[それを知った上で声をかけてくる者もあれば、知らずにちょっかいをかけてくる無謀者もいる。
勿論、気に入った相手がいれば、こちらからも誘いをかけるのはいつものことであるのだが、今年は少々、気になっている存在があった。
宴が始まってすぐに、あのルシフェルの元へ挨拶に向かい───硬直していた、見慣れぬ二尾の狐。
ホールを見回せば、隅の方にちょこんとひとりで座っていた。>>193]
……ふむ。
[不慣れな席に緊張しているのだろうかと、シャンパンと、オレンジジュースのグラスをひとつずつ持ち、歩み寄る。]
コンバンハ。
随分緊張しているようだけれど、キミは、こういう宴は初めてかな?
あぁ、私の名はルーカス。
お近付きの印に……これを。
[エレガントな笑みを浮かべ、初心そうな狐に、オレンジの皮細工の花が飾られた、オレンジジュースのグラスを差し出す。
受け取ってもらえたならば、その指先に、身を屈めて唇を触れさせようか。]
(202) nordwolf 2013/10/20(Sun) 17時半頃