― 湖畔 ―
[湖畔では、大人しいモンスターばかりでシロガネは特に戦闘することもなく歩いていけた。
襲いかかってこられたらどうしよう――、と最初はびくびくしていたけれど。意外と、こちらから攻撃をしない限りはモンスターも襲いかかってはこないということもよくあることらしい。
そうと分かっても油断することはなく、初期装備の短剣はしっかりと握っていたけれど。
その小さな短剣で何が出来るのかというと、シロガネは何が相手でも負ける気しかしなかった。
しばらく歩けば。――人影が見えただろうか。
魚を売ってほしいだなんて、いきなり声をかけて大丈夫なのだろうかと思いつつ。
普段は大人しく、他人に声をかけられることはあってもその逆は無いシロガネだけれど――。
この世界でなら。
――マユミではなく、シロガネなら。誰かに声をかけてみる、というのは出来る気がしていた。]
(265) 2014/06/01(Sun) 01時半頃