52 薔薇恋獄
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― 自室 ―
[道也が部屋を出ると、またベッドの上にごろりと横になった。 携帯を手に取り、そこに溜めこまれた呪詛のメールを一つ一つ開けていく。
『大好きよ』『愛してるわ』『お母さんには悠里だけ』『恋人なんて作ったら許さない』『早く帰って来てくれないと、クスリ飲むから』『今日はご馳走よ。悠里の大好物を作っておいたからね』『あの女、許さない。私の悠里に……』
それらを感情の抜け落ちた眸で見詰めながら、無言で親指を動かす]
(58) 2011/05/22(Sun) 09時半頃
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[カチ]
[カチ]
[このメールを消去しますか?]
[はい] [いいえ]
[カチ]
(59) 2011/05/22(Sun) 09時半頃
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[カチ]
[カチ]
[このメールを消去しますか?]
[はい] [いいえ]
[カチ]
(60) 2011/05/22(Sun) 09時半頃
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[雷鳴が轟くまで。 否、轟いても、親指を動かし続けて。
190件目のメールを削除した所で、聞こえたノックの音に其方へと顔を向ける]
……開いてるよ。
[戻ってきたのが道也ではなく寧人である事に、 僅かに眉根を寄せながら。
ノックへ、そうかえした]
(62) 2011/05/22(Sun) 09時半頃
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[手の中の携帯を脇に置き、首を振る]
……いや。相変わらず、ね。
[ここに来られない、と聞けば。 泣いていた道也を思い出し、口元に浮かぶ笑み]
……そう。 じゃあさっきの停電で消えたのは、道也? [表面上は何時もと変わらない様子を作る寧人へと、そう尋ねて]
あいつ、嬉しそうな顔で……行けた?
(66) 2011/05/22(Sun) 10時頃
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恋人……? ふうん。
[ああ、それで…と。 寝言で聞いた名前と、泣きじゃくる道也の様子に納得が言った様に一つ頷く]
荷物ね、そのベッドに乗ってるのが、そう。
[持って行っていいよ、と。 顎先を促す様に向けて]
……道也と良数が、ね。
[口の中で、何か小さく呟いた]
(71) 2011/05/22(Sun) 10時頃
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ううん、何も。 ただ少し、意外だったなって。
[道也の服を畳み直している寧人をじっと見詰めて]
俺はてっきり――……。
[最上が選ぶなら、お前だと思っていた。
そう続ける言葉は口にしないまま首を振り]
……いや、何でもない。 しかし、何時まで此処にいれば良いのかな。俺たち。
[話題を反らす様に、窓の向こうのバケツをひっくり返したような豪雨を見詰める]
(73) 2011/05/22(Sun) 10時半頃
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[笑う寧人に、つられたように此方も小さく笑い]
……でも、まあいい。 男がめそめそ泣くのは、あまり見たい絵面じゃねーし。 望んだとおりになれたのなら、良いさ。
[反らした話題。 ベッドの上に投げ出した足を組みながら]
……そうなんだよな。 まだ一日しか経っていない。でもすげえ長い時間が流れたような気がするよ。
[窓一枚隔てた雨の音を聞きながら]
(76) 2011/05/22(Sun) 10時半頃
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俺には、誰かを好きになるなんて許されていないから。
[この身は茨に覆われて、誰かを視ることすら許されていないのだと。 薄暗い部屋に浮かぶ、諦観の笑み]
(78) 2011/05/22(Sun) 10時半頃
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みんな消えるまで帰れない、か。 ……いや。俺は、帰りたくないのかもしれない。
[膝を立て、そこに顔を埋める。 きっと酷い顔をしているだろうから、それを見られたくなかった。
正面に人が立つ気配。 埋めた顔を僅かに上げる]
触るな、寧人。 触れば、お前も汚れてしまう。
[伸ばされる手から逃れる様に、一歩後ろへと下がった]
(80) 2011/05/22(Sun) 11時頃
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……俺は寂しくない。 叶うのなら、俺はもうあの家に戻りたくない。
あの家に戻るくらいならずっと、此処で。 あの克希の叔父さんが話してたみたいに……囚われていたい。
[追う手が頬に触れる。 避けはしない。だけど、じ…と寧人を見詰めて]
……汚してもいいとか、言うな。 そんなのは…好きな奴の前で、言うセリフだ。莫迦。
(84) 2011/05/22(Sun) 11時半頃
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[広げられた手。 じっと見詰める。
汚れてはいない。今は、未だ。だけど――…]
えんがちょ、とか。 久し振り聞いた。お前、いつの時代の小学生?
[同じように笑う。 何も答えないまま、曖昧に]
(88) 2011/05/22(Sun) 12時頃
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[着替えを手にして、戻って行くのをぼんやり見つめながら]
……ん。気が向いたら、行くよ。
―――おやすみ。
[小さな声を背中に掛けて]
(89) 2011/05/22(Sun) 12時頃
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[扉が閉まると同時に、 ずるり、と上半身が崩れ落ちる]
―――……は、ぁ…。
[大きく息を吐き、そして――…]
(90) 2011/05/22(Sun) 12時頃
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ユリシーズは、ベネットの後ろからずっと。此方を見ている顔を腫らした女を睨めつけるように*見上げた*
2011/05/22(Sun) 12時頃
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