[妙に疲れた気持ちのまま、診察室の扉を開く。
てっきり無人だと思っていたその場所に、まさか先客>>141がいるとは思ってもいなかったけれど。]
…参ったな、今日は良く、会う。
あまり勝手に荒らすなよ。
[机に突っ伏す弟のその背中は、よく見覚えがある。
それこそついさっき、自分の前から逃げるように立ち去るのを見たばかりだ。
それでも、会ってしまったものは仕方がないと、今度はどんな顰め面をされるだろうかと。
そんな思考は、彼から好意を向けられることはとっくに諦めている。
怪我の事もあるし、自分はけして、彼と会いたくない訳ではなかったのだけれど。]
……、おい、何してる…!
[そこまで考えたところで、机に広がる血溜まりに気が付けば、顔色を変えてすぐに駆け寄った。
彼の眠気ゆえの投げやりな自傷は今に始まった事ではないけれど、ここまで酷い光景を自分が目にするのは、初めてかもしれない。
彼がこちらに気付いても気付かなくとも、その肩を引いて、血塗れの手首を取り上げるだろう。]
(224) 2014/06/27(Fri) 02時半頃