270 食人村忌譚
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エツコは、まだ、食べてもらっている傍で微笑んでいる**
2017/12/02(Sat) 01時頃
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[石動と錠の家は瞬く間に燃え上がった。 まだ息のあった石動は炎を吸い込み喉と灰が焼ける激痛に悶え。 それでも弟を庇うように覆い被さる。 少しでも暑さから逃れられるようにと。
それ一瞬だった。 玄関が火に焼かれ落ちた時だった。 外気が入り込み炎が大きく膨らみ、まるで生きているかのように二人を飲み込む。 後はもう覚えてはいない。 必死で弟に縋りつき抱き締めていた事しか。]
(+0) 2017/12/02(Sat) 01時頃
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[鎮火した後に様子を見に来たならば全焼してしまった家と。 その家に二体の遺体を発見する事が出来るだろう。 焼け焦げてしまったその遺体を食する事は不可能だろう**]
(+1) 2017/12/02(Sat) 01時頃
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抜荷 錠は、メモを貼った。
2017/12/02(Sat) 01時頃
看板娘 櫻子は、メモを貼った。
2017/12/02(Sat) 01時半頃
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―― 風 ――
[びゅおう、びゅおう。 悲鳴のような声を上げて風は村を吹きすさびます。
風はひとつの死体の前>>5:+0に像を結び、 幼い少女の姿を作りました。
まだ姉妹が仲の良かったころ。 巫女になる前の想いでの残滓]
……姉さん、姉さん。
[無残にもかち割られた頭を撫でて、 優しい声音で少女は囁くのでございます]
(+2) 2017/12/02(Sat) 21時半頃
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頑張ったわね、つらかったわね。 私はずっと見ていたからね。
姉さんがどんなに頑張ったか。 どんなに不安な中、ひとりで戦ったか。
すごいわ。姉さんは、私の自慢の――……
[無邪気な少女は、起きることのない姉に語り掛けます。 ずっと、ずっと。風は止むことはありません]
(+3) 2017/12/02(Sat) 21時半頃
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―― 風 ――
……櫻子。私の可愛い櫻子。
[>>5:+5吹きすさぶ悲鳴のような風の音は、 やがてひとりの名前を呼ぶ声となるのです]
櫻子、あなたは最期までとても綺麗だったわ。
私たち、家族になれたのよ。 幸せね。とてもとても、幸せね……。
[風は、優しき聖母のような笑みを浮かべる 女の形をとりました]
(+4) 2017/12/02(Sat) 21時半頃
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[風は優しく、やわらかく。 眠っていた櫻子の頬を撫ぜるでしょう]
かかさま、か。
私は母になれたのね。 子を最期まで孕むことはできずとも。 巫女の義務は果たせずとも。
母に――……
[愛おしげに、風は優しく櫻子を包みました**]
(+5) 2017/12/02(Sat) 21時半頃
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巫女 ゆりは、メモを貼った。
2017/12/02(Sat) 21時半頃
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[私に、志乃を罰する資格などはない。
わたしと、それから彼。 重なるように崩れ落ちている 二つの身体を見下ろす。
絶命の間際、私は彼の脚に刃を突き立てた。 頭も良い、それなりに力もある彼に 正当法で勝てる見込みはない。
卑怯な小娘が用いた手段も、皮肉なことに 妹を殺めたものと同じであった。]
(+6) 2017/12/02(Sat) 22時頃
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[脚の健常な時分から、錠は、いつでも石動のあとばかりついて回っていた。 村の、同い年な他の子らと遊ぶより、兄のそばにいることのほうが多かった。
十歳を過ぎ、脚の動きが悪くなりはじめれば、兄への依存は更に強くなっていった。 様々な治療を試みるも、徐々に動きの鈍ってゆく両脚。 そのぶんだけ、兄への執着が膨らんでいった。 それをおかしいと思ったことは、一度もなかった。]
(+7) 2017/12/02(Sat) 22時頃
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[けれども、これで良い。 私が彼を、彼が私を殺したことは明白だ。 禁忌を犯した下手人など、 村を裏切った罪人など、赦される必要はない。
そうは思えど、事切れた姿に背を向ける。 目を背けるように。
罪悪感など、後悔など。 今となっては、どうしようもないことだ。]
(+8) 2017/12/02(Sat) 22時頃
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( 兄さん……
………兄さん……──────)
