226 【突発誰歓】君の瞳に花咲く日【RP村】
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[ がり がり
がり。
その夜。 「 」は廊下の一角で壁を傷付ける。 今までと同じように、深い爪痕を残し、"記録"する。 けれど、その中身は空っぽ。
壁にキズが増えても、赤い赤い色が腕を伝っても、 爪の間に塗料が食い込んでも、一言も上げず、唯
その行為にどんな意味があったのかも分からず、 爪痕が何を残すのかも分からず、 ただ ただ 壁を削り取ることをやめない。
「 」が最後に失くしたものは――…]
(26) 2015/06/13(Sat) 14時半頃
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[壁の傷痕は醜く爛れ、やがて気触れる。 赤い歪な模様の残る壁を残して、「 」は立ち去る。
紅い雫すら落ちない指先が痛みを感じることはない。 「 」の右手のひらにはもう何もない。
「 」はふらふらと自室へ戻る。 左手の中に鈍色の鍵をしっかりと握ったまま。*]
(27) 2015/06/13(Sat) 14時半頃
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*[ 誰かが言いました。
『 どうして二人で仲良くできないの? 』
「 そうするしかないからだよ。 」
『 どうしてあの子はいなくならなくちゃいけないの? 』
「 かみさまがそう決めたからだよ。 」
『 かみさまはおねがいを叶えてくれないの? 』
「 かみさまは何時も見ているだけなんだ。 」
『 そんなかみさまなんて、しんじゃえ。 』 ]*
(28) 2015/06/13(Sat) 14時半頃
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―眠りの奥―
――…どこかで、子どもの泣き声がする。
静かに。ただ静かに。小さく丸まって泣いている子ども。昨日からやたらと煩いその声はどこか聞き覚えのあるようで、無いような声。
メルヤはその泣き声のもとに行き着いた。
それは幼いメルヤ自身だった。七年前の僕が、泣いている。あの声は、自分の内側から聞こえていたようだ。 うんざりとした調子で、中庭の木に背を凭れ掛ける。夢か幻か知らないけれど、どうして何時もこの年齢なのか。
――”終わりのはじまりだからだよ”
子どもには随分と可愛げのない泣き方をしている、幼いメルヤの声が、響く。 ひどく寒い。まるで、冬の夜空の下にいるかのようだった。
幻覚症状の仕組みが解明されているかどうかはわからない。深層心理と記憶に働きかけているのはメルヤもうっすらわかっていた。 頻繁にピエロの男が出るのが、顕著な証だ。憂いも躊躇いもなく慕った唯一の、人。 幻であれ、会えたことに喜びを感じなかったと言えば嘘になる。
(+14) 2015/06/13(Sat) 14時半頃
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―夢の奥―
受け入れるわけにはいかなくても、目を、心を奪われるわけにはいかなくても視界の隅で見てしまうのだ。
他にも共に過ごしてきた、連れて行かれて二度と会えないひと達の姿を何度も何度も幻視する。 寒い。吐く息が白い。粉雪が舞っている。小さな体が白く染めようとしている。 「昨日は納得したじゃないか。往生際が悪いよ、戻ろう。」幼い自分に語りかける。
――”……ほんとうに、イヤな大人になったね”
夢でも自分に言われるのは、奇妙な気分だった。自分自身を責めているような、錯誤をしそうだ。
――”昨日と今日では……ちがうんだよ”
(+15) 2015/06/13(Sat) 14時半頃
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―夢と幻の境―
何が? 何も変わらない。 タルトが運ばれたことは少し意外だったけれど、ナナオもいるからきっとどうにかなる。トレイルが長くないことはわかりきっていた。 「何も変わらないのに、駄々こねないでよ」
――”……ぼくはここからうごけない、うごかないよ”
我ながら可愛げのない子どもだ、と思う。 冷たい地面が足元から冷気を漂わせる。無理やりにでも連れて行かなければいけない。何故だか、そうしなければならない気がして、蹲っている幼い自分へと手を伸ばし――。
その体がすり抜けた。 幼い自分が顔をあげた。どこか憐れむような、恨むような目で大人になった自分を睨む。その生意気な瞳からは、音もなく涙がこぼれ落ちる。
――”もう……いない。……………いないんだ。”
途切れ途切れの涙声を最後に意識が緩やかに浮上した。 七年前の幼いメルヤは、そこに蹲ったままだった――。
(+16) 2015/06/13(Sat) 14時半頃
