162 絶望と後悔と懺悔と
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[死んでしまったもの、なくしてしまったもの 壊れてしまったもの。 全てがもう戻ることのないもの。
そして自身ももう皆が知る自分ではないけれど]
殺して、君も死んだんだね。 せめて君の失ってしまったものが 君が想うようになりますように。
[泣いたような声の主が誰であるかはわからない。 そんな呟きは風がきっとどこかに運んで…散じるだろう*]
(+10) 2014/02/21(Fri) 12時頃
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>>+8>>+9>>+10
[声がしたような気がした。 それはリーに似ていた。 だから、急いで、探す。
声の方向を探してみるけれど、 でも、何も見つけるものはない。
でも、それでも、探す。 探して探して探して
でも何もない]
(+11) 2014/02/21(Fri) 20時頃
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[声は、形ある言葉を囁いてから去っていく。 それは、慰みなのだろう。
そして、去っていったことを感じれば、やはり項垂れるしかない]
――……
[失った…いや、自分が殺してしまったものが もう、自分などを思うことはないと思う。
すべてが間違った道で、手遅ればかりだ。
周のこともリーのことも、マユミのことも]
(+12) 2014/02/21(Fri) 20時半頃
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[
絶望は終わらない 後悔は消えない 懺悔は尽きない
ただ、それらは、確かにこれまでの自身をかたち作るもの]
(+13) 2014/02/21(Fri) 20時半頃
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リー、ごめんな。
[ぽつり、それはきっとその存在に似ていたから、 また座り込んで、朝日に謝った*]
(+14) 2014/02/21(Fri) 20時半頃
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[思い出すのは、どうしてか。 少し後ろから見つめていた背中、 いつのまにかずっと大きくなってしまった]
――……、
[>>+14 丸められた背中に両手を伸ばす。 そっと頬を摺り寄せて、ただ目蓋を閉ざした。
寄り添うだけ、 語る言葉は何も無い。
触れる肌も温度も鼓動ももうない、けれど。 自分が自分であった想いの全てが伝わるように*]
(+15) 2014/02/21(Fri) 20時半頃
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>>+15
[背中に感じたのは、ぬくもり、と表現したくなるような存在感。 振り向いたとき、その姿は目に見えるものなのだろうか。
見えるならば、そのまま、顔はぐしゃりとなった]
(+16) 2014/02/21(Fri) 23時頃
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……ただいま。
[今度こそ本当に、 こころからそう言える。
>>+16ゆっくりと閉ざしていた目蓋を開けば、 緋色は既に失われ、穏やかな墨染めの色。 きっと記憶にあるように柔らかに微笑んだ]
(+17) 2014/02/21(Fri) 23時頃
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マユミ……。
[顔はひどい顔になって、そして、また俯く。 それはあの頃のようにも見えて、
いや、嘘だ。あの頃よりずっと大人になった]
――……マユミも、ごめんな。
[結局、殺してしまった。 リーもマユミも。
それは もう忘れることができない]
(+18) 2014/02/21(Fri) 23時半頃
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……理衣くんはね、 あなたに殺してほしいって思ってたんだよ。 あなたが特別な友達だから。
だから、 わたしまで願ってはいけないと思ってた。
[向けられた謝罪の意味を知る、 そんな想いをさせてしまうから、 願ってはいけないと思っていたこと]
……わたしこそ、ごめんね。 ちゃんと自分で死ねればよかった。
(+19) 2014/02/21(Fri) 23時半頃
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>>+19
――……知っでる。
[マユミの言葉に、顔もあげずに]
だがら、なお、謝るんだ。 そんな想いしがさせられながっだ。
おでは、リーにも幸せになっでほしがっだだ。 いや、リーにもいいたがっだんだ。
おかえりっで……。
[そして、思ってまた顔を歪ませた]
(+20) 2014/02/21(Fri) 23時半頃
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マユミは、
おでが殺すっでいっだし……。
[そういったけれど、やはり辛かったことは間違いなくて]
(+21) 2014/02/21(Fri) 23時半頃
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サミュエルは、その時、世界がみえてくる。彼らの戦っている姿
2014/02/21(Fri) 23時半頃
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[その周であった獣の姿、 その存在はわかるのだろうか。
周であったのなら、気がついてしまうだろうか。
マユミを貫いて、そして、己を貫いたその刃が彼のものであることを]
(+22) 2014/02/22(Sat) 00時頃
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わたしは自分で死ぬべきだった? お父様にころされるべきだった?
……それとも、あなたを殺すべきだった?
