-裏庭-
…そう、ですよ ね…
[寮母がと言うフィリップにびくりとして、エルゴットは俯く。>>143]
[隠して飼っていたと言っても、外に出る時などはいつも連れていて、それは絵を描くなど独り、校庭で過ごす時も同様だった為、それを見かけた他生徒が寮母に伝え、事実はどうなのかと問いただされたりしていたから。
あの時、俯くばかりのエルゴットに助け舟を出してくれたのがハルカだった。
それ以来ずっと、隠れて小犬を飼うことに彼女は協力してくれている。]
[腕を組んで考えるフィリップに、連れて行くのを諦めかけたその時。
こっそりなら、と聞こえた声にエルゴットは顔をあげる。]
…ほんとう、ですか?
[震えながらも再度確認すれば、向けられる悪戯っぽい笑みに気付いて。
じんわりひろがる温かさに泣きそうになりながら、こくりとひとつ頷けば、彼の後ろ、あまり人に見つからないように注意しながら、エルゴットは食堂へと向かったのであった。]
(194) 2014/03/04(Tue) 20時半頃