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/* 長くなりそうだったので一旦落として続きをだな…(袖捲り捲り
>>22 シーシャはオレも私も相互不理解なんですよなあ
(-10) 2015/06/13(Sat) 14時半頃
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―早朝:空室―
[目が醒めた時に、全身を強打したような激痛がメルヤを襲った。 触感がある時点で予想していたことだが、幻の中で怪我を負えば、そのまま怪我をするらしい。
油断した。変幻しつつある幻覚症状に、咄嗟の対処など不可能だった。
幸いにして、見つからなかったようだった。手の包帯はすり切れて背中も酷い怪我を負っているようだった。手にしていたノートが無事なことにほっと安堵する]
(+17) 2015/06/13(Sat) 14時半頃
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[メルヤは懐から、シーシャに貰った鎮痛剤を取り出し、用量分だけ飲み干す。水はないが、この際仕方ない。早く効いてくれることを祈るばかりだ。
一度自室に戻って、包帯を巻き直そう。全身の痛みに耐え、壁に這うように立ち上がる。
ひやり。寒気が走った。怪我のせいなのか、全身が身震いをするように、寒い。
まるで。冬の夜空の下に投げ出されているような感覚にメルヤは戦慄した*]
(+18) 2015/06/13(Sat) 14時半頃
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[――大事な何かが、壊れる夢を見た気がする。]
……。
[――起き上がれない。 固定されているわけではない。 じわり、じわりと――欠けているような。 磨り減るような――疲れを感じる。 ただ、寝ていただけなのに。身体の中では、生きるために体力を使いきってしまっているようで――。
サイドテーブルに、新たに水差しと紙が置かれていた。 ――なんとか、手を伸ばして――。]
(+19) 2015/06/13(Sat) 15時頃
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[ようやく、取れた紙には――、]
――!?
[ナナオは紙を見るなり、顔を青くして。
まずい。 まずい――。 まずい。 ドクリ、ドクリ。 落ち着け、ゆっくりと息を――。 一気に上がった心拍数。 それは――まずい。 二人のことを考えながら、ドクドクと脈打つ心臓を意識しながら、過呼吸を引き起こさないように手を当てて――。
落ち着いて。 ――と、頭の中にトレイルの声を響かせる。]
(+20) 2015/06/13(Sat) 15時半頃
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[落ち着いて――、ゆっくりと。 息を吸って――、はいて。 記憶が紡ぐ、指先のリズム。
――不安に脈打つ心臓は、次こそもう耐えきれそうにない。 静かになるまで、どれだけ時間が過ぎたろう。 二人のことを考えるだけで、胸が張り裂けそうになる。]
――。
[とにかく――、落ち着いて。 水差しに入った、水を飲んだ。]
(+21) 2015/06/13(Sat) 15時半頃
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逃亡者 メルヤは、メモを貼った。
2015/06/13(Sat) 15時半頃
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― 泡沫の夢 ―
夜更け、自室へと戻った青年は眠りに就く。 そして、夜明けが訪れるまでの間、泡沫の夢を見た。
それは"私"でありながらシーシャではない過去。 「 」の失くした記憶とそこに宿る感情。
唯一の"希望">>1:301を信じようが信じまいが、 何も信じられなくなる日がいつかくる。 何もかも忘れて自分でなくなる日がいつかくる。
いつの日か青年の中にはひとりきり。 青年はシーシャになる。 そして、ある日突然"私"も"オレ"も消えてしまう。
(29) 2015/06/13(Sat) 16時頃
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目蓋の裏に誰かの口笛が泳ぐ。 閉じた窓の外で夜風がさやさやと音を立てる。
青年は眠り続ける。 離れたふたつの意識は溶けて一つになる。 失われた記憶は混じり合いひとつになる。 別れた感情は欠けたまま、戻らない。
明け方には消えてしまう泡沫の中に浮かぶのは かけがえのない思い出と、忘れないでという言葉。 そして――青い翅持つ誰かとの約束。
青年は眠る。 未だ醒めぬ意識のうちで羊が一匹 跳ねた。*
