56 いつか、どこかで――狼と弓のワルツ――
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…………俺は、何をやっているんだろうな。
[すぐ傍に居たのに、守れなかった。
戦場だというのに気配を探ることを忘れ、同じ弓を扱う者として狙撃しやすい場所を確かめることを怠った。]
何が、弓の名手だ。
少なくとも、敵が狙ってくる場所なら分かったはずだろうが。
[呟いても、慰めてくれるだろう声は聞こえない。
いや、そもそも慰めが欲しかったわけではなかった。
欲しいのは――。]
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――医務室――
何を望む?
わたくしは、未来は見えませんわ? この先にどうなるか、なんて、わかりませんもの
[ズレた返事をしつつ、曖昧に笑った]
イアン様、ご存知ですか? 人の魂は回るんですって
今は無理でも いつかこの先、回り回った魂で共に生きていられるのなら それはとても、素敵な事ではございませんか?
[壊れそうに、儚く、微笑む]
裏切り、なのですわ この国も、向こうも、わたくしには、どちらも愛しいから……
(5) 2011/07/03(Sun) 01時頃
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だからわたくしは、貴方に願いの一つを託します
どうか、この国に、勝利を――
[その笑みは、公女の笑み 思うようには生きられない、それは高みに登ったものの笑み]
(6) 2011/07/03(Sun) 01時頃
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[公女は、まだ知らない 反りの合わなかった衛生兵が、他人を護るために死んだ事 緑騎士団を纏めていた副団長が、敵兵に撃たれた事
命が、消えてゆく あまりにもあっさりと、それは予測も付かない所から、消えてゆく
死んだ人達は、幸せな夢を見れるだろうか? 幸せな未来を生きられるだろうか?
反りが合わなくとも、憎しみしか無くとも 共に手を取り合って進む道は 少なくとも夢の中では、叶っていたのだから――**]
(7) 2011/07/03(Sun) 01時頃
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―――勝たなきゃ、アイツらが浮かばれねえ。
[脳裏を過ぎていくのは、既にこの世に居ない、彼らの姿。]
…動けそうな兵を把握して、部隊の再編を。
[彼の力強い声に応じるように。]
俺も終われば、手伝う。
[見るのが苦手だった服を纏った神父に小さく声を掛けた。]
別の服着て会うって言っただろうが。
戦が終わったら、飯食おうって約束したじゃないか。
なんで約束破ってるんだよ。
神父が嘘吐いて良いのかよ。
[約束を破ったムパムピスへ、こみ上げてくる感情をぶつける。]
神はお前の最後の願いすら叶えてくれなかったな。
[フィリップを助けてくれと祈っていた彼の願いは結局叶わず、共に横たえられた少年へとまた視線を向けた。]
なぁ、本当に神様ってのはいるのか?
本当に、人は死んだら生まれ変わるのか?
[目の前の現実に、そんなことを零してしまう。
神職者である彼は、何と返してくれるのか。今はもう分からない。]
でも、もし本当に……――
赤も緑も関係ねーな?
[両軍分かれての再編は、人数的にも得策とは言えず]
とっとと仕留めて、来い。
ぐっ、ああああああっ
[抑え切れぬ咆哮が、響いた。]
…オスカー …っ!
[響く咆哮は、悲痛以外の何者でもなく。
咄嗟に声のした方を見て、名前を呼ぶ。]
大丈夫だ、捕虜は始末した。
[イアンから呼び掛けられて、しばらく時間は経ってしまっていたが。
普段と変わらぬ声音で、そう返した。]
そう、…そっか。
[呼びかけてから、時間が空いたのが気になったが
それでも普段と変わらない彼女の声を聞けば、安心して。]
今、何処にいる?
[再び戦場に出るにあたり、やらなくてはならない事は山の様にあって。]
…倉庫。
おっちゃんが倒れてた。
[相手から返答があれば、医務室へ行くつもりだ、と告げて**]
おっちゃん…?
誰だそれは。
[怪訝そうに尋ね。
オスカーもまた、医務室へ向かうだろう。**]
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侮辱ではありませんわ! 貴方は何も知らないから……っ!
[イアンの言葉>>10に、思わず声を荒げ しかしそれに気付いて、また俯く]
どちらも生き延びるなんて、不可能ですのよ…… 不可能、なんですのよ……
[喉の奥で言葉を噛み締める 小さな小さな、苦痛に染まった、呟き]
(42) 2011/07/03(Sun) 18時頃
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――砦の外――
[医務室からイアンの退出を見届け、自身もそこから出た
砦の外を、ぼんやりと歩く ヴェスパタインを撃ち落とした敵兵が居るかもしれず また既に殺されたとは言え、先程のテオドールも居るかもしれず
しかしそんな心配を考える事も無く むしろ見つかって殺されるなら、それはそれで良いのだと考えるまでに
いつもの服の上に、自室で見繕った大きめなフードポンチョを被っていた 外に出たかった 顔と服が見えないように、と、ただそれだけを考えて、するりと抜け出す
セシルの近くへと行きたかった]
(43) 2011/07/03(Sun) 18時半頃
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(この近辺に、墓守の方がいらっしゃると聞いたような……)
[宛てもなく、ぼうと進む足が、つと止まる
森の入り口に倒れ伏す、白と赤>>119 白いローブはこの砦の衛生兵のもので 眩しい赤は、先程医務室で何度も見た、そしてノーリーンの身体から溢れたものと同じ……]
だ、大丈夫ですの!?
