[とても小さな声で細やかれた言葉に唇を噛む。彼女は聞こえないと思ったのだろうか、それとも聞こえないようにしたかったのだろうか。静かな室内で至近距離……聞こえないわけがないのに。どちらにせよ、深く問い詰めることもないだろう、と思ったことを心の中に押し込めて。]
……、
[彼女の告白を聞き終えれば、赤い液体の滴る手を力いっぱい握る。アルコールのせいか勢い良く吹き出るそれを放置するのは彼女の身体に良くないことくらい専門知識のないレティーシャでも理解出来た。]
はやく、止血しないと……!
[子供の手では力が弱すぎて出血の勢いを止めることは難しいと悟れば、彼女に問う。部屋の主の彼女ならばなにか思い付くだろう。]
痛みが感じられないから、切るの?
[ぽつり、と呟く。彼女にとってはこの行為が答えなのだろうが、それでもレティーシャには理解することができなかった。もしかしたら死ぬかもしれないのに、自らを傷付ける彼女の気持ちが。]
(134) 2014/06/29(Sun) 00時頃