[その一族の現状は皆揃って血が薄く>>35、もはや当主に近い力を持つ者すら居なかった。
攻めに回る事の多い三黒が家は揃って当主が短命で、薄まる血より聖痕を確実に残す事が優先と、やれ血を入れよ子供を増やせと適当を重ねる長い年月。
十代かそれ以上前の当主は黒翼を背負って居たものの、今ではそれも見る影もなく――…
外の血を入れ続けた結果が、これだ。
薄くなった血の器に、どうして大きな力が収まり切ろう?
他の家は知らぬが三黒の家の末路はこうだと、力に耐えきれず焼け爛れた皮膚を厚着で隠して、
男が人前で肌を晒す事は、殆ど無かっただろう。
自分の未来は焼死体だと皮肉に笑い、
嘗ての力強い黒翼は長く続く血脈の中で朽ち錆びて、羽ばたく事は二度とない。
噎せ返る程の硝煙の中で、燃え行く血脈を見つめて居た。
いつまでも。**]
(162) 2015/09/11(Fri) 00時頃