[昔読んだSFで、こんなものがあった。生まれる子供が無気力になり、夢想の中でばかり遊ぶようになる。大人たちは心配し、子供たちの夢想や無気力と引き換えに得たESPを忌み嫌った。でも、それは人類が新しい進化を進む段階のひとつだったのだ。
地球の崩壊と同時に子供たちは夢想の中にあって集団を構成する個体の個性や自我をほぼ完全に失い、ひとつの大きな情報となって宇宙の意思思念そのものといえる情報体に加わるのだ。それが人類の新しい進化、と定義したその物語はかつて浅見に、恐ろしく空虚で寂しいものに思えた。だが、いま彼は確信した]
人や自分をつらく考える悪い考えをぜんぶなくして、
みんなでひとつになるんだ
みんな赤ちゃんみたいにさ、一人残らず光に照らされて
愛される世界を俺はつくる
何も考えなくていい
望めば何でも手に入るだろう
その望みだって、誰を傷つけることもない
……あったかいんだ……
……
(172) 2010/06/06(Sun) 17時頃