彼女の首筋から、ゆっくりと両手が下って、身体のラインに沿って滑っていく。
彼女の身にまとったバスローブを引き降ろしながら。
鎖骨、肩、上腕と進んでいくにつれて、バスローブに包まれた両房が露になっていき――頂点を超えたところで、ふるりとまろび出た。
小柄な体格に似合わない、大きく実った果実。
「ザーゴさんに、ずいぶんと優しくしてもらったようですね。」
彼女の首筋に、胸の頂に残された歯型。
誰の物かは容易に想像がつく。
「生憎、彼のように情熱的になるには、僕は無礼講に参加しすぎたようでね。
けれど、かわりにこういう事が出来るんですよ。」
懐から取り出したのは、何の変哲もない、小さな事務用クリップ。
それを、彼女の胸の先端にあてて――パチンと挟み込んだ。
続いて、もう片方の胸の先端にも。
そのまま、クリップごと左右に軽く捻る。
痛みを与えすぎず、かといって楽にもさせず。
その絶妙な間。
(*59) 2022/07/04(Mon) 22時半頃