197 獣ノ國
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―自宅―
[この地へ来たからと言って、朝が変わる訳ではない。あの國で長年起きた時間に――朝陽の差し始めるその時間に目覚め、珈琲を淹れる湯を沸かす。 ――嗚呼、でもあのサボテンは置いて来さまったから。その間だけは、やる事が無くなってしまいはしたけれど。
湯の温度は83度。場所も道具も変われば、冷めるまでの時間も変わる。 そうして沸かした湯に温度計を差し込み、後もう少しで83度となろう時だっただろうか――家の外から、カラコロと荷を引く音>>+1が、聞こえて来たのは。]
………、……。
[思わず、窓の方へと視線を向けて。窓へと駆け寄りそうになる足を何とか止めていたのなら、家の前で止まる音。 ――コクリ。聞こえた自分の息を飲む音に呆れつつ、それでも扉から視線を外す事は出来ずに。 それから、どれ程の時間が経っただろう――否、時間にするなら極々短い間だっただろう。それが何処までも長く感じてしまったのは――その胸に広がる、期待のせいに他ならない。]
……ッ、
[こん、こん。何とも控えめに鳴った扉の音>>+2と、次いで鳴らされるベルの音。 それが聞こえたのなら、男は今度こそ扉へと向かう足を止める事は出来やしなかっただろう。
(+3) 2014/10/09(Thu) 05時頃
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――そうして、扉を開けたのなら。降り注ぐ朝陽の向こうに、焦がれに焦がれた姿が…あの夢の時のように、白に身を包んだ彼の姿が見えたのなら。 男は眩しげに目を細め、僅かに背を屈めてその腕を取り、家の中へと引き入れたのなら、身を強く、抱いただろう。 例え彼の荷物が外へと置き去りになったとしても――万一彼が、その抱擁を拒絶したとしても。]
……ようこそ、俺の巣へ。 本当に、捕らわれに来てくれたのか。
[胸に押し付けるように腕に力を込めてしまったから、もしかしたら少々息苦しさを感じさせてしまったかもしれない。 だけれど、それを気にする余裕など…今の男に、ある筈も無く。 嗚呼、彼はもしかしたら泣いてはいただろうか?しかし例え泣いていたとしても、きっと男はこの抱擁を止めはしなかった――止める事は出来なかっただろう。 彼が痛みや苦しさを訴えたのなら、初めてそれに気付いたように僅かにだけ、力を緩めたかもしれないけれど。]
(+4) 2014/10/09(Thu) 05時頃
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これはあの夢の続きかな……また会えて、嬉しいよ。
[彼と初めて言葉を交わしたあの日と同じ、"目立つ"白いコートを纏う姿を、その腕の中へと閉じ込めながら。 嗚呼、どれ程この時を待ち焦がれただろう。 どれ程、この温もりに焦がれただろう。 さぁ、これで漸く。漸く…あの日の彼の言葉に、返す事ができる。]
あぁ…返事が遅くなってすまない。
――……愛しているよ、…ヨハン。
[ゆっくりと離したその顔は、少しばかり歪んでいたかもしれない。そんな顔は、男にしては至極珍しいものだったけれど。 そうして、両手を彼の頬へと添えたなら。もしも彼の頬が濡れていたのであれば、その雫を唇の先で掬いはしただろう。
見つめる瞳には、溢れんばかりの慕情を込めて。一度寄せた唇は、僅かに躊躇うようにその先にだけ触れる。 嗚呼、しかし。一度触れてしまったのなら、もう止めることなど出来はしない。 ほんの僅かな真を置いて、堪え切れぬように再度寄せた唇は――果たして。受け入れて…貰えただろうか。]
(+5) 2014/10/09(Thu) 05時頃
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[思わず伸ばしてしまった腕は、少しばかり彼を驚かせはしてしまっただろうか。 捕らえるように回した腕の中、小さく聞こえた悲鳴>>6すらも愛おしく。彼の荷物が立てた音は、耳には届いてはいたけれど――それに構う余裕など、とてもじゃあないがありはしない。 強く抱き返された腕には、堪え切れぬように息を吐き。 聞こえた彼の言葉には――あの時に告げられた言葉を再び伝えられたのなら。その吐く息すらも、震えてしまいはしたけれど。]
