151 雪に沈む村
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靴磨き トニーは、メモを貼った。
2013/11/25(Mon) 02時頃
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/* >カルヴィンよりも背はずっと低かった>>27
・・・うわぁ。なんか泣ける;; トニーはどんどん大人になっていっちゃうんだなあ。 悲しい。うるうる。
(-4) 2013/11/25(Mon) 02時頃
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……ありがとう、頂くわ。
[>>+13 骨ばった手で受け取ると、紅茶を啜る。芳醇な香りが喉元を通って、胃へ落ちる。 急に飲み物を口に含んだので、少しむせてしまいそうになるが、ぐっと堪えて飲み込む。 ……温かい。…ダージリンも。チャールズも。 ずっと、ずっと、変わらぬまま。]
――……私が村を出た時の事、覚えているかしら?
[乾いた唇で呟く。まだ18歳の頃だ。 『トップレディになってやるわ!そして華々しく帰ってきてみせます。あまりもの美しさに、ビックリしないで下さいね!!』 そう言って、自慢の美貌だけを頼りに上京したのだ。 ……思えばあの頃が一番美しかったし、楽しかった。
確かに名誉も裕福な暮らしも手にして、可愛い子供も授かって。……夢は十二分に叶えられた。 けれども、一番欲しかったものは手に入らなかった。自ら逃げてしまったのだ。]
……惨めなものね。
[自虐的に微笑んだ。昔の彼女では決して見せないような、歪んだ笑顔。]
(+14) 2013/11/25(Mon) 03時頃
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―回想・工房―
[ソフィアが財布を取りに戻る少し前。 新たに工房に訪れたのは、先ほど行方を気にしていた龍族の青年だった>>2:79]
あらドナルド、ご機嫌よう。 丁度いいところにいらしたのね、ウォーレンと火種の件でお話をしたところだったのよ。
[空いた場所を探して腰を下ろした彼へと、歓迎の言葉と笑顔を向ける。 『火種の件』とだけ説明すれば、毎冬の事だ。彼には何の話か伝わるに違いない]
もうじき、村は雪に沈んでしまうでしょう? その前に、ひと仕事しておかなければと思って。
[探す手間が省けたわ、と少しだけ悪戯っぽい光を瞳に宿した]
(28) 2013/11/25(Mon) 03時半頃
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折角、偶然とはいえ私達二人が揃ったのですもの。 『火種』を提供していただいてもいいかしら?
[訪ねてきたばかりの彼には性急すぎる申し出だけれど、うっかり忘れてしまっては事である。 ドリュアスの催促に、ドナルドは快く応じてくれた>>3:89 彼の指先で踊る紅い炎を見遣れば、いつ見ても見事ねぇ、としみじみと感心せざるを得ない。
ドリュアスたるジリヤは、植物に属する者だ。 その性質上、炎を扱う魔法は不得手だった。 全く使えないわけではないが、ジリヤが生み出す炎は弱々しく、辛うじて火の形を保っているような代物に過ぎない。
一方、彼は浄火の炎を宿した紅蓮龍である。 そのひと吹きで、指先に揺らめく炎を生み出す事ができる。 炎の性質自体も、ジリヤが扱うそれとは雲泥の差だ。 力強く、絶え間なく形を変えて踊り続けるそれは、生命力に満ち溢れたサラマンダーそのもののようだった。 目にも鮮やかな炎の舞いに、どうしても目が引き寄せられる]
(29) 2013/11/25(Mon) 03時半頃
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有難う、それでは次は私の番ね。
[ドナルドへ微笑んで感謝を口にしてから、彼の指先に揺らめく火種を譲り受けた。 水を掬うようにして掌で炎を掬い取ると、炎が直接肌を焼く事がないように透ける魔法の膜で覆う。
そうしてから、先ほどと同じように炎を両手で包み込んだ。 クシャミのチャームに込めたのは、魔除けと加護の魔法。
――けれど、今度掛ける魔法はそれとは別種のものだ。
目を伏せ、意識を集中する。 村を雪に沈める長い冬の間、炎が絶えることのないように。 つい先ほど生まれたばかりの、この力強く鮮やかな炎が、いつまでもこの荒々しさを保っていられるように。
再び仄かな燐光をまといつつ、編み上げた魔法を炎に被せた。 上に被せた左手をそっと避けると、生き物のように揺らぐ炎が、一度だけぼっと激しく燃え上がる。 空中に火の粉を撒き散らし、ひときわ鮮やかな舞いを見せた炎が元の小さな火の塊に収まると、その周囲を囲むように球状の半透明な枠が生じた]
