120 薔薇のプシュケー
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そういうところが可愛いの。 小さな子供みたいでさ。
[曲を弾き終え、ローテーブルにバイオリンを置いて。 サミュエルの隣に同じようにちょこんと座る。 サミュエルの体温は自分よりも少しだけ高くて、 だけどその温度の違いが心地いいから。 言われなくてもぴたりと寄り添った]
ボクが恋仲に? むむむ。それは全然考えてなかったな。 守ってあげなきゃって、そればかり考えてた。
[思ってもいなかったことを言われ、むむっと唸ったあと]
(6) 2013/04/20(Sat) 10時半頃
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[ごろんと寝転び、横目でサミュエルを見ながら]
ボク、ね。 君がプシュケーなのかなって、思ったんだ。 ルーカスの話聞いてから、なんだか様子がおかしかったから。
だからサミュエルがそうなら、守ってあげたいって。 そう思ったんだ。
[そこまで言って、はっと気づいたように]
べべべべつに、深い意味なんてないんだからな。 正義の味方として、その……当然のことだから、さ。
[取り繕うに言葉を続けて。うう…っと気恥しそうに、ごろりと背中を向ける。 誰かの記憶を失ったことすら気づかないまま、 とくとくと早鐘を打つ心臓を気づかれないように、胸を抑えていた]
(7) 2013/04/20(Sat) 11時頃
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[サミュエルは持ってない。 その言葉にホッとしたように息が漏れた。
それなら彼がひどいことをされなくてすむから。 よかった、と緩む口元]
そうだよ。当たり前のことなんだよ。
[くるりと振り向き、髪をいじる手に触れる。 傷のあるところには触れないようにしながら、何も言わないサミュエルをじっと見つめて]
ボクも卒業ってよくわかんないよ。 でももし卒業できて、その先にもキミがいたら。 それってすごく嬉しいな、って思うんだ。
でも……サミュエル違うのかー。 じゃあ、誰なんだろうね。プシュケーって。
(9) 2013/04/20(Sat) 11時頃
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うん……一緒には卒業できないんだね。 でも寂しくなるけれど、サミュエルが卒業できるなら、 ボクはボクのことをサミュエルが見れなくても我慢できるし、嬉しいよ?
[時々、こんなふうに増えている傷に思うことがないわけじゃないけど。 きっと彼が言わないのは、言いたくないからなのだろう。 だからあえて聞くことはしない。ただ痛くないように、そっと包むだけだった]
甘えん坊サミュエルよりも守り甲斐のあるやつっているかなあ。 ボクよりみんなしっかりしてるから……。 あ、シーシャはなしね。守ろうとしても後ろから押し倒されちゃう。
(11) 2013/04/20(Sat) 11時半頃
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行くなって、言えないよ。 言いたいけど、サミュエルのこと好きだから言えない。
[置いていって欲しくないと呟くサミュエルは本当に小さな子供みたいで。 自分からも腕を回して、ぽんぽんとあやすように背中を撫でる]
ペラジーかぁ。そうだね。 ペラジーがそうなら、守ってあげなくちゃね。 シーシャってかまってちゃんなの? さすがはルームメイトだね。トレイルは……どうなんだろう。 彼がプシュケーなのかな。
[震えるサミュエルには気づかないまま、考えるように瞳をとじる]
でも、プシュケーじゃなくてもさ。 ボクは今は、君を守りたいんだ。甘えん坊サミュエル……。
(13) 2013/04/20(Sat) 11時半頃
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[医務室の時とは違う、甘いキス。 触れるほど近い距離で唇が象る言葉には]
ん。ボクも。
[と、短く応えた]
嫌いになんてならないよ。 楽になりたいから、好きになるとか、嫌いになるとか。 そんな簡単じゃないだろ。
[ぽんぽんとあやす手はそのままに、背中を撫でて]
迷惑なんかじゃないから、ゆっくりおやすみ。
(16) 2013/04/20(Sat) 12時頃
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[腕の中で寝息を立てるサミュエルの顔をじっと見る。 ああもう、どうしてだろう。 サミュエルにだけは甘くなってしまう自分がいる。 それはつまり、きっとそういうことなんだろう]
ばかサミュエル……。
[きっと彼は気づかない。 こんなにも自分の胸がどきどきと高鳴ってることになんて、きっと気づきやしない]
……キミなんて、嫌いになんてなってやらないから。ばか。
[寝顔になじる言葉をひとつぶつけて、おデコをぺちりと指で弾く。 サミュエルに釣られたように、襲ってくる睡魔に身をゆだねて。 自分もまた眠りに落ちていく**]
(17) 2013/04/20(Sat) 12時頃
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― 自室 ―
[深い眠りから突然起こされるように揺り起こされる身体。 うっすらと瞳を開ければ、まず目に飛び込んでくるのはサミュエルの泣きそう顔。 一緒に眠るまで、穏やかな時間をともに過ごしていたから。 未だ夢と現とをぼんやりと漂う少女はこれも夢なのだろうかと、 なんども唇を重ねながらそんなことを思う]
……大丈夫、大丈夫だよ。 甘えん坊サミュエル。ボクはここにいるよ。
[大きな体の子供のをあやすように、ぽんぽんとその背を撫でる。 彼がどうしてこんなにも不安を感じているのかはわからない。 だけどそばいいて欲しいと泣くように言葉を紡ぐサミュエルを慰めてあげたくて、なんどもそうするけれど]
(82) 2013/04/21(Sun) 10時半頃
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[不意に離された身体。 ぬくもりを失い、ぽんと放り出されたような。 そんな寂しさが胸の内でじわりと広がっていく]
う、ううん……。 ボクは構わない、よ。
だけど、どうし……
[言葉を最後まで紡ぐまもなく、 部屋を出ていくサミュエルの背中をぼんやりと見送る。
顔にぬめる熱いものを感じて、そっと手を伸ばせば。 指先を汚す赤いそれに、小さく息を呑む。 よく見れば、サミュエルの手が触れた場所には赤いものがいくつもシミを作っていて]
……まって。 サミュエル――…!!
