―夕刻 墓地―
[名もない鳥の為に捧げてくれる神父の穏やかな祈りを聞いていると、漸くじわと涙が滲んだ。
ぐじ、と其れを乱暴に袖で拭うと、口を引き結んで小さな体を埋めた塚を見つめた。
それから、倣うように祈ると、空を見上げて言った]
お疲れ様。ありがとうな。
これからは、どこにだって好きなとこ、飛んで行っていいんだからな!
[神職に祈って貰う事で、鳥の魂も迷わずに済むに違いない。
そんな想いが、少年にひとつの区切りをつける。
葬儀はいつだって生者が前を向くための儀式だ。
悲しいけれど、悲しんでばかりいられない。]
うん…。
ありがとう、ムパ兄!
…ムパ兄が思ってるより、皆ムパ兄に救われてるんだよ。
[戻ろうと促され、頷いた少年の表情は普段の明るい笑み。
どうにも謙遜が過ぎる人の多い砦の中、その中の一人であるムパムピスの背をぱしっと叩いたのだった]
(167) 2011/06/30(Thu) 22時半頃