(30) 2013/11/25(Mon) 03時半頃
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はい、これで出来上がりよ。
[完成した火種をウォーレンの方へと差し出して、にっこりと微笑んでみせる。 傍目には、中に小さな炎を閉じ込めた球状のケースのように見えるが、炎を覆う枠は魔力の層だ。
暴れる炎が、枠を超えて他の物を燃やし尽くそうとしないように。 触れたもの全てを、炎が焼いてしまわないように。
魔力で作られた覆いは、そうした目的のためだけに働きかける。 外部から枠の内側の炎に接触する事を妨げはしないし、望めば枠の中に差し込んだ木の枝などに、炎を燃え移らせる事も可能である]
なんとか間に合って良かったわ。 やっぱり、古いものよりは新しいものの方が確実だし、炎の鮮やかさも段違いなんですもの。
[冬越えするための火種は、新たに作るに限る。 しみじみとした感想をこぼしていると、何度目になるか判らないノックの音がした**]
(31) 2013/11/25(Mon) 03時半頃
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お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2013/11/25(Mon) 03時半頃
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──…勿論、覚えています。 八年前でしたか。村で一番の器量良し、なんて言われていた君が、突然村を出て行くと言い出すものですから。 …あの後、随分沢山の若い衆が懺悔室に訪れたのですよ。
[>>+14エリサの問いにくすりと笑って、当時、彼女が出て行ったあとの荒んだ若者たちの様子を思い出す。 予想した以上に彼らの嘆きっぷりは酷く、宥めるのに結構苦労したものだった。暫し懐かしんでは目を細め、自分のカップにも紅茶を注ぐ。
ふいに、惨めだ、と。エリサが零した言葉に、チャールズの顔は僅かに翳る。天真爛漫な少女だった、過去の彼女であれば決してしなかったであろう、陰のある表情。 正面の椅子に腰掛けると、その哀しい笑顔を覗き込むみたいに少し首を傾げて。]
……どうして、そんな風に仰るのです? 生涯の伴侶も、愛しい子供も、君の傍にはちゃんとあるのに。
(+15) 2013/11/25(Mon) 15時半頃
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/* 休みだしそろそろ回せるかな……と甘く見積もっていたところへ謎の眩暈ときた… ちくしょー!!
(-5) 2013/11/25(Mon) 17時半頃
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ー冬のある日ー
[一段と雪が深くなったある日、その日は珍しくよく晴れていた。外は雪が太陽の光を反射してキラキラとしている。しかしピエールはまだ布団の中だ。
何枚も何枚も重ねた毛布から顔を覗かせて優しい日の光を感じていた。二度寝しそうなまどろみで思い返すのは、今年の冬の始まりの頃のこと。]
ふあ…今日は起きれそう…だな。だがあともうすこし……うん…ゆきかきしねえと。はるはまだとおい、か。
[寝そうな頭を無理に働かせる。]
ローザとチビども元気でなにより。
…つーか…はじめらへんに店に、きてたやつらこなくなった… バーナバスさんもカルヴィンもりゅうなんだろう…出ていったようすはねえ、もんな…
……さぁておきるか。
(+16) 2013/11/25(Mon) 18時頃
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[自身は人間と大差ないと思っていてもやはり寒さに勝てないらしい。晴れていれば起きて動けるものの、吹雪く日にはよく寝入ってしまい起きるのが昼過ぎや夕刻になることもあった。
10年前だって冬の間をずっとこの村で過ごしていたわけではなく、あっちこっちで修行していて実質ひと月かふた月ほどしか冬を経験していない。 それにまだ若かった。
祖父の元気さと自身の寒さに対する弱さから、種族の混血についてふと省みていた。]
(種族が混じるとこうも弱くなんのかね…いや、個体差があるのか。 つっても親父は若くして死んじまったから適応出来なかったてことだよな…。)
(+17) 2013/11/25(Mon) 19時頃
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ふふ。そうだったかしら?
