[彼は麺という存在など目に入らないかのように、小鉢に没頭していた。
>>177硝子の奏でる不協和音が彼の鼓膜を刺激する。
座り込み、指先を見つめる少女>>178を過剰なまでに>>183気遣うショートカットの少女。
穏やかな日常の、薄氷さを彼は目を閉じ、噛み締める。
対面にいるオスカーに一言断りを入れる。]
だいじょうぶ? ヒナコ。包帯ぐらいならあるけど…先生が来るなら必要ないかな
タルト。大丈夫だよ。だいじょうぶ。
ほら、おっちゃんが早く受け取らないとプリンもう作ってあげないってよ。
[発作の前兆のようなことを引き起こしてる幼子に、言い聞かせる。
彼は冗談めいたことを口にするのは苦手だ。子どもをあやすのに長けていない。
許されるなら、そっとタルトを撫でただろう。
安心というものは人に寄って、違う。
タルトの安堵を思考で巡らせながら、やや作り笑いのような穏やかさで笑んだ。]
(194) 2015/06/04(Thu) 01時頃