(30) 2015/06/13(Sat) 16時頃
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/* 私は副人格なので主観、青年は主人格なので三人称、シーシャという三人称は主人格のものなので青年の自覚が欠けてからは使わないようにしました、と。
(-11) 2015/06/13(Sat) 16時半頃
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―自室―
[慎重に自室に戻ったメルヤは寝台の上に腰を下ろした。強めの鎮痛剤が効いているのか、どうにか動けるようだ。
全身の震えは止まらない。薄着で雪の中を投げ出されているような感覚がする。 怪我のせいだろう。メルヤはそう思い込んだ。
かじかんでいるような手で、血がこびり付いた包帯を剥ぎ取る。包帯には幾つか鱗が付いていが、固い鱗のおかげで余り血は出ていないような気がする。 背中の怪我の度合いは、軽傷ではないだろう。
治療を受けてから動いた方がいいだろうと冷静に判断を下した。 メッセージと地図をケイトとナナオに残している。タルトがいつ目覚めるかわからないが、満身創痍で会えばあの病を悪化させかねない。 筋弛緩剤を投与されるのは嫌だったが仕方ない。
タルトとトレイルのとこに地図を届けよう、とこれからの計画を練った。]
(……あれ?)
[些細な違和感が、小さな針のように突き刺さる。チクチク、と。小さな痛みがあったが、強打した背中と擦りむけた手の方が痛かったからメルヤは明確には気づかなかった]
(+22) 2015/06/13(Sat) 16時半頃
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[包帯を巻き直す。血の付いた白衣と包帯をベッドの下に隠して、鍵を掛けずに手錠と足枷を付けている”振り”をした。
治療を受けて、タルトの部屋に行き、起きていなければ地図を置いていく。その後はトレイルのところに、地図を持って行こう。
ふと。ノートに手を伸ばす。シーシャから貰ったノートを、治療を受けるまでに読んでおこうと思った。
寒さに身を置くような体の震えは、止まらなかった*]
(+23) 2015/06/13(Sat) 16時半頃
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/* トレの結晶化がどこまでどうなのかが…どうなんだろうかって感じでわからないなどとry
(-12) 2015/06/13(Sat) 17時頃
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― 翌朝 ―
[眼開けば、頭の深部を突き刺すような頭痛が走って、シーシャは思わず顔を顰めた。 窓から降る陽光が眩しく、目を細める。
懐から紫色の錠剤を数錠取り出し、がりがりと齧れば酷く苦い。 数日前に同じものを渡したメルヤがこんな飲み方をしていなければいいと思う。 多用は禁止。用法用量を守りましょう。 そんな言葉を一切守っていないシーシャが口に出来た義理はないが、そう、思う。
本来ならば一錠で事足りる薬。 それが、三錠、四錠と増えていったのは何時からだったか。 今となっては五錠前後を飲まなければ、効かない。 胃に穴が開かないのが不思議だと、自分でも思うほど。]
(31) 2015/06/13(Sat) 17時半頃
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[水を飲まずに飲み下すのは習慣のようなもの。 シーシャに限っては何時どこで痛みが起きるとも知れないからと。
暫くして痛みが少し落ち着けば、シーシャはベッドを降りる。 ばきん、と肩を鳴らして伸びをして、あー、と確かめるように声を出せば適当に身支度を整え廊下へ出た。
手の中に握り締めた鍵は今は服の中に眠る。]
(32) 2015/06/13(Sat) 17時半頃
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『 さぁ、生きるために行こう。 誰一人も置いていかないよ。
生きるが故に逝くだろう。 いつかまた会える。 どこまでも生こう。 』
(33) 2015/06/13(Sat) 17時半頃
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[廊下へ置き去りにする独り言を聞いているものはきっといない。 シーシャはどこへ向かうでもなくふらりと歩き出す。
歩きながらに思う。今日は何も起こらない日であれと。 …ここ数日、あまりにこの場所には人がいなくなりすぎた。 がらんと静まり返る廊下はひどく"寂しくて"。 いなくなってしまった顔をひとつひとつ思い出しながら、歩く。
その最中、中庭へ至る道で蒼色が過ぎって。>>15]
……ヒナ、 ?
