――そうだね。
[その疑問は当たり前のものだ。
あの時、自分が背中を押さなければ
真白と鳥入の関係は無かったかもしれないのに。]
……気付いた時には、もう遅かったんだよ。
真白の視線の中にあたしはいなかった。
[彼が憎いなんて言わない。――言えない。]
本当のことを言えば、鳥入ちゃんが真白を相手にすると思わなかったから、かな。
鳥入ちゃんの中にある感情はわかんない。だから悔しいしもどかしいし。
別れ話をする関係じゃない、なんて言われた日にはさ。
じゃあなんであたしは背中を押してこんな思いしてるんだって。理不尽に思うよ?
[ほんの少しだけ苛立って、カリ、と爪を噛む音]
真白の気持ち、どんどんあの人に奪われちゃう。でもコイビトじゃないなら、なんなの?早く……早く、結ばれてくれなきゃ、あたしはどんどん惨めになるんだよ。
(196) 2013/10/10(Thu) 22時頃