……あぁ、覚えているとも。 名も國も、何もかもを捨てて俺の元へと来てくれたのなら…
["自分の全ては、君へ"。 繋げようとした言葉は、震える息のせいで声にはならずに。 だけれど胸のあたりにじわりと広がる暖かさを感じたのなら、こっそりと目元を綻ばせ。嗚咽を堪えるような彼の声には、言葉には。男もまた、熱くなる目頭を堪えながら頭を寄せはしただろう。]
(+12) 2014/10/09(Thu) 23時半頃
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現実に、か。それは解っているんだが… …何故だろうな。まだ夢心地だ。
[この地へと来る途中に、幾度この温もりを夢見た事だろう。そうしていざそれを再び手に入れたのなら――今度はそれを失うのが何とも恐ろしくて。 離さねば、と考える脳に反し、回した腕の力は強くなるばかり。 嗚呼、その上そんな愛らしい言葉を言われたのなら、今度こそ抑えが効かなくなってしまうじゃあないか。]
……また、泣かしてしまったな。
[次から次へと溢れる涙を、丁寧に唇で掬い取りながら。言葉とは裏腹に、その声はとてもとても柔らかなものだったけれど。 あの日の涙とはまた違う涙を。流れるそれは、なかなか泣けない自分の分まで流してくれているような、そんな気にすらなる。 そうして、久方ぶりにその唇へと緩く触れ――実際には、それ程の時間は経ってはいなかったけれど。 それでも十年の時を経たような錯覚を覚えたのは、それ程までに彼に焦がれていたと言うことなのだろう。]
(+13) 2014/10/09(Thu) 23時半頃
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………、あぁ、すまない。 あまりに美味そうな蝶が巣に引っ掛かってくれたものだから、つい。
[顔を拭う、別れた日とは違う真っ白な手袋。その手をやわりと取りながら、戯けたように言ってみせて。
"こんなに美味そうなご馳走が目の前にあるのなら、どんな蜘蛛だろうと味見をしたくなるもんだ"――なんて。 そう繋げてみせながら、持ち上げられた彼の荷物を取ろうと手を伸ばす。 そうして男は、荷物を取れたのであればそのまま、取れなかったのであれば苦笑を浮かべ、自ら巣へと飛び込んできたこの美しい蝶を、中へと招き入れただろう。]
しかし、荷物もあったろうに。 連絡をくれたら――あぁ、…返さなかったのは俺か。
メールは、全部届いていたよ。 ……何度。電話をしようと思ったか。
[――パタン。 扉の閉まる軽い音を聞き流しつつ、服をなぞる彼の指先を見つめる。 そうして腰を引き、背を屈め。なぞられた辺りへと唇を押し付けてみたのなら、コツリと硬い感触が伝わりはしただろうか。]
(+14) 2014/10/09(Thu) 23時半頃
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それにしても…良い物? 何だろうな、メールでくれた"土産"かね。
[彼の身体へと腕を回したまま、チラリと相手の瞳を見上げて見せて。 そうして彼の言う"良い物"が待ち切れぬかのようにもう一度唇で硬い感触がした辺りを突ついてみたのなら、"良い物"は――与えて、貰えただろうか。]
(+15) 2014/10/09(Thu) 23時半頃
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/* クラリッサちゃんと錠がこのおっさんの話をしててちょっとうれしい
(-39) 2014/10/10(Fri) 00時頃
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/* 錠がだんだん本性だしてきたね!?