[兄の重みを感じながら。 炎の熱に焼かれる前に、意識は途切れた。 精一杯、せめてその背に回そうとした手は、届いたか。
たったひとりに、一欠けらだけ食べられた身は、次の命を得ることができるのだろうか。 その時はまた、あにおとうととして生まれることができるだろうか。 もしかしたら、一人分には足りないから、ふたり一緒になるかもしれない。 それもまた、悪くない。
なんでもいい。 いっしょならば、なんでも……………]
(+9) 2017/12/02(Sat) 22時頃
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[風が吹く。 旋風が、人の形を作って 事切れた方の私の頭を撫でる。
最後に見た姿とは違う、幼い頃のもの。 そそっかしくて手が掛かる、 けれども、誰よりも優しい 自慢の妹の姿>>+2がそこにあった。]
ゆり。 私、がんばったよ。 下手人のひとりも、やっつけたんだよ……。
[けれど、守りたかった村には、 その中には、もう、 妹は生きてなどいないのだ。]
(+10) 2017/12/02(Sat) 22時半頃
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……なんで、どうして。
[ただ、平和な、“いつも通り”が 欲しかっただけなのに。 どうして、こうなってしまったのだろう。
小さな妹の背に縋り付く。 ぽろぽろ、堰を切ったように 流れる涙も、空気に溶けて、消えていく。*]
(+11) 2017/12/02(Sat) 22時半頃
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PPP イルマは、メモを貼った。
2017/12/02(Sat) 22時半頃
抜荷 錠は、メモを貼った。
2017/12/02(Sat) 22時半頃
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― ―
………………。
[途絶えたはずの意識が、不意に戻った。 身体が軽い。炎の熱を感じない。 なにより、もう十年以上ぶりに、杖もなしに己の足で立っていた。 いや、これは”立って”いるといって良いのだろうか。
真っ黒く焼け焦げた、兄と、己だったものが、そこにある。 まるで、大きな泥団子のようだと思った。 嗚呼そうだ、いっそ本当に、泥のようにふたり混ぜこぜになってしまえばいいのに。]
(+12) 2017/12/02(Sat) 22時半頃
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兄さん。
……兄さん……。
[兄も……兄の魂も、そばにいるのだろうか。 黒い泥団子の前に佇んだまま、静かに呼び、その姿を探した。*]
(+13) 2017/12/02(Sat) 22時半頃
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―集会所/弔いの場―
[言葉は次々と変遷していく 『約束』>>4:187、『約束したかった』>>4:203 『未練』>>5:9、『言って欲しかった』>>5:16]
申し訳ありません 首を絞められていると、何も言うことはできないんです
[苦笑しながら相槌をうつ 小指と、約束と、生者が紡ぐ言葉の繋がり 殺されながら、次々と受け止めていた言葉に対し、 感じたことは多々あった>>4:+6>>4:+7>>4:+8 けれど、言って欲しかった内容については、 心当たりはなかったから、 自分ではうかがい知れぬことなのだろうと見切りをつけた もっとも、求めるものがあったならば、 そう言葉を交わしてくれればと、思ったりもしたけれど もうそんな仮定をしたところ、意味はなにもないのだから]
(+14) 2017/12/02(Sat) 23時半頃
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エツコは、ミナカタが食べるの>>4:204を見ながら、幽体の小指を何となく擦った
2017/12/02(Sat) 23時半頃
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[リツ>>4:172と志乃>>5:14に振舞われる、 抜け殻となった2つの死体 毒を受けても、時間をかけても、 僅かになってでも仕込まれた肉>>4:180に、目を細める 毒の詳細や腑分けの経緯などは分からずとも、 ゆりの体には多くの手が加わっていたのだろうと感じる それが、ありがたくも、愛おしい
思えば、この村にきて最初に食べた>>2:18のも人肉だった 教会で禁忌とされた食人行為を犯したことで、 しばらくは、自分は地獄に落ちるのだと悶え苦しんでいたものだ
けれど、村の因習>>0:#0の中で、 もっとも早く受け入れられたのも、この弔いだった]
(+15) 2017/12/02(Sat) 23時半頃
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[腕の肉を求めたリツ>>4:195は、 その心中になにを思っていたのだろうか 死の予感を抱いているだろう志乃>>5:14は、 何を思い、なお食らうのか
それは、江津子が窺い知れることではないけれど、 やり方は違えど、他者の死と向き合うという意味では、 故郷とさほど変わらないありようだと感じたからだ 死者のために時間と気持ちを費やしてでも、 弔いの作法を通じて、生きている者たちの明日へと繋ぐ
外と、何にも変わりはしない もっとも、その場で抱く胸の内は、 言葉を介さなければうかがい知れぬ、 人それぞれだとは思うけれど]
