ー回想ー
[あれは俺がまだ中ニだったころ。
そしてまだアキが、ある種弱々しくて繊細でしたたかではなかったころ。
すこーし、沢山の寮生が集まる場所で
ちょーっと、アキにディープキスをぶちかましたことがある。
…勢いだったことは、認めよう。我ながら最低だと今は思っている。
結果、アキは泣くわ俺は連行されるわ大惨事となったのだった。
ただ、その後日譚。
その後、しばらく避けられ続け、流石に心が折れかかっていると、ひょっこりアキが現れた。
アキは俺が謝るより早く、強引に唇を合わせ舌をねじこんできた。
更に、解放され唖然とする俺に、これでおあいこだと美しく笑って――思いっきり俺をぶん殴った。
あれより痛い拳を、俺は生涯知らない。
キスが原因か、関係ないのか。
俺から見て、その後アキはめきめきと精神的に強く逞しくしたたかに変わっていったように思える。
例の事件ついてはもはやタブーとされ、それ以降に入ってきた生徒はほぼ知らないだろう。
奇跡的に友情を取り戻した俺だが、ときおり出会った当初の可愛いアキを思い出しては涙する日々である。
…なんて言ったら、また殴られるけど。]
(@21) 2014/01/25(Sat) 07時半頃