[今彼が感じる痛みは、 本来、自分が負うべき痛みだった]
あなたはわたしを殺すことで、 あなたを殺す苦しみから、わたしを救ってくれた。
だから、 わたしは最期に幸せだった……、 あなたのおかげで、幸せだったの。
(+23) 2014/02/22(Sat) 00時頃
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>>+23
[マユミの言葉をきいて、 その重なる単語、やはり哀しくなって……]
――……違うだや。 お前は生きるべきだっだだや。
人間としで……。
[そんなこと無理だった。わかってて、 でも、哀しいから。殺すべきか死ぬべきか、その二つしかない女の子なんて]
おでは、お前を幸せにしたがっだだ。 もっと違う幸せを……。
[丸くなって背中、そのおかれた手を掴めば、振り向いて]
もっがいお前に会いたいだな。
(+24) 2014/02/22(Sat) 00時頃
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――……こんどはころさね、がら……。
[やっぱりその身体を抱きしめてしまうのだ]
(+25) 2014/02/22(Sat) 00時頃
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……そうね、 あなたは幸せな未来を描いてくれた。
運命を捻じ曲げた父を、 始祖をいつかこの手で討つ、と。 ただ、それだけしか残っていなかった私に、 未来を聞かせてくれた。
[望みなどなければ絶たれることはない。
幸せを願うことは無かった、 幸福も家族もあの頃ももう返ってこない遠くの場所にある、 だから、その遠くの場所で幸せでいてくれればよかった。 自分はその幸福に微塵も関係なくても、よかった。
だから絶望はなかった、しかし希望もなかった。 生きていようとも、死んでいようとも変わりない]
(+26) 2014/02/22(Sat) 00時半頃
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だから私は、 人間として生きられなかったけど、 ……人間として死ねたような気がするの。
[彼の描いてくれた叶うことのない望み。 鬼となってから初めて想像した気がする。 人の心を思い出せた気がする]
(+27) 2014/02/22(Sat) 00時半頃
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うん、そうだね。 もう一回会えたら、今度は――
[抱きしめる腕に、 記憶の中の温度と匂いと甘苦しさに、 泣き笑いのような顔になる]
あなたのお嫁さんにしてね……
(+28) 2014/02/22(Sat) 00時半頃
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>>+28
[きっとありえない約束。 死んだら、きっと、終わりなのだろう。 いや、自分はもう、この場から離れられない気さえするのに
でも、彼女と違う、どうしても願い続けてきていた 家族を取り戻すことを。
取り戻すためには、自ら、家族を捨ててもいいと思ったほど。 あの時のあの食卓。
あれは、幻なんかじゃなかったから]
(+29) 2014/02/22(Sat) 00時半頃
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――……約束だがんな。
[マユミに向けるのは、それでも、一ヶ月年下の顔。 でも、確かにそれは、今でなく、 あの頃の顔を一瞬見せることになる]
(+30) 2014/02/22(Sat) 00時半頃
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――……そうだ。 周は、どうなっだが、しっでるだが?
[ふと、尋ねるのは、 あの時、零留に連れていかれ、そして、眷属になっただろう周のこと。 マユミはわかるだろうか]
(+31) 2014/02/22(Sat) 00時半頃
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[あの頃のようで、 もうあの頃とは違うから。 子供ならば、それは指きりだったけど]
……約束、
[それはもう少し別の方法に、した。そして]
(+32) 2014/02/22(Sat) 01時頃
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……周も、抗い続けているわ。
[>>+31 見やる先、 父を屠らんと駆ける獣の姿は、 見えはしなかったけれど]
(+33) 2014/02/22(Sat) 01時頃
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[――…ふわり。
―――浮遊する感覚。
――…ゆらり。
―――揺蕩う、意識。]
(+34) 2014/02/22(Sat) 03時頃
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[死の間際。 望んだのは、全てからの解放。 …だから、この魂は黄泉路を逝くとばかり思っていたけれど。]
――まぁ、 そういうわけには、いかないよなぁ…
[抱かれたのは、昏き地の底でなく、朝焼けの空。
嗚呼、眼下で今、起こっていることの結末は、 自分が向き合わねばならぬこの終焉は、
これまでの行動、その罪に対する罰となり己を縛り責め苛むのか、 それとも希望を遺し、この魂の標、次への福音と生り得るのか。]
(+35) 2014/02/22(Sat) 03時頃
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[今まで散々逃げ続けた男に対する神の選択は、きっと正しい。]
…最後まで見届ける、責任が、あるよな。
[正面から向き合ってやれなかった弟、妹へ。 長く肩を並べ、共に闘ったジャニスへ。 もういなくなってしまった兄、姉へ。 憧れ、背を追い続けたあの人へ。
…そして、刃の届くことのなかった仇敵へも。
――それぞれに対する想いがある。 自分の行いと、それの齎す結果を、今一度見つめて。]
(+36) 2014/02/22(Sat) 03時半頃
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[遂に戦場に姿を現した獣の双眸に映るのは 総身を紅に染めた黄金の鬼に、 細い首を締め上げられる少女の無惨な姿。
嗚呼、――かの鬼は獣から 後、どれだけ大切なモノを奪えば気が済むのか]
(+37) 2014/02/22(Sat) 03時半頃
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[今、獣を駆り立てる衝動は、怒りでも憎悪でも無い。 この足を動かすのは、金色の呪縛から逃れるため、捨て去ろうとしていた願い。
『囚われた家族の自由を取り戻す』
だから、斃すためではなく、 リカルダを奪い返すため、獣は――周は、黄金の鬼の元へと疾駆するのだ]
(+38) 2014/02/22(Sat) 03時半頃
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[獣となって叫び続ける弟の、魂の慟哭が戦場を駆ける。
儚く忘れ去られようとする弟の呟きが耳元を吹き抜ける。
結ばれることのなかった二人の、幸せを願う声がぽつりと響いて。
既に消えたかに思われる弟妹達の、魂の声は他にあっただろうか。]
[始祖を倒さんと最後の力を振り絞る一団を認めれば、 その結末を見守らんと、上空から幾らか寄り、]
………。
[決して目を背けることなく、全てを。 それがどのような結果になろうとも、受け入れよう。
あぁ、それでも。 願わくば、そこに一欠けの希望が遺らんことを――]
(+39) 2014/02/22(Sat) 03時半頃
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