[その顔は町が怪物で溢れる前に、一度見たもの。
道化は開かれた体に一瞥を落とすと、ありもしない帽子を上げる仕草をする]
ああ、御可哀想に。
怪物にでも殺されてしまったのでしょうか?お菓子を欲しがる怪物に?
[大げさな身振りで点に掲げた掌を、胸元まで引き寄せる。]
オイタワシイ……!ええ、まさに!御労しや!
もしや、あの継ぎ接ぎの怪物にやられたのでは?
さぞや苦しかったでしょう?
[すう、と右手は胸元から死体の上へと伸びていく。ぽたり、ぽたりと垂れていく黄緑色。
意味のない行為――でもしょうがない、道化なんてものは意味がないのが仕事だ。
けれど――あのデッカイのが、こんな死体を残すのですかね。
その言葉だけは胸中にしまって。]
[再び“考える仕草”に移行して道化は歩き出す。道に散らばる臓物を踏みつけ歩く姿は死を悼んでいた同一人物とは思えないような行動。でも道化なのだ、しょうがない。]
(145) 2011/10/22(Sat) 01時半頃