>>346
―回想―
あは……もし食べるなら優しくしてほしいな…僕、痛いのは嫌いだから。
[出来るだけ軽く聞こえるようにと笑い混じりに告げながら、優しい腕の力に安堵するように息を漏らす。仮に、再び彼が人を食らう獣に成り果てたとしたら、自分はどうするのだろう。どちらかが死ぬ事でしか終わらないとしたならば、きっと自分は彼に命を譲るだろうと、そこまでぼんやり考えて思考遊びを終えた]
…僕も君が助けを求める時は、一緒にいるよ。何が出来るって訳じゃないけど…一緒に逃げるくらいだったら出来るから。
[かえって足手まといになるかも知れないけれど、自分だけ守られるような立場でいるのは癪で。目蓋を閉じれば意識は近付く気配と早まる動悸へと傾き、引きずられるように自分の鼓動も速度を増して。触れ合う感触につい身体が強張り、息が止まる。それでもどこか、満たされるような心地にゆっくり双眸を開くも同時に離れる感覚に、何も考えず、追いかけるように彼の唇を軽く啄んで、己の行動自覚すれば慌てて顔を離す。恥ずかしさに息が詰まり、顔は燃えるように熱くて――ただただ愛おしさに焼ける胸が痛みを訴えていた]
(347) やなこま 2013/06/25(Tue) 10時頃