アシモフ。これは、お前の大切な物じゃないのか?
たったひとつしかない物を俺に預けるとは。
──…空を読むのは上手いのに、人選は苦手らしいな。
[体勢を戻し、視線を上げれば差し出された頂点の数字。>>200
ずっと彼の耳に在った、彼の徴とも呼べる物。
失せ物と縁の有りすぎる自分っ手に渡るには、あまりに長大。
ちゅぅ、と耳を擽る鳴き声と撓んだ双眸、浮かんだ笑み。
受け取る手が震えたのは、寒さが身に染みたせいだろう。
ずっと着けていたプレートは、仄かに体温が残っていた。]
やれ、やれ。全く、今日という日は何とも調子が狂う。
お前が俺を親友と呼ぶなら、俺もお前の親友だろうに。
それ以上を望まれようと、俺はそれを拒めんさ。
[誰かに、彼に。親友と言われる日が来るとは思わなかった。
面映ゆさと切なさが綯い交ぜになった胸中は言語化が難しい。]
(239) 2015/01/27(Tue) 00時頃