あとねえねえジャニス君が可愛いんだねえとうといんだ;;;;;
(-45) 2014/10/10(Fri) 00時半頃
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…何とも傲慢な蝶だ。 君はもう、巣の中に居ると言うのに。
[悪戯のように落とされた言葉>>+16には、クスリと笑いながら言い返して見せて。こんな他愛のない言葉遊びを再び交わす事が出来る喜びに酔いしれる。 頬へと触れる吐息を感じながら、視線を降ろした先には僅かに浮いた踵。 ――見えたそれを、どうにも可愛らしく思うてしまったと知れれば。彼は気を悪くしてしまうだろうか…それとも。]
……泣いてしまう、か。 それなら、電話をかけなかった判断は正しかった。
――……離れた場所で泣かれても、何も出来ない。
[頭の後ろに回された手に目を細めながら、離れた間の事を思い、小さな声で呟く。回された手に沿うように手のひらでなぞり、肩から腰へとゆるりと撫ぜ。 彼の内心など気付かぬままに唇を寄せたのなら、小さな小さな時を刻む音も聞こえては来ただろうか。そうしてそれに混じるように、彼の鼓動も聞こえた気がして――。]
(+19) 2014/10/10(Fri) 20時頃
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………ほう。
[そうして彼が見せたそれ>>+17へと視線を移したのなら、男は小さく感嘆の声を上げる。 鎖の付いた先には、小さな時計がひとつ。蜘蛛の巣を模した文字盤に囚われた白い蝶に、刻を刻みながら巣の中を伝う金の蜘蛛。 彼のその手で首へと付けられたそれは、似合っているとは言えなかったかもしれないが――先程まで彼が付けていたからか、それともその蝶と蜘蛛とに自分達を重ねたからか。仄かに伝わる金属の暖かさは、男を酷く安心させた。]
――成る程。 文字盤の巣に捕らわれた蝶が君で、針の蜘蛛が俺、か。
……く、く。中々いいセンスじゃあないか。 ほら、見てご覧。この蜘蛛は、蝶を喰らうのが待ちきれないらしい。
[頬への口付け>>+18に、そしてこの贈り物に男は滲む嬉しさを隠そうともせず。柔らかい微笑を浮かべ、彼の頬へと口付けを返したのなら、首に下がった時計を指して見せただろう。 丁度、長針が12へと差し掛かる頃だったらしく、まるで待ち侘びるように蝶を狙う長針の蜘蛛。その様に思わず吹き出しながら、彼の瞳を覗き込む。]
(+20) 2014/10/10(Fri) 20時頃
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――……まるで俺のようじゃあないか。
[その言葉を告げたと同じ頃に、長針がひとつ動き。文字盤の蝶を喰らう蜘蛛のように、男もまた自分の巣へと捕らわれた蝶を喰らおうと、ほんの少しだけ荒く、唇を重ねる。 …先とは違い、ここはもう巣の中だから。彼もきっと――自ら捕らわれに来た彼なら、拒絶はきっと、しないだろうと。]
気に入ったよ、ありがとう。 集めた時計も、全て置いて来たから…これが最初の時計だ。
…しかし12を過ぎたら蝶から離れなければならないとは、哀れな蜘蛛じゃあないか。 一度会えたらまた時が満ちるまで君に会えないとは…俺なら、耐えれそうに無い。
[口付けを交わしたのは、果たしてどれくらいの間だっただろう。名残り惜しげに蝶から離れる蜘蛛に視線を向けながら、男はその白い手袋に包まれた手を引く。 そうして時計の蜘蛛とは違い、未だその腕の中に蝶を捉えたままの男は、獲物を逃すまいと腕に力を込めはしただろう。]
(+21) 2014/10/10(Fri) 20時頃
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――いっそ、時を止めてしまおうか。
["そうしたら、離れずに済むだろう?"、なんて。戯けるように言葉を投げながら、僅かに身体を離して彼の手を引き。 彼がそれに倣ってくれたのなら、二人で共にソファへと。あの夜語り明かした時のように、寄り添おうとしただろう。]
そう言えば、殴られた…と言っていたが。 口の中は、まだ痛むか?
痛むなら、氷を持って来るが。
[珈琲が染みる、と言っていたから、恐らくは顔を殴られたのだろう。痛みが無いように、そっと頬へと――今更かもしれないけれど――触れながら。 そうしてまた、痛みの具合が解らぬ男は、啄ばむように唇を寄せ。指をそっと握ったのなら――あの時血で濡れていた指は、未だ痛みを伴いはしただろうか。]
しかし情けないかな、俺は君の趣味はおろか…好物すら、知らないんだ。
……ヨハン。 君の話も、聞かせてはくれないか。
[彼へと寄り添い、軽く目を伏せながら。彼を求めるように投げてみた言葉に、彼は果たして応えてはくれるだろうか。]
(+22) 2014/10/10(Fri) 20時頃
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/* 背伸びするジャニス君が可愛いとわたしのなかでわだいにはぁジャニス君がとうとくてしぬ とうとくて…なんだよ不安なのねぇ喜ぶにきまってんじゃん…(泣き崩れる)
というか折角ジャニス君来たのにリアルしぬってなんなの!!!!zapzapzap仕事
(-60) 2014/10/10(Fri) 20時頃
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