[とぼけた口調だけれども。その薄い唇は嘘を付く事はなく。口角の片端を上げて。過去の栄光を懐かしむ。
『……どうして?』
>>+15 村を出た時と同じように尋ねられる声と問い。 瑠璃色の瞳でちらりと、隣の男を見やる。ロマンスグレーの髪、全てを許してくれそうな瞳。 変わらぬ容姿に思わず、前回の冬の思い出を重ねてしまう。 初めて、彼の手を握ったあの冬。]
――……私は、貴方を…、
[………。 一度言いかけた言葉は、ダージリンと一緒に喉の奥へと流し込んだ。 遅過ぎたのだ。]
………。 貴方は、何故この道を? ……何故、人でありながら悠久の時を歩む事を選んだの?
(+18) 2013/11/25(Mon) 20時頃
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-朝・ピエールの店- [急かすカルヴィンを横目に悠々と朝食を取る。 隣にいた老人も舌鼓を打っていただろうか。 食べ終わると老人には敬意を込めて会釈をし、ピエールから携行食を受け取った。]
――食った食った。さて、行くか。
[そう行って店を出れば、カルヴィンもついてきただろう。 しばし雪の中を歩きながら、何か言葉を交わしただろうか。
工房に着けば、そこにはすでにソフィアがいた。]
ああ、そういや茶をもってきてくれたのか。
[旅支度に気を取られていてすっかり忘れていた。 しかし旅立つ前でよかった。]
(32) 2013/11/25(Mon) 20時半頃
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―― 教会裏の墓地 ―― [>>25トニーと、彼の両親が話しているところを邪魔をしないように。 彼が、墓に向け語りかけるのを後ろから、ただ黙って見守る。 その姿に、自分の両親のことを、重ね合わせた。 降る雪のように落ち着いたトニーの声音。 それは普段イタズラをしたり、世話をやいてみたりしている時とは全然違っていて。 青年よりも数段小さなはずのその背中が、なんだかとても、大きく見えた。
>>26トニーと、彼の養父母との話が終わったなら、]
花畑、綺麗だといいにゃ。
[荷物を担ぐようにして、その背を叩いた。]
(33) 2013/11/25(Mon) 21時半頃
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―回想・工房―
あらまぁ、今日は本当に来客が……
[多いわねぇ。 ウォーレンが出迎えた相手の姿を見て、続けるはずの言葉が宙に浮いた。 おろおろとウォーレンに何事か相談しているのは、ブランフォート家の爺やさんだ>>3:66 その慌てた様子と、姿の見えないお嬢様を思い浮かべ、目をゆっくりと瞬かせた]
……あらあら。
[口元に手を当てたのは、どんな事態が起きているのか想像ができたから。 お嬢様の冒険譚を聞いてみたいものだと、好奇心が胸の内で踊った。 流石に、顔に出すのは爺やさんがお気の毒なので控えたけれど]
(34) 2013/11/25(Mon) 22時頃
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[お気の毒な爺やが再び雪舞う村へと姿を消してから少し後。 工房の外から控えめに掛けられた声は、先ほど思い浮かべたばかりのお嬢様のものだった>>3:54]
爺やさん、いらっしゃるのが少し早すぎたわねぇ。
[誰にともなく独白して、くすりと口元を綻ばせる。 本人達は大真面目なのだろうが、傍観者の立場からするとこの追いかけっこは可愛らしく微笑ましいものだ。 冬の訪れを前にすると、こうしたささやかな日常の風景すらも尊く思える]
まぁアリス、こんにちは。 ご機嫌はいかが?
[工房を覗くアリスへと、おっとりした挨拶を掛けた]
(35) 2013/11/25(Mon) 22時頃
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[アリスがクシャミに雪玉を投げつけたのには、少しだけ驚いた顔をする。 けれど、その後に続く応酬はまた随分と可愛らしいもので]
まぁ、ウォーレン。 大事なかったのですもの、これから気をつけて貰えばいいじゃない。
[大きな声で叱りつけるウォーレン>>3:68に、つい取りなすような声を掛けた。 続くお嬢様の脱走劇と、ウォーレンの苦笑いにはクスクスと声を立てて笑う。
しばしそうして平和な風景を心ゆくまで眺めてから、去りゆく二人を見送った]
本当に、若い子って可愛いわねぇ……!