[追いかける。あんな状態の彼を一人にはしておけない、から]
(83) 2013/04/21(Sun) 10時半頃
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[本当は知っていたんだ。 彼が、自分を傷つけていたことを。 ううん、サミュエルは気づかれていないと思っていたみたいだけど、 気づかないはずがないよ。 だって自分は――……気が付け新しい傷をいくつも作っていたサミュエルを、いつも目で追っていたんだから、 でもいつか言ってくれると思っていたから、あえて気づかないふりをしてた。でも――…]
ボクは馬鹿だ……。 話してくれるのを待ってるだなんて言って、逃げてただけじゃないか。
(84) 2013/04/21(Sun) 10時半頃
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[大きく頭を振る。 話してくれないのが悲しくて、本当は拗ねていただけなのだと気づいて、 自己嫌悪に陥りそうになるけれど]
ボクは、キミが、好きだから――……。
[だから今度こそ、彼を一人にしないと。 卒業だってしない。ずっとずっとそばにいると、いくらでも言ってやる]
サミュエル……、どこ……?
[寮内をサミュエルを探して、少女はぱたぱたとその足音を響かせていた*]
(85) 2013/04/21(Sun) 10時半頃
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― 廊下 ―
[サミュエルを探して飛び出したのはいいものの、 見慣れた影はどこにも見当たらない。
サミュエルとシーシャの部屋の前も通ったけれど、 何を話しているのかまではわからなかったけれど、 中から聞こえてくる声はシーシャとトレイルのものだったから。 ここにはいないのだろうと、また廊下を駆ける]
どこに行っちゃったんだろう……。 サミュエルのいきそうな場所って、ええと……。
[集会所や談話室。 あとは――……と、指折り数えて候補をいくつか挙げていく]
(144) 2013/04/22(Mon) 02時頃
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ここから一番近いのは……談話室か。 ん、よし。行ってみよう。 もし誰かいれば、サミュエルのこと聞けばいいし。
[一人つぶやいて談話室へと向かう。 中へ入れば相変わらずルーカスの姿と、 テーブルの上にはガラスケースに入った赤い薔薇があって]
やあルーカス。 キミ、サミュエルを見なかった…って、あれ? 薔薇の数が……減ってる!?
[昨日見たときは確かに三つ咲いていたのに、 今は二つだけになった薔薇にぱちぱちと瞳を瞬かせた]
(145) 2013/04/22(Mon) 02時頃
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サイモン……? そんな人いたっけ?
[ルーカスが語る卒業の話。 だけどルーカスが口にした名前には全く記憶になくて。 きょとりと首を傾ぐ。 どうやら卒業すると、ほかの人から忘れられてしまうらしい]
……え、ちょっと待って。 それじゃ、サミュエルが卒業したら、 ボクはサミュエルのことも忘れてしまうの?
[甘えん坊な顔も、オトコノコの顔も。こんなにも彼のことが好きなのに。 彼を想う気持ちごと忘れてしまうなんて―――……]
そんなの、いやだ。 いやだよ………。
[いつの間にか眦には涙のつぶが浮かんでいて。 ぽたり、と。頬を伝う]
(147) 2013/04/22(Mon) 02時半頃
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[傍に居れないのは我慢できる、けれど。 忘れてしまうのは、嫌だった。 この想いをなかったことになんてできない。したくない]
どうしよう、ルーカス。 ボク……、ボク…、今すごく悪いことを考えてる。 ボクは正義の味方のはずなのに、なのにこんな……。
[最後まで言葉を紡ぐことができない。
サミュエルのことを忘れたくないから、 彼が卒業するのを邪魔したいなんて。 言えない、けれど。
ちりちりと胸の奥が痛む。 初めて抱いた自己的な考えに、戸惑いを隠せないまま唇を強く噛んだ**]
(149) 2013/04/22(Mon) 02時半頃
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