>>292
―回想―
…今回はちょっと…ちょっと…うん、ない。
[きっぱりと切り捨てた。正気度が下がるどころの話ではないと、溢れる生物の姿が思考に浮かびかけたのを、同じように頭を振って頭から追い出す]
………うん。……本当に、殺してしまったのかと思った…
[実験最終日、催眠が解ける寸前に見たのは神の悪戯で目前の彼が吊られる姿。一瞬でも訪れた絶望を思い出せば、小さく体が震えた。腕の中にある熱、その存在を確かめるようにきつく抱き締める]
んー…次は良い線いけるんじゃないかな……でも、僕だけの主役でも居て欲しい、と言うか…
[何度も落とされる口付けにくすぐったさを覚える反面、僅かに物足りなさも感じて。相手の肩口から顔を上げて間近の瞳を真っ直ぐに見つめると、少しの逡巡の後に耳元、頬、首筋、と軽く触れさせるだけの口付けを落とし。告げた言葉も、籠めた意味も、全てはぐらかす様に緩く笑いかけて]
……やっぱり何でもない。
(343) やなこま 2013/06/25(Tue) 02時頃