でも、血が……!
[彼女が喋る間にも指先から流れる液体は勢いは減りはしても止まることはなく、ぽたりぽたり、と滴り落ちる。血なんて見慣れないレティーシャにはどうして平気なのか全く理解できなかった。彼女の言葉を聞いても強がっているのかもしれない、なんて考えればどうすればいいか、と思考を巡らせる。
暫くして、奇病にかかる前のまだ幼い頃に怪我をすれば傷は舐めておけば治る、なんて母に言われたっけと曖昧な記憶に辿り着く。]
……えと、少しだけ…我慢してね、
[意を決したように言葉を述べれば、彼女の細い指先を口に含む。口の中に広がる鉄の味なんて気にせずに唾液を指に絡ませて。]
……それじゃあ、病気が治ったら切らないの?
[口内で鉄の味が薄まると口を指から離す。指先から垂れる唾液を舌で綺麗に舐め取り、彼女を見つめて問う。
回答を待つ間にだんだんと冷静さを取り戻し自らの行動を思い出すと、酔いで火照った頬を更に熱くさせた。]
ーー……っ!
[恥ずかしさから両手で顔を覆い、席を立ち上がれば2、3歩後さずりして。この場から消え去ってしまいたい、寧ろ消してくれ、と心から思った。]
(148) 2014/06/29(Sun) 01時半頃