――どこかの病院で――
[は、と目が醒めて、はじめに「俺は誰だ」と自問した。
普通はここはどこだ、からはじまるのかもしれないが、白い天井は知らないようで、知っていた。見たことがある天井>>238だ。
それよりも、自分が誰かのほうが気がかりだ。――俺は、今本当に"神寺フェルゼ"だろうか?
服は病人服に替えられ、サルンガの筒もない。同じ傷。同じ顔。同じ髪の色。
動かせる範囲の視界では、決定的に座敷守亀吉と自分とを分けるものはないように思えた。
俺は、俺のことを"神寺フェルゼ"だと認識している。
しかしそれを証明するものはなく、加えて、あまりに鮮明な"夢"が、自覚の境界を曖昧にしていく。
目が醒めたことに気づいたらしい医療スタッフが、にわかに慌ただしい。
小さく息をついて、再び目を伏せた*]
(339) mmsk 2018/04/08(Sun) 16時半頃