─ 回想/かの夜の記憶>>2:308>>2:309>>2:311 ─
[──それは蒼薔薇香漂うひとつの密室の記憶。]
[白濁した蜜がディーンの手首を滴り落ちた。躊躇うどころか美味しそうに一筋を舐める舌から、細められる紫水晶から、目を背ける事は出来なくて。
紅に染まるまなじり。何か言わなくては、謝らなくては──と喘ぐようにくちびるを開いた時、ラルフにはすでに噎せ返る薔薇の香は感じられなくなっていた。]
──…
[伸ばされる指先が向かう場所が何処かは分かる。
それはあの『事件』の後、傷口を確かめるため、鋭痛や熱を紛らわすため、自身でも何度も触れた場所。そう、ラルフに取って自慰の快楽は痛みや穢れを忘れるための行為でもあり。]
ディ…ン、
それ、は、
もっと だ、 め……
[可愛い、それは可愛い姿なのだろうか。
逃げ出してしまいたい。事件を忘れられず、痛みを陶酔にすり替えると言う倒錯的な行為を続けて来たラルフを識られるのが怖くて。快楽を感じる事が出来る身体であるにも関わらず、性行為──と言う他者の侵犯に震え怯える弱さを見られるのが、怖くて。逃げ出してしまいたいけれども、]
(125) yummy 2010/09/13(Mon) 23時半頃