―タルトのゾナハ病記録―
タルトの患うゾナハ病は地域的な風土病に分類されているもので外因的要因であることだけははっきりしている。
発症した者達のすべては生まれ育った地域で共通しており、原因についてはその地域特有の銀色の霧に由来するものだと言うことまではわかっている。
症状は単純で患者は周りの人の感情や表情に左右されていく。
タルトはここの病院に来る前は同じ地域の子供達と一緒に研究施設にいた。
そこではタルトを始めとしたゾナハ病患者達の研究と様々な治験が行われていた。
タルトの受けた治験はまず誰とも合わないことだった。
他者の感情との接点をカットすることでその発症を抑えこむことを期待されてこれは進められたが、
タルトはしばらくしてそれでも発症した。
発作の抑制には日常の他者との感情を受けることも必要とわかりこの実験結果は研究を一歩進めたものの
治療には結びつかなかった。
発作を起こせば盛大に笑わせられるために呼吸困難の中着ぐるみを着せられて研究者達は無理やり笑う。
(132) 2015/06/08(Mon) 00時半頃