……、
[吐き出された言葉に似つかわしくない表情に、ぞくりと背筋が震えた。嗚呼、人はこんなにも相反するものを両立させる事が出来るのか。
恐ろしい、と。心底そう思う。けれどその感情を素直に表に出せる程、プライドを捨ててはいない。だから精一杯の強がりで、しっかりと相手に視線を合わせた。
目の前の彼には、酷く馬鹿にされているのだと、見下されているのだと、今はもうよく分かっているから。だから、思い通りになんてなってやるものかという反発心が湧いてくる。
……絶対に、屈してなんかやらない]
お前、本当に医者かよ。
……ふん。顔だけは良いんだから、女でも口説いて生きてた方がお似合いなんじゃないか?
[言い負かされたくないと、その一心で挑発する様に言葉をぶつける。相手の反応なんて、思っている事なんて、考えもせずに。
思った事を素直に口に出して後悔した事は、今までも沢山あった筈なのだけれど]
(116) 2014/06/28(Sat) 20時頃