179 仮想現実人狼―Avalon―
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[呼ばう声はグレッグのもの。 大丈夫と彼の声は続ける。
ワンダとは、探さずとも、会える。 現実世界で知己であるから。 無事を確保さえすれば――。
ケーキをホールで、なんて口約束が過る。 その時はワンダと二人で食べる図しか浮かばなかったが その場に、慰めのように言葉を紡ぐ彼の姿があればいいと そんなことさえ、思って――。
陣営が違ったとか。 クエストの成否が、なんて。 頭で分かっているから。 浮かべてしまったその一幕に、痛みを覚える。]
(115) 2014/06/06(Fri) 11時頃
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[グレッグの手が眸と同じ色の髪に触れる。 小さく肩が揺れるのは、思考の中に彼の存在があったから。]
――… わかってる。 ワンダとは、また、会える。 ……死の痛みにも、負けやしない、って、信じてる、し。
[遅れて、ぽつと言葉を返した。]
(116) 2014/06/06(Fri) 11時半頃
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[大事なものに手が届かない。 それが辛くて現実では『連理』である事だけを考える。 それが周囲の望むこと。 望まれる形であることが、自分にとっても最善なのだと言い聞かせて。
グレッグは肉親からも愛想つかされたなんて言っていたけど それに至るには彼なりの足掻きがあったのやもと思う。
チアキは肉親からの愛想がつきぬようにいいこで居続けた。 自分の中の必要とされるもう一つの名が寄る辺でもあり 現実とを繋ぐ大事な要素ともなっていたから。
――失えばグレッグ、否、サミュエルと同じように思ったかもしれない。 自分を最下位なんていった彼の事を考えて――。]
(117) 2014/06/06(Fri) 11時半頃
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[グレッグが撫でるのはチアキの髪。 ワンダに撫でられた時と同じように大人しく撫でられる。]
――……っ。
[笑って、なんて、グレッグが言えば息をのむ。]
笑えるわけ、ない、だろ。 ――グレッグが、消滅する、とか、あっさり言うから そんなのイヤだし、考えたくもないことなのに いやでも考えて、……こんなにも痛いのに こんなにぐちゃぐちゃで、笑えるわけが、ない。
(118) 2014/06/06(Fri) 11時半頃
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[何時もの恰好なら袖をつかえるけれど 今はそれに向かない恰好だから 手でごしごしと目許を拭って泣いた名残を消そうとして。
それから、グレッグへと顔を向ける。 どんな顔で撫でているのか。 どんな顔でそれを言ったか、確かめる為に。]
…………。
[うっすらと滲む視界に映り込んだのは笑みのかたち。 くしゃりと、また、泣き出しそうにゆがむ。]
(119) 2014/06/06(Fri) 12時頃
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