うん、
…そう、わかった。
[返した返答は短く簡素に。
聞いた。了解。
そのアピールだけを口にして、
生憎言った言葉を撤回するつもりは毛頭ないし、だから続く帰り道への忠告<<113は、自分にはきっと意味の無い物。
先ほど交わした悪魔との契約で知っていたのは軽い知識としてだけで、その詳細や実際に何が起こるか何をされるかと言うのは知りはしない。だから正直な所、少し拍子抜けをした。
あっさりと終わったやり取りと離れた距離に、もしやすんなり返答しすぎて順序が狂ったかな?なんて思っても、まさかあちらの方が手順を破ったとは思いもせず。
さて、自分は何か持って行かれたのだろうか。
やはり、何も持っていく物など無かったのだろうか。
寿命、とか?
…どうでもいいな。残りの生、苦しむ期間が減った事にむしろ感謝する。
ああ、彼の声は堅く深いのに、触れる指先や金の瞳はこんなにも優しい。夜を恐れる事を忘れた人の子は、目の前の夜に触れんと、手を伸ばし、
しかし胸に渦巻く何かに気付くと、
僅か躊躇い、手を下ろした。]
(120) 2015/08/08(Sat) 17時半頃