『私は九州鹿児島の』
[左手で投げた南瓜が大きな弧を描き右手のはるか上を行く。ギャラリーから上がる悲鳴。それでも動じず男はすっと腰を落とすと、地面すれすれ、足の甲でちょいと南瓜を跳ね上げる。ばねのような身のこなしですぐさま立ち上がると、片手の中に南瓜をぐっと収めて]
ハイッ!
[投げるような所作で手を開けば、ギャラリーに向けて降り注ぐ蜘蛛の糸。陽光受けて輝く真っ白な糸の雨。ギャラリーに触れる直前に、手首の返しで男の手の中へ戻る]
『……西郷隆盛娘です』 と。
[喝采の中、四方八方へとお辞儀を返す]
ありがとうね坊や。なかなかいい宣伝になったわ。
[南瓜売りの少年に微笑み、彼の手に銀貨を握らせる。使った南瓜はコートのポケットへ]
チャオ。ハッピーハロウィーン!
[ひらひらと少年に手を振って、人の輪の中を抜けだした]
(@4) 2014/10/18(Sat) 20時頃