[感極まって零した呟きが非常に年寄り臭いのには、目を瞑っていただきたいものである]
(36) 2013/11/25(Mon) 22時頃
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[やがて工房を辞したのは、財布を取りに向かったソフィアが戻ってから。 去り際に告げられたウォーレンの遠まわしな誘いには、実は私達もなのよと笑って応じてみたりして。 もしこれから向かうならご一緒にいかが、と気取った口調で誘い返した。
ピエールの店へ向かう道すがら、自宅近くにお嬢様と爺やさんを見つければ、お店に寄って髪飾り選びに喜んでお付き合いしただろう。 彼女が脱走後の時間をどんな風に過ごしたのか、爺やさんに内緒でこっそり冒険譚も催促した。
その後のピエールのお店では、気のいい料理人の料理に舌鼓を打ちながら、再び賑やかな時間を過ごす。 話し上手のピエールは、きっと食事の席の談笑を楽しいものにしてくれただろう。
――村が雪に沈む前の、貴重な数日間。 初雪がちらついたその日を、ジリヤはそんな風にして過ごしたのだった*]
(37) 2013/11/25(Mon) 22時頃
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……、………。
[わたしは、あなたを。 >>+18向かいの席に座った、うつくしいひとの唇から滑り落ちた言葉に、チャールズは何も言わずに静かに目を伏せる。 落とした視線はカップの揺らめく湯気を、ただ眺めて。]
……時間と言うものは、優しく、そして残酷なものですね。 早くと望めば早く過ぎてはくれない、待てと望めば……すこしも、待ってはくれない。
[彼女の言葉の、その続きを知っているから。知っているのに、応える事の出来ない我が身の業の深さを分かっているから。 分かっていて尚、その静かな水面の様な心の奥底に、断ち切れない思慕があるのを自覚しているから。
『どうして』。あの時もそうだ。八年前。村を出て行く彼女を、引き留める事などできる訳が無かった。 どうして、と、そう言ったのはきっと理由を尋ねたかったからではない。 けれどその真意など、年若く、輝かしい時間を生きていく彼女に悟られてはいけないものだった。]
(+19) 2013/11/25(Mon) 22時頃
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あー…どっこいしょっと。
[今日も今日とて老人は腰が重い。 しかしながら、老人にも冬入りの前にやるべきことがあった。 奢ると約束した少年と自分の分、2人分の代金を卓へ置いて店を出る。]
ごちそうさま。 冬を乗り切れたら、また来ます…
[店内に手を振り、店の外へと歩き出した。]
(38) 2013/11/25(Mon) 22時頃
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ご老体。世話になった。
[改めて素の口調でオセローに朝食の礼を言う。そうしなければ気が済まなかった。 “カルヴィン”は礼儀を欠いた子供だが、ピーターは筋を通す男だ]
また――
(*0) 2013/11/25(Mon) 22時頃
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また一緒にメシ食おうなー! いってきまーす。
[行っておいで>>24と見送るバーナバスに、ぶんぶん手を振って店を後にする]
ううっ。さぶい。
[ぶるり、と身体を震わせウォーレンの後についていく。 身体を動かすのがすこぶるだるかった。 普段ならウォーレンと子供らしく雑談に興じるところだったが、今はその元気がない。 ふと自分の手を見ると]
―――ひっ。
(39) 2013/11/25(Mon) 22時頃
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その手はびっしりと鱗で覆われていた。
(40) 2013/11/25(Mon) 22時頃
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……あ。あ。
[息が詰まった。苦しい。 もうそこまで魔力が消耗しているのだ。 人間の形を保てなくなるほどに]
……っ。
[ウォーレンに気付かれないように、そっと両手のポケットの中に入れる]
なあ、ウォーレン。お願いがあるんだけど。 工房に着いたら手袋を貸してくれないか。
[いつも通りを装ったつもりだったが、声が震えていた]
(41) 2013/11/25(Mon) 22時頃
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[さくさくと雪を踏み鳴らし歩く。 工房まであと少しというところで、カルヴィンの小さなうめき声が聞こえた。 振り向くと、カルヴィンは手をポケットに突っ込んで。]
――手袋な。かまわんよ。
[そう言って工房への足を速める。 ちらりと見えた鱗には、あえて触れずに。
ドナルドが、己の――火龍の鱗のブーツを渡したがった理由が、何となく分かった。]
(42) 2013/11/25(Mon) 22時半頃
