162 絶望と後悔と懺悔と
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ボクはホリーを殺す。 リィを取り戻す。
だから── だからねぇ、リィ。
ここで死んで──。
[そう言って、絢矢は 頬を引き攣らせるような無理やりの笑みを作り、 『菖蒲』を抜き放つと同時に、その懐へと切り込んだ。
──けれど。 直円から受けた治りきらぬ傷の痛みに、切れ味は鈍い。]
(193) 2014/02/12(Wed) 23時頃
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アヤワスカは、トレイル(零瑠)への贈り物は、まだ鞘で揺れている。
2014/02/12(Wed) 23時頃
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[完全に踏み込み切れなかった。 躱されることを予測し、 二撃目へ移るべく筋肉は動いていた。
なのに、返って来た肉を貫く手応え。 刺し貫くに適した造りの刃が理依の脇腹に埋まり]
────!!
[反応の遅れた腕ごと掴まれる。 人間相手なら容易く抜け出せただろうけれど 鬼の膂力を振り払えるに満足な距離はない。
もがく絢矢の耳許に落ちる声。 絢矢は一度、抵抗をやめた。]
(206) 2014/02/12(Wed) 23時半頃
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今じゃなければ
[抑揚に乏しい声。 感情の代わりに記憶を掘り起こすように、絢矢は尋く。]
ボクじゃなければ
[理依の言葉は、己の生の期限を定めているようで。]
…──────、
もしかしてリィにも、『特別』な誰かが見つかった?
[優しく突き放されたまま数歩後ろへよろけ 距離を取る理依を真っ直ぐに見詰めた。]
(207) 2014/02/12(Wed) 23時半頃
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/* >>2:35 菊結び
(-83) 2014/02/12(Wed) 23時半頃
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……───そう。
[その瞬間だけは 人形のように動かぬ絢矢の眉が どこか淋しげに下がった。
理依の口振りは、やるべきことを終えたら 自分以外の誰かになら 殺されてもいいと言っているように聞こえたから。
例え──鬼になったとしても 特別を作ろうとしなかった昔よりも 彼は“幸せ”になったのではないかと、思った。]
ボクも──ずっと、みんなが大好きだよ。
[絢矢も答える。 変わらぬ表情で、家族への愛情を。]
(218) 2014/02/13(Thu) 00時頃
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───わかった。
[伝えるよ、お兄ちゃん。 そう言って、別れを告げる理依へ 『菖蒲』の鞘から解いたものを投げる。]
ボクからも、『お願い』。
これを零お兄ちゃんに渡して。 あの日渡せなかったプレゼント。 お兄ちゃんの──誕生日の。
[投げ渡そうとしたのは 艶やかな若草色の菊結び。>>2:35]
ボクはもう、きっと直接渡すことは出来ないから。
[出逢えばきっと、殺し合いになってしまうから。]
(221) 2014/02/13(Thu) 00時頃
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[手品のように舞う砂埃。 晴れた後には誰の人影もない──*]
(223) 2014/02/13(Thu) 00時頃
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[>>227伝言───]
───…
[思い浮かべ、絢矢は頭を振った。 切り揃えられた髪がふわりと舞う。
言葉になったのは別なこと。]
連れて行った二人を返して。 伝えたいことは──それだけ。
…───っ
[そして、見えなくなった姿の代わりに残された言葉に 絢矢は強く、『菖蒲』の鞘を握った。]
(232) 2014/02/13(Thu) 00時半頃
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/* >>228 かっこいい 一生首輪付けて飼い倒してやって下さい
(-91) 2014/02/13(Thu) 00時半頃
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[零瑠に一番伝えたかったのは 馬鹿みたいに単純で、短い言葉。
文字にしてしまえばたった五文字の、他愛ない──。]
…──おめでとうって、────……。
[毎年毎年言ってあげたかった。 祝われても嬉しくないと言われる歳まで、 飽きずに毎年言い続けたかった。
零瑠にも──、 明之進にも真弓にも理依にもリカルダにも直円にも。
結局──言えなかった言葉は吹き付ける冷風に掠れ 誰の元へも届くことなく、掻き消えた。*]
(236) 2014/02/13(Thu) 00時半頃