[と、名を呼ぶものの相手は止まるかどうか。 どこか軽い動きに違和が過るけれど、口には出さぬまま。**]
(34) 2015/06/13(Sat) 17時半頃
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/* 「 生きるために逝くだろう 」 がシーシャの全て、かな
(-13) 2015/06/13(Sat) 17時半頃
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/*>>23見てやめた。わたシーシャの日記供養()
○月×日 わたしがこうしてペンを取るのは初めてだった。 △月○日 憂鬱あーあ。もっとたのしいことないかなあ ×月○日 きょう少しいやなことがあった ×月◇日 力仕事はきゃしゃな私には無理 ■月×日 あそこあまりはいりたくない ◇月○日 爪を疵つけるのやめて欲しい ◎月■日 誰も私に気づいてくれない。誰かわたしがわかるだろうか ◎月◇日 嫌になる雨が降ったきょうは部屋から出なかった ◎月○日 甘いものが食べたい。えくれあを食べた。 ○月○日 どうして。あんな事言ってしまったのかしら。
(-14) 2015/06/13(Sat) 17時半頃
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/*3行目からの斜め読み
○月×日 し △月○日 ー ×月○日 し ×月◇日 ゃ ■月×日 は ◇月○日 や ◎月■日 く ◎月◇日 き ◎月○日 え ○月○日 て
(-15) 2015/06/13(Sat) 17時半頃
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/*ホラーを押し付けようとしたぜ!
(-16) 2015/06/13(Sat) 17時半頃
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/* というかレイティングの壁の前で立ち止まっているシーシャ。 大人もこどももあんしん…ではないな。さすがに。
(-17) 2015/06/13(Sat) 18時頃
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[治療を受けるまでの間、シーシャから貰ったノートを開いた。
そこに綴られているのは、彼が思っていたような絵本ではなく日記だった。]
(+24) 2015/06/13(Sat) 19時頃
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― 無色に彩られた日記>>2:131>>23 ―
[メルヤはシーシャの絵本のひとつだと思っていたものは、日記だった。 他愛のない日常を綴った日記。誰の日記かもわからない。 シーシャの日記であるならば、何故これをメルヤに渡したのだろうか。
彼が処分しようとしたのは、何故だろうか。思い至ったのは、日常のことが描かれたのは”私”という一人称であるということだった。 薄々と気づいていた。シーシャと”私”の存在が、輪郭となる。シーシャが処分しようとしていたのも、そのせいだろうか?
ぼんやりとノートを捲る。半分以上を過ぎた辺りから何も書かれなくなった。 ところどころ、院内見取り図――1階と2階と各個室の場所のみだが――を記して数人分用意した無地のところが、破られている。
最後の頁にいきあたり、ノートが閉じられた。
一瞬、文字の羅列を目にしてメルヤは裏表紙を捲る。]
(+25) 2015/06/13(Sat) 19時頃
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