[守り神、と称する声を聞けば、鞍の黒鱗が嬉しそうに笑い出した。]
『おう、おう、お前さん、双子星なんてェ言い出したときはなんつー面倒なモンと出会ったかと思っちまったが、なかなかどーして話がわかるじゃねェの! そう、俺っちは昏闇飛龍《ドンケルドラッケ》! 闇と影とを司る守り神さんよ! ダチになれるかどうかは旦那次第だがよォ、俺っちはお前さんのことは気に入ったぜェ、南極星《セレスト》さんよ!』
案ずるな。この高度から降りるとは言っていない。
お前《セレスト》も降下くらいはするのだろう。
[高度を下げながら、忙しない質問に答える。友達、にはまだ結論を出さないままだ。
ヤニク少年は何を南極星に答えるか、名前を問われて答えぬようなら、ヤニク、とだけ簡潔に紹介したろう。
その間にも、鳳凰は国境線の絡みあう大地《トライアングル》へ向けて、急降下する。
下の少年の恐怖は、あまり想像したいものでもなかった。]
(1019) 2012/02/01(Wed) 00時半頃