[すっと息を吸い、緩々と吐き出し。ゆっくり椅子から立ち上がりながら、手には微かな赤い髪ゴムの欠片を握りこんで]
──オスカーを、占って。
白が出たなら…わたしなら、…真っ先に…ロビンを疑う…。
オスカー…。[名を呼び、彼の深い血色にも似た双眸を、見つめ]……おおかみ、だと、…思ってる。…………おともだち、…でも…。
…ねえ…、…わたしは…。……しぬ、そのときまで、…きっと…許せないわたしが、…ゆるせない…。──。
テッドかイアンが…噛まれて…、死体が二つしか…なかったなら……恋人は…別にいる…。……矢の刺さった、狼……村は、…吊るチャンス…はかるしか、ない…。
……。…お願い。
[最後の言葉は、囁くように。夜風の温度で零れ落ちた。桜の木下──処刑に臨む姿は、彼を吊ったばかりの縄を、彼の命を吸った木を音もなく見上げているまま。別れの言葉は、なかった]
(240) 2013/06/21(Fri) 23時頃