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[理依を見送ったその足で 絢矢は補給基地に駐留する将校へ、 吸血鬼が次に襲撃する地は ここである可能性が高い──と報せた。
情報源は明かせなかったけれど 直円を討ち取った少女の言葉は軽んじられることなく その報せは通信で瞬く間に各地へと伝わった。]
(241) 2014/02/13(Thu) 00時半頃
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─ 補給基地 ─
[伝達を終えると、絢矢は補給基地の一室を借り、 戻りきらぬ体調の回復に励んだ。
痛みは薬で抑えられるが、 傷が塞がり切るまでは出来る限り動かない方がいい。
翌朝には、補給基地を守るための戦力が 各地から派遣されて来るだろう。 仲間には、必要なことはその時に伝えればいい。
サミュエルへの届け物も、その時に──。]
(249) 2014/02/13(Thu) 01時頃
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[外套と小袖を脱ぎ、襦袢一枚で寝台に潜る。
薬の効果で真っ逆さまに落ちてゆく眠りの間際 理依と交わした会話を思い起こす。
願わくば理依の言葉が真実であるように。 信じた己の判断が過ちでないように。
絢矢は祈るように目を閉じた。*]
(250) 2014/02/13(Thu) 01時頃
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─ 補給基地(三日後夕方) ─
[薬の齎した重い眠りから浮上し 開けた瞼の隙間から赤光が眼を射る。
窓から射し込む赤錆びたようなその色に 直円の、理依の、瞳を染めた紅を思い出す。
時は夕刻。 不意に──忘れたはずのものが込み上げて来るのは 間もなく来る日没に、 魔が勢いを増して来ているのだろう、と 時刻のせいにして絢矢は寝台をおりた。
簡素な窓を開けて風に眼を瞬かす。]
───…安吾さん?
[外から、聞き覚えのある声が聞こえて来る>>290。 絢矢な部屋を出て、声のした方へ向かった。]
(306) 2014/02/13(Thu) 10時頃
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早いですね、安吾さん。
[急ぎ来たので、外套の下は襦袢のままだが 前を留めていれば周りからは見えない。]
安吾さんにお伝えすることがあります。
──先日の駐屯地襲撃の折、 新たに確認された複数の上級吸血鬼ですが その支配者がわかりました。
理依、白兎真弓、都零瑠は始祖吸血鬼による支配。 柊明之進、リカルダ・アーランは ホリー・ニルヴァーナによる支配下にあるようです。 直円の吸血鬼化も、ホリーの手によるものです。
つまり──どちらかを先に討てば 実質、敵戦力は半減する。
(307) 2014/02/13(Thu) 10時頃
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安吾さん。
[淡々と、兵士の口調で告げた後、 息を吸い──]
ホリー・ニルヴァーナを討ちましょう。
[決然と断言する。]
子が親吸血鬼を守ることは周知ですが 今ならホリーを守る戦力は一つ削れています。
始祖を斃すには時間も人手も掛かる──。 その間にホリーらに合流されれば 今度こそ壊滅する危険性があります。
(308) 2014/02/13(Thu) 10時頃
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そうなる前に── こちらから先手を打って出ましょう。
[そこまで言い切ると、 一度自分を落ち着かせるように呼吸を整え]
もう一つ──まだ誰にも伝えていない情報があります。
先日の戦いで、ボクはホリーに言われました。 自分と戦いたくば一人で神宿に来い──と。
(309) 2014/02/13(Thu) 10時半頃
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安吾さん。 ボクを囮に少数でホリー討伐隊を組みませんか。
多人数で移動すれば察知されるかもしれない。 だけど、限られた極小数の隠密部隊なら、 ホリーにだって感知されずに動けるはずです。
もし、この作戦が通らなくても 明朝ボクは一人で神宿へ向かいます。
これ以上、無駄な犠牲は出したくない。
(310) 2014/02/13(Thu) 10時半頃
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例え一人でも、ボクは──ホリーを討つ。
(311) 2014/02/13(Thu) 10時半頃
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…──突然、勝手を言ってすみません。
実は、補給基地襲撃と支配者の情報は 理依から直接聞きました。 正午頃、彼はここに。
目的は不明。 目的はない──と言っていました。 言葉通り、交戦はせずに彼は退いた。
──…。