(+16) 2017/12/02(Sat) 23時半頃
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そうですね そういう運命にあるのなら、 ぜひ、またお会いしましょう できれば、時間が経ってから
[リツ>>5;15にそう送ったところで、 ここにいる面々も2つに分かれた 少し、思案した末に、 ミナカタ>>5:24と丞>>5:23の方へとついていく]
風が、ふいていますね
[相討ちた2人の決着にも、 炎に飲まれた兄弟の行く末も知らぬまま ゆっくりと集会所を後にしたのだった*]
(+17) 2017/12/02(Sat) 23時半頃
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―神社―
ごめんなさい……
[儀式の代行者を務めた容と、疑りを抱いていた進 重なるような2人の遺体>>6:+6を目にして おおよその出来事は察することができた]
しっかりと任を遂行できていれば、 お1人で危険に晒すことは、せずにすんだかもしれないのに
[容に語り掛けながらも、進の遺体へと視線をよせる その様子は、少なくとも、己が運命を受け入れる姿とは、 見ることができなかった>>5:+2>>5:+4ような気がする 仮に演技であったとしても、 あの日の表情>>1:215とはほど遠く感じる たとえ下手人であったとしても、 その姿もまた痛ましく、自然と両手が組まれていく]
(+18) 2017/12/03(Sun) 00時半頃
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ごめんなさい 責任を負わずに、逃げてしまって あなたを1人――――――――
[続きの言葉が紡がれる前に、風を、感じた 風はやむことはありません>>6:+3 空気に深みが増していくのを、感じます>>6:+11 じっと混ざり合う何かに触れて、 そうですよね と少し寂しく微笑みます]
1人では、なかったんですよね 離れても、ずっと
[そう思って目をつぶるのは、身勝手な贖罪に逃げ込もうとしているからか 背後で、何かがぶつかる音>>17>>19がする 争う声も、混じっている たとえ、身勝手な贖罪だとしても、感じていることに偽りはなく]
(+19) 2017/12/03(Sun) 00時半頃
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家畜ではありません
[伝えた言葉は、ミナカタ>>21に対して]
家畜は心配や狼狽を殺してまで、 巫女としては立ちません 危険を賭して、敵わぬ相手に1人 立ち向かおうともいたしません
[それに、と口にする続きは、 江津子にも感じられたかどうか、 分からない光景だったかもしれないが]
離れていても、互いに思いあえる姉妹の姿も、 家畜の在り方とは思えません
[新たな殺し合いへと進む背後を見やり、呟いた]
(+20) 2017/12/03(Sun) 00時半頃
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それすらも、家畜と感じてしまうのでしたら、 ミナカタさんのことを、寂しく思えてしまいます
[目は伏せたまま、殺しあう姿は、 これ以上は、もう見ない]
もし、変えることができるなら、 もう、終いにしませんか 人間同士の殺し合いは**
(+21) 2017/12/03(Sun) 00時半頃
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…… かかさま。
[続けて聞こえた声。明瞭な輪郭を持っていく視界。見えた姿に、娘はそう呼ばわりを口にした。死する手前と、同じように]
……いっしょ。 みんな、いっしょ。
[言葉を重ねるように呟く。 ふ、と。にこりと、嬉しそうに微笑んで]
私、 しあわせ、 だよ。
[その幽かに、抱擁を返した**]
(+22) 2017/12/03(Sun) 00時半頃
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[己には子がいない。 女と関係をもったことは幾度かあるから、もしかしたら、どこかで知らぬうちに生まれているかもしれないが、おそらくは相当薄い。 なにせ、初めて女を抱いた頃には、もう脚を病み始めていて、ろくに相手を満足させることができなかったし、それ以前の問題として、こちらがあまりまともに勃たなかったのだ。 勃つには勃っても今度は、精を放つまで至らなかったり。 それらは、己の脚が不自由で、女のほうに事を委ねることが多かったせいだと。]
(+23) 2017/12/03(Sun) 01時頃
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[──────そうじゃないと気付いたのは、いつだったか、兄に、世話をしてもらった時のこと。 女相手にはやたら時間を要したくせに、兄とだと、いとも容易く達することができた。 触れられ慣れているからだ、なんて思いもしたけれど、そんな程度の感覚ではなかった。
兄に対し、己は、明らかに、情欲を抱いていた。 どこまでも卑しくて、どこまでも純粋に。 胸の奥底で、兄だけを求めていたのだ。
そんな、馬鹿げた感情を。 兄は、どこまで気付いていたろうか。
ただ少なくとも、拒絶はされていなかった。
故に。 依存は……歪な愛は、より深く…………**]
(+24) 2017/12/03(Sun) 01時頃
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