、彼女の言葉も虚勢であるのかもしれない、とは少しだけ思う。本心は聞いてみなければわからないけれど]
ばかね。生き残りたいのなら、
[生き残るための主人を探さなければならないのに。
そう思ったが口には出さない]
文句が言える立場でないのに、ずいぶんと文句を言うのね?
[それでも一度は買うと決めたのだ。彼女が生き残るのを望むのなら、その可能性が高い方へ渡すべきだろうと。
その候補としては弟が一番良かったのだけれど。要らないといったものを貰うほど弟は情に深くない]
ヨアヒム様、ジェレミー様の居宅はわかります?
そちらに、彼女を。
お詫びの気持ちも込めて贈らせて貰うわ。
[ヨアヒムへと願えば送る準備は整うのだろうか。
少女の姿がなくなれば、少し自己嫌悪の表情を扇子の下に見せる。
買うつもりがあったのは、確か。その理由も。
例え「足元を掬われて」も、彼女には関係ない。
イアンを見上げ、そして又舞台を*見た*]
…――嗚呼、まぁね。
でもまぁボクは、きっと所謂「下衆」で「馬鹿馬鹿しい」事をする為に買い付けに来ているのだから?
ひとより遠慮するべきだという事くらいはわきまえているよ。
[ルーカスの言葉
其れでも男は、この品評会自体に対して酷く協力的である事は間違いないのだ。――無くなってしまっては、色々と困るから。]
譲ってくれるなら喜んで貰うよ?
何人居たって邪魔にはならないから。
[グロリアの言葉
舞台で摺れた、というなら、自分のやりかたのせいもあるのだろうとは思うけれど、それを責任と感じる事は、無い。
>>+53自分の白く細い手に恭しくくちづけるツィー。
彼女は自分の好みを判って居て、思うように行動をしてくれる。
だからこそ、彼女の想定外でどう壊そうか、と考えるのが、今は愉しい。
良い買い物だったと、思う。]
うん、楽しいね。
キャンキャン喚く様子も、楽しい。
ああ、うん。
彼はボクの「友達」だよ。
親しい、といえば――うん、とても親しいね。
彼のものはボクのもの、な、関係。
[くすくす笑いながら、
彼女の冷ややかな視線も正面から受け止めて。
少々歪んだ彼との関係を仄めかせた。]
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