[動かねえよ。そう言い返しかけて、思い留まる。
下手に何か喋って、情報―特に、自分が今ほぼ丸腰だということを―を与えてしまってはシャクだ。
因みに、…もまた、相手の女と年代までは特定しつつも、それが誰かということは思い出せずにいた。
浅い知り合いの顔がふわふわと浮かんでは、混ざって消える。]
……あっそ。
[質問への答えには、簡素な言葉を返して。なぜなら]
さっきの音がアンタじゃないってのは、信じるにしたってさ、
[小さく、吐き捨てるように笑う。]
今、そうやって武器を構えてんのは、そーゆーことじゃん?
[ゲームに乗っているのだろう、自分を殺す気なのだろうと、暗に示唆して。
見えたっつーの。相手には届かないだろうが、口の中でそう呟く。
話しながら、この状況の打開策を探っていた。思いつかない。
自分のいる場所の構造上、いつどこから人が現れてもおかしくないわけで――そのことが、余計に焦りを募らせる。]
(180) 2014/06/21(Sat) 23時頃