[助け起こしたその身体は、ぞっとする程に冷たく そして、その顔は……]
ど、どうして……です、のよ……
[あんなに嫌悪感を抱いていた、ペラジーの顔に他ならなかった 抉られた首元は見事なまでに紅く、しかしもう、流れるものは無く]
(44) 2011/07/03(Sun) 18時半頃
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貴女、衛生兵だったのではないですか!? 何故、外に出ていますのよ!?
[動かないペラジーの胸倉を掴み、怒声を吐き掛ける 解毒剤を求めての理由など知らないままに]
愚かですわ、本当に愚かですわ! 衛生兵が死んでどうしますのよ!騎士に尽くしてこその貴女達でしょう!?
[ぱぁん、と小気味良い音と共に、ペラジーの頬が叩かれる その感触は、冷たく、そして固い]
貴女を見てると苛々しますわ!触れていたくもない…! 話にならない、意味がわからない! 騎士も関係無いようなこんな裏で死んでる意味がわかりませんわ!
何故ですのよ! どうして、どうして、どうして……こんな愚かな、死に方……!
[公女の声は、他の人にも聞こえただろうか**]
(45) 2011/07/03(Sun) 18時半頃
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…なあ、お前なら。
お前なら“最期”の瞬間は何をしてたい?
[医務室から出ていくバーナードの背を見ながら、仲間に問う。]
なあ、おい!
今姫様が!
ふっつうに話しかけちまった!
ど、どうしたらいい!?
[半ば混乱し、思わず助けを求めていた。]
いきなり何だ?
[医務室へと向かうさなか、突然問われた内容に首を傾げて。]
何をしていたいかはわからんが。
最後まで主と共にありたいとは思う。
[さらりと言い放つ。]
ローズマリーは、狼藉を働いたヤニクにも、何も言わないまま
2011/07/03(Sun) 23時半頃
…俺と一緒に居てくれんの?
そりゃ、寂しくなくて良いや。
[少しだけ、顔が緩む。
医務室をもう抜け出したということは、
彼女に伝えないままで。]
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[無礼な言葉>>67は、聞こえていなかった ただ目の前の彼女に対する憎しみと妬み、嫌悪感が優っていただけで]
別に……少し、外の空気を、吸っていただけですわ
[問い>>72には、曖昧に笑んで答える 視線が泳いでいる事には気付かない 普段なら乱暴な言葉遣いに怒りを顕にするところだが、今はそんな気分でもない
死んでも良かった、などと公女の立場で、言えはしない]
愛する方が、向こうに居ますの 会いたくなった、だけですわ
[向こう、と言いつつ、具体的な場所を指し示す事は無い 言ってはならない、最後の礎 腕の中のペラジーを、ぐ、とヤニクに押し付ける]
彼女は……何でも、ありませんわ 連れて行ってくださる?
(78) 2011/07/03(Sun) 23時半頃
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や、られ…… セドリック・ヴェスパタイン副団長様が……?
[思わぬヤニクの言葉>>79に、すう、と瞳が細くなる 無事でない、そう、分かってしまった]
う、そ……そん、な、何故……?
[頭の中をぐるぐると駆け巡る恐怖 愛するものが、壊れていく 愛する国が、愛する騎士団達が、壊れていく
中に入ってくれ、との言葉も、もはや頭に残っていない]
どうして、そんな、どうして……ベネット様にひき続いて、セドリック様まで! 何故、こんな事に――こんな事、願ってなんか、おりませんわ……!
[幾度目かの涙だろうか その顔がまた涙に彩られると同時、顔を抑えながらその場にかたんと膝をついた]
(81) 2011/07/04(Mon) 00時頃
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[先程は返事がくることがないということすら忘れていた。
先程遺体に会ってきたことを忘れるくらい動揺していたのだが。
公女の言葉に思い出したのは、ムパムピスが最後に掛けてきた言葉。]
……この戦。
両軍どちらかが……お心は二つに裂けて……?
[砦の外に出てきた公女。
そして神父が言っていた言葉。
何か噛み合いそうだが、考えが纏まらない。]
お前に忠誠を誓うと約束したはずだが。
[言いつつも、左手の痛みに僅かに眉を顰めた。
向こうにはわからない事だろうが。
剣や馬の手綱は誤魔化しつつも片手で扱うしかなさそうだな、とぼんやり思った。]
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