──、いらっしゃい。お帰りだったのですね。
[無造作に開かれた扉から、背の高い男が入ってくる。投げ掛けられた言葉にふふ、と笑う。男の口の悪さはもう慣れたもので、立ち上がって迎え入れる。]
お陰様で、まだ死に損なっています。
貴方も御健勝そうで何より──ドナルド。
[距離が詰まると、自然肌がぴり、と粟立つ。
強い強い魔力は、灼熱の赤龍のもの。
かつては仲間であった、そして敵として対峙した事もある『龍族』の気配に未だ身体は反応を見せる。
しかしそこにあるのは敵対心や警戒心などでは無く、懐かしさと──この身に流れる血が訴える、思慕に近い感情だ。
ドナルドとはこの村で出会った。それ以前に関わった記憶はチャールズには無いが。もしかしたら心臓を交わした『彼』には、懐かしむ理由があったのかもしれない。今となっては、それはチャールズが知る由もない事であった。]
(140) 2013/11/18(Mon) 00時半頃