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[工房ではソフィアとカルヴィンと何を話しただろう。 カルヴィンも炉の火が煌々と燃える、暖かな工房では多少元気を取り戻したかもしれない。
ソフィアから茶葉を受け取る。 今度は正しく、一冬分――より少し多いのは、おまけだっただろうか。
ほかに誰か尋ねてきたならば、その者とも世間話をしながら、旅支度をする。 とはいえ、昨日のうちにカバンに必要なものはつめていたし、たいしたことではない。 ブーツを履いて、外套を羽織る。
用意ができたなら、教会に立ち寄り、ドロシーに挨拶してから村を発つだろう。]
(43) 2013/11/25(Mon) 22時半頃
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―回想・>>39―
(まったく…不器用な奴よ。)
[聞こえてきた囁きに、やれやれと嘆息する。 どちらの振舞いでも結局互いの背中に手が届かないその振舞いに。]
……やれやれ。
[少年の姿をした同族を見送って、>>24 ずずり、とスープを一口すすった。]
(*1) 2013/11/25(Mon) 22時半頃
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[そうやって、互いに核心に触れぬまま、沈黙が祈りの家の一室を覆う。飲む気になれない紅茶のカップに口を付け、直ぐにソーサーの上に戻した。
不意にエリサが口を開く。 問われた事に、ひと言で答えるのは難しい。なにせ、自問自答を繰り返して、決着を着けるのに百年以上掛かった。チャールズの、人ならざる命の在り方。少し悩んで、カップの淵を親指でなぞる。]
……祖国を、護りたかった。否、護らねばならなかった、のです。 少なくとも──きっかけは、そうでした。
[豊穣と戦いの女神を信仰した、龍の護りし聖なる国。 かつて大陸を交易と戦火で支配したその国の名を、知っている者は殆ど居ない。 下ろしていた視線を、祭壇の方へ向ける。ステンドグラスの正面、本来ならば神の偶像が在るべき場所には、今は何も据えられていない。
この世に全き物など存在しないのだ。人も物も国も獣も妖精も龍も、神ですら──いずれは衰え、滅びる。 護りたかった祖国は疾うに、地図の上から永遠に消えてしまった。そうして、悠久の刻だけが、チャールズの手に遺された。]
(+20) 2013/11/25(Mon) 23時頃
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―教会への道程―
[バーナバスはかつて、東の果ての国で出会った男に、友情の証として髪の毛を一房いただいたことがある。バーナバスはお返しに、龍の血を一杯贈った。空が続く故郷の冬は、龍にとって悩ましき問題だったからだ。 男の髪を編みこんだ外套を作り、若き日のバーナバスは…バルナは冬でも活動できるようになった。 その外套のお陰で、群れからはぐれた有翼族の子を救えたこともあった。 そんな外套も、幾年もの時代のなかで劣化し、繕い直された今では腹巻き程度にしかなっていない。]
うぅっ…流石に寒いのぅ…
[カルヴィンは大丈夫だろうか。 しかし、この村には『紅蓮の龍の加護』がある。 同族だから助けるだろう―――などと希望的観測はしないまでも、 あの男なら、見捨てることはしないだろう、と老龍は考えていた。]
(44) 2013/11/25(Mon) 23時頃
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『――手袋な。かまわんよ』>>42
[ウォーレンの返事にひとまず安心する。 工房へ向かう足が速くなったのは気のせいだろうか。 やがて工房が見えてくると]
おー。ソフィア昨日ぶり!
[工房の玄関に突っ立っているソフィア>>21に、軽く手を振ろうとして――自分の今の手の状態を思い出しぐっと堪える]
なにボーっとしてるんだよー。って、あー!!
[ソフィアの背後に見えたのは。二組のブーツ。一組には鮮やかな赤い宝石が、もう一組には煌めく黄色い石が丁寧にあしらわれている]
(45) 2013/11/25(Mon) 23時頃
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すごいすごい!履いても良い?
[ウォーレンの返事を聞かずに、工房に上がり込んでブーツを履き始める。子供なのだから、我慢できないのは仕方ないのだ]
じゃーーーーん。
[どや、とばかりにソフィアとウォーレンに見せつける。 足がポカポカと温かい。これならあと少しは]
――保つかな。
[心の中の呟きが漏れて、はっと口を噤む。 ウォーレンから手袋を差し出されれば、]
ありがとう。
[2人に見えないようにササッと手袋をはめると、ようやく生きた心地がした。 緑色の鱗に覆われたそれは、子供には不釣り合いなものだったから]
(46) 2013/11/25(Mon) 23時頃
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