ボクからは以上です。 後の判断は──安吾さんにお任せします。
[再び一気呵成に言い切ると、 ぺこりと頭を下げてその場を辞した。*]
(312) 2014/02/13(Thu) 10時半頃
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─ 三日目深夜 ─
[それは深夜。 鬼も眠る丑三つ時。
寝入ったサミュエル>>237の部屋を、絢矢は訪れる。
ノックもなく、音もなく。 眠るサミュエルの口を、絢矢の手が塞ぐ。
恐らくは、気配に気付いたサミュエルの反応の方が先。 絢矢は唇の前に人差し指を立てて、 キャロライナを起こさないようにと視線で告げる。]
(313) 2014/02/13(Thu) 10時半頃
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[闇夜に静謐な瞳が、サミュエルを見下ろしている。]
『俺を殺したいならホリーを狙えばいい。 俺はあの子を守らないといけないから。』
──理依からの伝言。
[絢矢は戦地で用いるような発声で 殆ど音を発さずに言葉を伝える。]
それと、これ。
[外套の下から、適当な布切れに巻かれたものを サミュエルの手に握らせる。]
駐屯地から持って来た。 折られてるけど──周ちゃんの、武器。
[手放す前に、一度鞘をぐ、と握り、 それから指を解いた。]
(314) 2014/02/13(Thu) 11時頃
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[話にはまだ続きがある。 絢矢はサミュエルを部屋の外へと誘った。
扉を横に配し、サミュエルと向き合う。 見上げるサミュエルの表情は 年下の自分が言うのもなんだが 鏡で見る自分の顔とよく似て来ていると思う。
あまり笑わない。泣かない。 それを哀しいと思う心も麻痺して来ている。
──已む終えないことだと思うけれど。]
(315) 2014/02/13(Thu) 11時半頃
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[感傷を断ち切り、絢矢は会話を再開する。]
ボクは明朝、神宿に行く。
[安吾にも告げた言葉を繰り返す。 夕刻よりも、少し柔らかな声で。]
本人直々のお招きだから、ありがたく受けるよ。
サミュはどうするの? 来てくれるならボクは嬉しい。
安吾さんには話したけど、 ホリーに気付かれずに行動出来る兵士は限られる。 その点サミュなら何も問題ないから。
(316) 2014/02/13(Thu) 11時半頃
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[サミュエルを見上げた視線は 迷うように一度床に落ちて、また、サミュエルを見上げる。]
…──うぅん、出来たら一緒に来て欲しい。
ホリーだけでもきついのに、 理依まで来たら、一人じゃ絶対に勝てないから。
(それに、来るのは理依だけじゃないかもしれない。)
どうするかは任せる。 来てくれるなら、日の出前に訓練場に来て。
夜明けとともにボクは発つ。 待ってるよ、サミュエル。
(317) 2014/02/13(Thu) 11時半頃
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[サミュエルの返答がどうあれ、 絢矢はここでも確約を求めず、部屋を離れる。
次に円と共通で使っている部屋へ戻り 音を立てずにそっとその扉を開けた。]
─→ 自室 ─
(318) 2014/02/13(Thu) 11時半頃
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[闇を縫うように、円の寝台へそっと寄る。 ホリーに削がれた耳には包帯が巻かれているだろうか。
絢矢は傷口に痛みを与えぬようそっと円の頬を撫でた。
見下ろす眼差しに 眠る円の顔を焼き付けようとするかのように 長い間、ただそうして、じっと見詰めていた。*]
(319) 2014/02/13(Thu) 11時半頃
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─ 四日目:夜明け前 ─
[地平線から陽は昇りしも、未だ暗い彼は誰時。
そこに誰が現れようと、現れまいと。
これ見よがしに白の外套を風に靡かせ いつぞや戯れに隊員のくれた紅を唇に刷き。
絢矢は宿舎を出立した。**]
(320) 2014/02/13(Thu) 11時半頃
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/* 円可愛いよう。(眉毛ないけど) 円健気だよう。(眉毛ないけど)
(-117) 2014/02/13(Thu) 14時頃
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/* あんまり強くなり過ぎないように制限と弱点つけてるつもりだけど、強すぎてたらごめんなさい……。
(-118) 2014/02/13(Thu) 14時頃
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