197 獣ノ國
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測量士 ティソは、メモを貼った。
2014/10/07(Tue) 01時頃
測量士 ティソは、メモを貼った。
2014/10/07(Tue) 16時半頃
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朝方。
僕はぼんやりと部屋の天井を見詰めていた。一面を彩る、碧。碧。碧。それはまるで、変わってしまった自分の体を包むのだろう色。それはまるで、変わってしまった自分の色を溶かすような色。 部屋の隅々まで碧い其処は、この家自体が水槽のようだと嗤った。 そして僕は眼鏡を―今までなら掛けることのなかったそれを目元に飾り、碧へと足を差し出しました。
「…おはよう、ございます。」
矢張り部屋には誰として居ないけれど、ただ咲くのは花。願掛けのように僕の手に渡った花は、今日も綺麗に碧の中に咲いていた。 ひとつ。いつもと変わらない朝食を口にしながら、僕は思い返していました。
(98) 2014/10/07(Tue) 17時半頃
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―回想/花屋―
ひとつ、簡素な返事>>13には思わず肩を震わせたのだったか。 しかしその後、口数の少ない方だと勝手に印象付けていた彼から紡がれる自分への「励まし言葉」には、ただ呆然にも似た心持ちで彼を見上げました。
言ってくれてありがとうと言われたことも>>13、反応は変ではないと、そして羨ましいと言葉を添えられたことも>>14
「…お、とぎばなし…?」
僕は掠れた声を出した。級友の話を聞く手前、どこか心の底で嘲笑っていたその話。「日常から逸れるはずが無い」「そんなことはあり得ない」と、幼心に夢見ていたことも忘却の彼方へ、歳を重ねるにつれ雑踏の中夢心を落とし、落としたことも忘れ踏み付けていたものが、今になって僕に降りかかるなんて―――
(99) 2014/10/07(Tue) 18時頃
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ぼろり。決壊した涙腺がまたも頬を濡らしました。人間だと言われた。それだけが心の翳りを晴らしては慈雨を齎す。塞ぐ術の無い涙は、塩辛く海の味さえ思い出すそれは、頬を流れ口に入ってはその塩っぱさに唇を噛み締める。 泣き虫だと笑われてしまうかもしれない。秒針は沈黙を叩き、僕のしゃくりもまた沈黙を破る。 そして視界の隅にてまた吸われようとする煙草>>17には、「体に悪いですよ、もっと別なのに、はまったらどうですか」そんな微笑と共に悪態とも、心配とも取れる言葉を掛けました。しゃくりをあげている為にスムーズには言えなかったけど。
「…溺れない、なら、せめて。…貴方が溺れ掛けた時は、今、僕がしてもらったように――引き上げることができるように。」
(100) 2014/10/07(Tue) 18時頃
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僕はただ彼の言葉>>18に俯きがちに、自信はまだ付かない様に暗く囁きました。然しそれでは彼の好意を、差し出された手を振り払うことになってしまう。僕は顔を上げ、水面を――天井を視界の隅に捉えます。この短な合間で、僕は何れ程溺れ掛け、そして溺れる度に使えぬ尾鰭を動かしもがいたのだろうか?まるで情けない事を脳裏に思い返しながら、僕は言葉尻を暈して微笑みました。掴まれた手を握り返し、その温もりに目元を緩め。
「…ケーキ、頂きますね。」
人間だと、彼は僕に言ってくれた。現実にはあり得ないものを持つ自分を、彼は人間だと認めてくれた。口先で言うのは誰でも簡単なそれは、然し到底口先だけのものとは思えずに。 僕は彼にぎこちなく微笑むと、涙で腫れ掛けた瞳を擦りました。「すみません、直ぐに止めるので、」ケーキが不味くなってしまうと、まだ煩わしく流れる涙を拭い、頭を撫でる手は>>18撫でられる歳では無いと照れ臭さを交えた声色で呟きながら、嬉しさは隠せずに頬に紅を差し。
貰ったケーキはその量にこそ驚きはしたものの、一人で食べるそれとは比べものにならない程に美味しくて―時折彼の食べるものを一口強請ることだって、あった。
(101) 2014/10/07(Tue) 18時頃
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□獣人集まれ 20xx年10月3日 ho:mo 海に溺れたイルカ
? 鶴と科学者って別人じゃないんですか?
蜘蛛?ああ、蜘蛛の糸さん。 離席したらしいですね…ししゃもに追われたのかな。
取り敢えず朝ご飯食べて大学へ行きます**
(*2) 2014/10/07(Tue) 18時半頃
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―回想/花屋にて―
花屋の店員――もといトレイルさん>>143と話終えた頃だっただろうか。花屋の風鈴が鳴り、ひとつ影が店内に落ちました。新しいお客さんかとそちらを振り返れば、淡い薄青の髪を持った和服の方>>33。この國で和服なんて珍しいものだと目をしぱしぱとしていれば、突然に名前を呼ばれ思わず畏まった。
「僕がティソですが…」
ついで渡された傘は遠慮がちに受け取ります。はていつ落としたんでしたっけと古い思考を巡らせれば、級友から背を向けた頃耳を通った傘首の落ちる音を思い出しました。「…まーちゃん、」思わずに呟いた聲は級友を―彼女を想う聲。 ただ呆然に近しい顔持ちでそれを受け取れば、僕は名も知らない傘届け人に名前を尋ね、彼の名前を聞けずとも、家が近いらしいならと、トレイルさんと道半ばまで共にしたのだったか。*
―回想/了―
(311) 2014/10/09(Thu) 00時頃
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ティソは、カリュクスの白い姿を視界の隅に見かけた気がした。
2014/10/09(Thu) 00時頃
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―朝頃/自宅にて―
いつも通りの食事を済ませ、ぼうっと花々を見ている頃でした。視界を掠めた窓から外へは飛行機雲が流れて居る事など知らずに、ただこの碧を如何しようかと鮮明な視界に見詰めては、時折碧に溺れる感覚に眩暈さえ起こして。そうしてソファーへ身体を沈めていると、耳をついたノックの音>>182。
郵便でも頼んでいましたっけと、首を傾げながら尾鰭の付いた葦を葦裏を床に叩き、ぺたぺたと歩を進めました。そうして付いた先、玄関を開けば―焦がれに焦がれた、級友の姿。
「…まーちゃん。」
僕は意識半ばに彼女の名前を呟きました。情けないくらいに目は丸くしていたかもしれない。脳裏には昨日の失態が蘇り、懺悔の念がせり上がって来て堪らない。 憂な雰囲気は今日も変わらずに、その優しい微笑みの下彼女は何を思っているのだろう。僕は不安に苛まれました。「ごめん、昨日は」、と、囁く間も見付けられずに彼女を見つめます。
(327) 2014/10/09(Thu) 00時半頃
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「…き、昨日は、」
しかし悩んでも、止まっていても仕方が無いと僕は口を開きました。掠れた声色は、自分でも受け入れられずに。ただ謝罪をと頭を下げ、視線を足元に遣り、彼女へ謝罪を伝えました。「――ごめんなさい、」と。
「その…傘、ありがとう。まーちゃんは、大丈夫だったんですか?」
彼女へ向けた言葉は到底滑らかには行かなかったけど。僕は気まずさに視線を揺らしながら、玄関先に風を受けながら立つ彼女に声を掛けました。彼女が望むなら、家へ上げることだって**
(328) 2014/10/09(Thu) 00時半頃
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測量士 ティソは、メモを貼った。
2014/10/09(Thu) 00時半頃
測量士 ティソは、メモを貼った。
2014/10/09(Thu) 00時半頃
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